2024.03.12NTTリーグワン2023-24 D2 第8節レポート(GR東葛 60-15 RH大阪)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第8節
2024年3月10日(日)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 60-15 レッドハリケーンズ大阪

“初対決”は兄に軍配。
ジェフリーズ兄弟の特別な23分間

NECグリーンロケッツ東葛のサム・ジェフリーズ選手(左・兄)とレッドハリケーンズ大阪のトム・ジェフリーズ選手(右・弟)

24対15とNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)のリードで迎えた後半7分、レッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)のトム・ジェフリーズが藤田達成との交代でグラウンドへ投入された。

「お互いに対戦相手として試合をするのが夢だった」

トム・ジェフリーズはこの試合に特別な感情を抱いていた。GR東葛のサム・ジェフリーズは7歳年上の兄。幼少期から一緒に家の裏庭でラグビーをして遊び、常に兄の背中を追い続けてきた。トムがRH大阪でのプレーを選んだのも「兄が日本でプレーしている」という理由があるからだった。1月13日の前回対戦(第4節)では、サムの負傷欠場でかなわなかった兄弟対決が、ついに実現したのである。

2人とも2m超でポジションはロック

ともに200cm台の長身兄弟は、ロックのポジションを務める。トムの投入直後には、RH大阪のラインアウトで早速二人がジャンパーとして競り合った。

「サムはラインアウトの先生だった」

兄から教わってきたプレーが、兄弟対決のファーストプレーになったこともまた不思議な巡り合わせだった。ここでは兄の貫禄か、それとも指導していたこともあって弟のプレーの癖を見抜いていたのか、トムがキャッチし切れなかったボールがグラウンドに落下し、GR東葛がボールをキープした。こうした兄弟による真っ向勝負は、サムが交代で退く後半30分まで続いた。

試合は9トライを決めたGR東葛が、ボーナスポイントを獲得しての60対15という勝利を収めた。試合が終わると、ベンチに退いていたサムがRH大阪の選手たちのもとへ歩み寄り、一人ひとり握手を交わし、弟のトムとは抱き合って互いの健闘をたたえあった。

23分間に及んだ夢の兄弟対決を、二人が笑顔で振り返る。

「とてもエキサイティングでした。トムは7歳年下、その年の差がありながらこういう機会があるのはかなりレアなこと。この経験を大切にしていきたいと思います」(サム・ジェフリーズ)

「待ちに待った試合でした。お互いにプレーができてよかったです。フレンドリーな試合になったので、またプレーできるチャンスを願っています。次はRH大阪が勝ちます」(トム・ジェフリーズ)

そしてサムが「トムが日本にやってきて、日々良くなっている姿を見て誇りに思います」と弟を思いやる言葉を残せば、トムは「僕は兄よりも足が速い。あとは僕のほうがハンサムです(笑)」と兄には負けていないという気持ちを、冗談を交えながら話した。

日本で実現した清々しい兄弟対決は、最後まで温和なムードに包まれていた。

(鈴木潤)

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ

「特に後半は結果を残せて、そこは満足しています。前半が終わり、ハーフタイムには『エラーが多かった。抜け切らなかったら、蹴って外に出していい』と伝えました。前半の終わりと後半の始めは点を取られて残念なところもありましたが、後半は良いトライを残せましたし、試合の最後に良いトライができたこともよかったと思います」

──後半はテンポの良いパス回しと、幅を使ったスピーディーな攻撃が見られました。現在のアタック面の手ごたえを聞かせていただけますか?

「意識していることはブレイクダウンのスピード、幅を使うこと、あとは一人ひとりの判断です。逆目に攻めたり、順目に攻めたり、チームには良いプレーヤーがいるので、その判断のところで全員が一丸となったときに良い結果を残せると思っています。そういう意味では、選手がしっかりとまとまれば結果を出せますし、脅威になると思います」

NECグリーンロケッツ東葛
瀧澤直ゲームキャプテン

「久しぶりのホストゲームで、みなさんの前でしっかりと勝ち点5を取る試合ができたことはよかったと思います。もちろん、内容は僕たちが目標としているものからまだまだ遠い時間帯もありました。なので、そこはここから修正していかなければいけないと思いますけど、久しぶりのホームゲームで、寒い中、応援してくれた方々が僕たちの試合を見て楽しんでくれたんじゃないかなと思います」

──瀧澤選手は以前、レメキ ロマノ ラヴァ キャプテンの欠場について「チームが成長するチャンス」だと話されていました。今日の試合では、その成長を示せたと思うのですが、いかがでしょうか?

