NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第10節
2024年3月15日(金)19:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
横浜キヤノンイーグルス vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)
50試合出場を達成した
コーバス・ファンダイクが目を細める“マインドの変化”
2連敗からの2連勝で「挽回してきた」(コーバス・ファンダイク)横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)が、前年度王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)を迎えるホストゲームは、秩父宮ラグビー場での金曜ナイターゲーム。注目の一戦は、3月15日(金)19時キックオフだ。
静岡ブルーレヴズとの“今季大分初戦”を制した前節、一つの節目を迎えた選手がいる。キャプテンの梶村祐介と、コーバス・ファンダイクが、トップリーグとリーグワンで通算50試合出場を達成した。特に2019年にキヤノンイーグルス(当時)に加入したコーバス・ファンダイクは「まさか5年もプレーするとは思っていなかった」と驚きを隠せず、「日本のラグビーを楽しんでいる」と笑顔で話した。加入当時と現在のチームはどう違うのか。コーバス・ファンダイクがこう熱弁した。
「横浜Eは目覚ましい成長を遂げてきた。以前の横浜Eが強豪と対戦する際は、もう試合前の時点で負けていた。でも、いまは自分たちを信じることや仲間を信じることなど、加入当初とはマインドセットが変わった。いまはどこが相手でも勝てるというマインドで戦えている。われわれはたくさんの努力を積み重ねてきたから、現状のチーム力にまったく驚きはありません」
5年前とは隔世の感があるチームは、「チャンピオンになることが一つのゴールだから、今季はトップを狙う」(コーバス・ファンダイク)。今節対戦する前年度王者のS東京ベイを倒さずして、目標である頂点に立つことは望めない。試合2日前の全体練習後のハドルで、経験豊富な田村優はチームメートにこう語りかけた。
「相手は誰が出てこようとも関係ない。絶対に勝ちましょう!」
現在7位に位置するS東京ベイのチーム状態は芳しくないようだが、王者であることに変わりない。「セットピースを重視している」(コーバス・ファンダイク)S東京ベイとのビッグマッチに向けて、6番で先発予定のフランカーがこう言って言葉に力を込める。
「フィジカルとボールキャリーで相手を上回ることは僕のストロングポイント。チームの勝利のためにベストを尽くすよ」
異国の地で勲章を得た“メモリアル男”が、勝利のキーマンに名乗り出た。
(郡司聡)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスA)
「日本一を、このチームで獲りたい」。
希望を胸に、いざデビュー戦
明治大学ラグビー部の公式ホームページ。選手プロフィール『今年の目標』の欄には、「日本一の景色をみんなで見る」と記されている。まだ見ぬその景色に向けての新たな一歩。クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)のアーリーエントリーでは江良颯に続き、明治大学ラグビー部100代目キャプテン、廣瀬雄也が横浜キヤノンイーグルス戦で控えメンバー入りを果たした。
「最初は入っていなかったんですが、急にメンバー入りすることになりました。こうしたチャンスをモノにするかどうかはすごく大事なことだと思っています」
東福岡高校、明治大学では全国大会優勝の経験はなく、廣瀬はまだ、頂からの景色を見たことがない。S東京ベイへの入団を決めた大学3年次には「雰囲気がよく、温かい空気感がありました。まだ(S東京ベイが)優勝する前でしたが、『こういうチームが日本一になるんだろう』という、初めての感覚を覚えました」と話す。
昨年度はリーグワン覇者となったS東京ベイも、今季は傷だらけの状態。目標とする連覇を考えれば、4勝5敗と現在、苦境に立たされている。
「やろうとしていることは間違っていないですし、その結果がまだ出ていないだけで、悲観的にならなくていいと思います。すでに5敗していますが、プレーオフトーナメントに進めば、まだチャンスはあります。僕は初めての日本一(リーグワン優勝)を、このチームで獲りたいです」
控えメンバーには帝京大学ラグビー部キャプテン、江良も名を連ねる。この二人が同じベンチに座るのは2018年のU17日本代表以来のことだそうだ。一足早くデビューした江良の活躍についての印象を尋ねると、廣瀬は「同期として誇らしい」と答えた。
「同期の中で真っ先に試合に出て、活躍している姿はすごくいい刺激になっています。誇らしいけれど、負けていられないという思いもあります。その(江良と)同じ土俵に立ったというのは、自分にとってうれしいことです」
ギャラガー・チーフス戦、そして前節のトヨタヴェルブリッツ戦と着実に爪痕を残してきた江良も、廣瀬とともに同じジャージーを着て戦うことに喜びを感じるという。
「(廣瀬とは)高校時代からの友だちで、(社会人で)一緒に試合ができるとは思っていませんでした。お互いにキャプテンとしてチームを引っ張ってきて、大学選手権の決勝の舞台で戦った者同士が一緒に試合ができるというのがすごくうれしいです」
まさに胸突き八丁の正念場。生き残りを懸けた重要な一戦で、青春のエスペランサ(希望)がチームに新しい光を灯す。
(藤本かずまさ)