NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第14節
2025年5月11日(日)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 69-17 レッドハリケーンズ大阪
目標達成の可能性がついえてもなくさなかった“ガッツ”。それこそGR東葛が培ってきたマインド

試合前日の5月10日に花園近鉄ライナーズが豊田自動織機シャトルズ愛知に勝利を収めたため、レッドハリケーンズ大阪戦を迎えた時点でNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)の3位が確定している状況だった。
目標に掲げていた『2位以内』と、その先にある『 ディビジョン1復帰』の可能性が直前についえたのである。それでもGR東葛は、躍動感あふれるプレーを披露していく。
「何かのためにプレーするという対象が多く、友だち、家族、ファン、チームのためにプレーをしている。毎週来てくれているファンがいることも分かっていますし、来てくれることの恩返しとして良いパフォーマンスをしなければいけないと思っていました。それに選手によっては、この試合がGR東葛でのラストゲームになります。一緒にラグビーができること、そのものがモチベーションになりました」(アセリ・マシヴォウ)
シーズンに渡って巧みなゲームコントロールを見せていたリース・パッチェルが、この試合でもキックを織り交ぜながら多彩な攻撃を演出すれば、体を張るフォワード陣もオフロードパスを使って味方へボールをつないでいく。そこでハンドリングミスが生じたとしても味方の素早いサポートでミスをカバーすることで、GR東葛は流れるようなパスワークから勢いのある攻撃を展開していった。
彼らの躍動感あふれるプレーに、スタンドが盛り上がらないわけがない。
「ゴー!ロケッツ、ゴー! ゴー!ロケッツ、ゴー!」

スタジアムDJが掛け声を出さなくても、スタンドのファンが自発的に発信する応援の声が一体となり、チームを後押ししていく。そして、そんなファンからの大声援は「グラウンドの選手たちも聞こえていた」とマシヴォウは言う。
この試合を最後に退任するウェイン・ピヴァック ヘッドコーチは、目標に到達できなかった今季を「一つ足りないシーズン」と振り返りながらも、2シーズン率いたチームを以下のように評した。
「私はこのチームをガッツのあったチーム、ガッツのあったシーズンだったと覚えておきたいです」
この試合でGR東葛は今季最多の10トライを挙げた。ともすればモチベーションを見失い、淡白な試合展開になっていてもおかしくはなかった状況下で、むしろ彼らはアグレッシブなプレーで観客を魅了した。
開幕前に掲げていた目標には届かなかった。ただ、ピヴァック ヘッドコーチの言葉どおり、シーズン最後の試合でガッツを見せ、奮い立った。彼らがシーズンを通じて培ったマインドは、必ず来季への原動力となる。
(鈴木潤)
NECグリーンロケッツ東葛
NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ
「先週の花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)戦の悔しさと残念な気持ちを受けて、昨日の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)と花園Lの結果がどうなろうと私たちはファンの前で良い形でシーズンを終えたいという気持ちが高まっていました。本日、ウチの選手たちは自由に、自分のプレーしたい形を表現してくれたと思っていて、良いトライも収められましたし、早めにリザーブ陣を出してリザーブメンバーにもプレータイムを与えられるように試合を運べて、良い試合ができたと思っています。本日の結果が(D1/D2)入替戦に出るまでには十分ではなかったことはもちろん残念には思っていますが、この場を借りて感謝を伝えたい人たちがいます。まずはシーズンを通じてハードワークをしてくれた選手たち。そして全国どこにでも駆け付けてくれた素晴らしいファンの皆さま。みなさんの前でたくさんのトライをお見せできたことは良かったと思います。それによって選手たちが笑顔でプレーできたことも非常にうれしく思います。シーズンが終わるころには、いろいろと変わることも出てきまして、今日が自分自身のNECグリーンロケッツ東葛でのラストゲームなので、本当にたくさんの方々に感謝を伝えたいです。来シーズン、残る選手たちとチームのみなさんにとって良い1年になるように、心から願っています」
──今季を総括していただけますか?