「マノ(レメキ ロマノ ラヴァ キャプテンの愛称)は素晴らしい飛び道具のような選手なので、もちろん彼がプレーできるならそれはいいと思うんですけど、こうやって同じポジションには、マノがいないことでステップアップする機会をもらえた選手がいますし、それをしっかり今日は表現できました。マノがいなくても自分たちはできると、(ウェイン・ピヴァック)ヘッドコーチにアピールできた選手がいます。この先もマノがいるとは限らないですし、どういうことが起きるかは分からないです。こうやってチームの中でコンペティション(競争)が起こることは、マノだけじゃなくてほかの選手(が欠場したとき)もそうですけど、チームが前に進める機会だと思います」

レッドハリケーンズ大阪

レッドハリケーンズ大阪
マット・コベイン ヘッドコーチ

「NECグリーンロケッツ東葛さんはおめでとうございます。しっかりとした良いパフォーマンスをしていて、われわれのミスに付け込んでチャンスをモノにしていたと思います」

──今日の試合での課題はどのようなところにありましたか?

「一つだけというより、課題が多過ぎて困っている状況です。一つだけのプレーや場面ではなく、すべての面で改善していかなければいけないですし、ハーフタイムにも伝えたんですが、やるべきことを遂行できるかどうかが大事です。その部分で前半はチャンスをつかみ取ることもできたのですが、そのチャンスを後半はつかみ取れず、フラストレーションの溜まる場面もありました。選手たちにも伝えましたが、何かを変えなければいけません。練習で良い準備ができていたにもかかわらず試合では出し切れていない部分が多かったので、そこは変えていかなければいけません。この2チームは個人個人のパワーも違うと思いますし、ゲインラインを取るところに苦戦し、ディフェンスでは逆に取られてしまいました。そういう接点で負けてしまうと、試合に勝つのは難しくなると思います」

レッドハリケーンズ大阪
杉下暢キャプテン

「今日の試合は、ここ数試合、フェーズディフェンスのところでは粘り強く守れている実感があったので、前半は意図的に風下を選んで耐えしのぎ、後半は風をしっかりと使って試合をより有利に進めていくというプランでした。ただ、前半の試合の入り、またもイグジットに失敗してしまって、精度の低いプレーをしてしまった結果、ソフトなトライを立て続けに決められてしまいました。やはりこのディビジョン2でトップ3の相手に勝つには、このようにソフトなトライを取られてしまっていては試合にならないと思います。ただ、その中でも前半に2トライを取って、後半のファーストトライもこちらが思っていたとおり取ることができました。そこまではよかったんですけど、敵陣でラックにプレッシャーを掛けて蹴り出させて、もう1回自分たちのアタックを再開させればいいところで、ディシプリンを守り切れず、いらないペナルティをしてしまって相手にモメンタムを生ませてしまいました。その結果、相手には素晴らしい選手がたくさんいるので、波に飲まれてしまった形です。ただ、(順位決定戦を含めて)残り4試合あります。アタック、ディフェンスでトップ3の相手に通用している部分はあるので、もう一度、われわれの強みを見直して、残り4試合全勝できるように戦っていきたいと思います」

──残り試合を全勝するために、どういうところを変えていきたいですか?

「プレー精度を高めていくしかないと思います。アタック、ディフェンス、エリアマネジメント、その一個一個のプレー精度と判断を高めていきたいです。それは練習でしっかりやるしかないと思うので、この試合のレビューをしっかりして、それを練習につなげて、試合につなげる。シンプルにそこです」

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