2024.03.08NTTリーグワン2023-24 第8節 GR東葛 vs RH大阪-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第8節
2024年3月10日(日)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 vs レッドハリケーンズ大阪

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

声を使って、味方を動かす。
スキルフルな司令塔の変化と成長

ピヴァック ヘッドコーチの体制になって「一番大きく変わったのはアタックの部分。ボールを動かすラグビーは自分も好きな形」と語るNECグリーンロケッツ東葛の金井大雪選手

10番を背負うスタンドオフは司令塔と呼ばれている。自らパスやキックを駆使して試合をコントロールし、思い描いたイメージどおりのアタックからチームがトライを決める。それはスタンドオフというポジションにとって、醍醐味の一つだろう。金井大雪は、今季のNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)のラグビーに、そんな感覚を抱いているのかもしれない。

今季から就任したウェイン・ピヴァック ヘッドコーチの下、選手の誰もが口にする戦術面の変化。金井もまた同調する。

「一番大きく変わったのはアタックの部分。ボールを動かすラグビーは自分も好きな形で、攻めて崩すということができる。その組み立てや、相手のディフェンスをどう崩すのかを自分としては意識していますし、やっていて楽しいですね」

ボールを動かし、幅を使ったスピーディーなラグビー。それはウェイン・ピヴァック ヘッドコーチが以前から提唱しているものでもある。

今季はスタンドオフとして、ボールに触る回数が増えたのではないか。その問いに金井は首を横に振り、「触る回数は昨季と変わっていないと思います。増えたのはコミュニケーションの部分です」という。つまり、声を出して味方選手を動かす指示の増加だ。

「今季はボールに触らなくてもコントロールできる部分があります。味方には、そこに運ばせて、次は自分がこっちでもらうという形が増えたので、イメージしたとおりに攻撃がハマると面白いです」

GR東葛のスタンドオフといえば、昨年のラグビーワールドカップ2023フランス大会に出場したナミビア代表のティアン・スワネポールがいる。ワールドクラスのスタンドオフから日々刺激をもらい受け、「ティアン(・スワネポール)のプレーを見て、『そういうプレーもあるのか』と練習の中から学びがあります」と前向きにポジション争いに取り組めている点は、金井の成長を促す大きな要因だろう。今節のレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)戦で、GR東葛は今季リーグ戦7試合目を戦う。先発出場はティアン・スワネポールの4試合に対し、金井が3試合と、両者が拮抗したポジション争いを繰り広げていることは、数字が物語っている。

「RH大阪はキックをうまく使い、ハードワークができてディフェンスも粘り強い。簡単に勝てる試合ではないと思っています」

3月10日、柏の葉公園総合競技場で行われるRH大阪との試合に向けて、金井は気を引き締める。前節、RH大阪は首位の浦安D-Rocksを大いに苦しめた。そんな粘り強い相手をどう攻略するか。スキルフルなスタンドオフのゲームコントロールがカギを握る。

(鈴木潤)

レッドハリケーンズ大阪(D2)

「すべて無駄ではなかった」。
幾度のポジション変更を経て広がった視野

レッドハリケーンズ大阪の坂本洋道選手。フッカーとしてチームに加入したが、今シーズンからプロップにポジションを変更した

3月10日(日)、ディビジョン2第8節のビジターゲームに臨むレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)。現在3位につけるNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)と対戦する。

GR東葛との前回対戦(第4節)で、加入後初めて先発出場を果たした坂本洋道。それ以降の3試合で先発しており、今節も先発入り。坂本は今季を迎える前、「スクラムを指導してくれている松川功コーチングコーディネーターから提案を受けて」フッカーからプロップにポジションを変更した。RH大阪に入ってからは初めてのことだったが、坂本自身にとってはこれが3度目のポジション変更だった。

國學院大學栃木高校へ入学した際は、センターとしてラグビー部に入部した。高校2年生のときにフランカーに転向。身長173cm の坂本は「体のサイズ的にフランカーとしてトップレベルのリーグで戦うのは難しいかもしれない」と思い、専修大学卒業を1年後に控えたころに受けたトライアウトでは、自ら「フッカーに挑戦する」とRH大阪に売り込んでいる。

自ら売り込んで加入したものの、フッカーの重要な役割であるスローインへの苦手意識は日に日に強くなってしまっていたという。「朝起きて、『今日も練習でミスしたらどうしよう』と思うようになっていた。その気持ちから、スロー以外のところでもパフォーマンスに影響が出ていた」と振り返る。ファーストキャップを獲得できたのは、昨年の3月12日に行われたD3第10節。2020年の加入からは、3年が経っていた。

「同じフロントローと呼ばれるポジションではあるけれど、いざやってみたらまったく違っていて。初めて1番に入ってスクラムを組んだとき、かかる負荷の違いを感じて、これは一筋縄ではいかないと思った」。その反面、これまでずっと積み上げてきた筋力トレーニングで培った力を発揮できるという手ごたえも感じ、「うれしかった」。少しネガティブに感じていた練習場へ向かうことも、「毎日、楽しみになった」。そして、ポジション変更が功を奏してすべての試合に出場している今季は、各ポジションでの経験から「いろいろな視点をもてているので、これまでやってきたことはすべて無駄ではなかった」と感じられるようにもなった。

RH大阪に加入する際にフッカーに転向したのは、どうしても“ラグビー選手”になりたいと思っていたからだった。苦労を承知の上でもなりたかった“ラグビー選手”として、試合でチームに貢献できる喜びを知った坂本。今節もセットピースをはじめ、随所で持ち前の力強さを発揮したい。

(前田カオリ)



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