「今シーズンをまとめると、“一つ足りないこと”が多かったと思います。それはどういうことかというと、開幕戦のレッドハリケーンズ大阪戦で勝てなかったこと、花園L戦もレフリングを気にしてこちらに勝利が訪れなかったですけど、その場に戻ってやり直したい機会があったと感じています。そういう意味で“一つ足りないシーズン”だったと思うんですが、私はこのチームをガッツのあったチーム、ガッツのあったシーズンだったと覚えておきたいです。ホストゲームのS愛知戦は、ほぼテリトリーがなかった試合だけど勝ち抜いた、そういうガッツがあるチームであり、シーズンだったと覚えておきたいです」
NECグリーンロケッツ東葛
アセリ・マシヴォウ ゲームキャプテン
「ウェイン(・ピヴァック ヘッドコーチ)が言ったことに付け加えて、望んだ形でシーズンを終えたわけではなかったですが、結果に関係なくとにかく今日は選手たちがフィールドに出て楽しむことを心がけていました。一緒にラグビーをできることをかみ締めて、楽しんで、友人や家族の前でプレーすることを楽しんで、心からチームを愛してくれているファンの前でプレーすることを楽しもうと決めていました」
──今季を総括していただけますか?
「ウェインがうまくまとめてくれたと思うんですが、少し足りないところ、届かない気持ちが残るシーズンでした。最初のほうで試合に勝つことを逃してしまった結果、トップ2に入るために最後は巻き返して、積み上げてということが続いたシーズンだったと思います。入替戦進出からのディビジョン1復帰がゴールだったので、そこには届きませんでした。ただ、負けた試合もありましたが、シーズンをとおして若い選手がオンフィールドもオフフィールドも成長してくれて、そこは今シーズンに得られたことだったと感じています」
レッドハリケーンズ大阪
レッドハリケーンズ大阪
松川功ヘッドコーチ
「今回の試合開催にあたりまして、NECグリーンロケッツ東葛の皆さま、及び協会の皆さま、本当にありがとうございました。非常に多い観戦者がいる中で私たちも戦えたのは本当に良かったと思っています。今日はセットピースとコリジョンのところ、あとはペナルティのところで自分たちでプレッシャーを感じて、ゲームを組み立てることが難しかったと思います。それらは来季に向けて課題でもあると思うので、来季に向けても今回の敗戦からステップアップできるように頑張っていきたいと思います」
──この試合を終えて、今季はどのようなものだったかを教えていただいていいですか?
「今季は浮き沈みというか、上振れと下振れが大きかったシーズンだったと思っています。昨季に比べていまの自分たちの力がどうなのかといったら、確実に上がっていると思っています。上振れの力もわれわれの力ですし、下振れがあったときもわれわれの力なんですけど、上振れすることができると証明できたし、それをどれだけ再現できるか、次に向けやっていけるという自信はあります」
レッドハリケーンズ大阪
杉下暢キャプテン
「まず、この試合の開催にあたり、尽力してくださった関係者の皆さま、本日はありがとうございました。試合内容といたしましてはコリジョンのところで差し込まれてしまって、セットピースでプレッシャーを掛けられ、ラグビーの根本的なところでドミネートされてしまったという厳しい結果でした。先週の日本製鉄釜石シーウェイブス戦では、逆にこちらがそこでプレッシャーを掛けることができていたんですけど、今日は受けてしまいました。ただ最後、スコアを気にせずにワントライを取りにいこうと声を掛けてトライを取れた、それは苦しい中でも良かった点かなと思います。今季積み上げてきたコリジョンの部分を出すことができなかったという悔しい結果ですので、来季に向けてまだまだレベルアップしていかなければいけないと思います」
──今季はどのようなものでしたか?
「順位自体は4位と前のシーズンと変わらないんですけど、6チーム中4位ではなく、8チーム中4位と、二つ順位を上げて上位グループに入ることができたということは一つの成果かなと。あとは、昨季は上位勢に対して1勝も挙げることができなかったんですけど、今季はそれぞれのチームに対して1勝ずつ挙げることができた、それは成果だと思いますし、その勝利できた要因として勝ち筋というものが見えたと思うので、そこを毎試合出せるように、勝ちパターンにもっていけるようにやっていく必要があると思います」