2024.03.29NTTリーグワン2023-24 第10節 浦安DR vs GR東葛-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第10節
2024年3月30日(土)14:30 ユアテックスタジアム仙台 (宮城県)
浦安D-Rocks vs NECグリーンロケッツ東葛

浦安D-Rocks(D2)

1位と2位がぶつかるリーグ戦最終節。
大一番で重要なスクラム、その要人が臨む“古巣戦”

「普通の1番の選手とはスクラム時の左肘の使い方がちょっと違うと思います」という浦安D-Rocksの石田楽人選手。左肘に注目だ

ともに8勝1敗でリーグ戦の最終節を迎えたチーム同士の一戦だ。首位に立つ浦安D-Rocks(以下、浦安DR)は2位のNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)とユアテックスタジアム仙台で激突する。浦安DRにとってGR東葛は、今季唯一敗れた相手。開幕戦の借りを返すためにも負けられないゲームとなる。

古巣戦に向け、闘志を燃やしている選手がいる。今季、GR東葛から浦安DRに加入した石田楽人は、浦安DRでのデビュー戦であり、いきなりの古巣戦となった開幕戦(28対31)を振り返り、「悔しかった」と唇をかみながらも「恩返しの意味でも今回は成長した姿を見せてしっかりと勝ちたい」とリベンジを誓っている。

その石田にとってGR東葛で過ごした2シーズンは、プロップとして大きな成長を遂げた時間であった。特にスクラムの技術を叩き込まれたボリス・スタンコビッチ コーチの存在は、いまの石田を形成する上で欠くことのできない人物である。

「『もう頭がおかしくなるよ』というくらい、土井(貴弘)選手と毎日のようにスクラムを組まされていましたね(笑)。ただ、そのおかげでスクラムは強くなりましたし、本当に感謝しています。ボリス(・スタンコビッチ コーチ)はいまでも気にかけてくれて、開幕戦後も話す機会がありました」

今季はけがもあり、シーズン途中は欠場が続く時期もあったが、万全な状態なら1番のポジションの一番手であることに疑いはない。恩師からの教えをいまでも大切に守り、完全に自分の技として習得している。

「以前はコラプシングの多い選手でしたけど、左肘の使い方を教えてもらいペナルティが少なくなりました。地面と平行に組めるようにもなり、より力強く押せるようになりました。普通の1番の選手とはスクラム時の左肘の使い方がちょっと違うと思います」

恩師と約4カ月ぶりの再会となる今節、「スクラムでは絶対に負けたくないですね」と意気込む石田は、時間、場所、状況を含めた駆け引きをポイントに挙げた。

「全部で押すのではなく、制圧するようなイメージです。全部のスクラムを浦安DRがコントロールできるように前の3人で話し合いながら、『ここは押したほうがいい』というポイントだけは逃さない。スクラムで勝てればチームは盛り上がりますからね」

勝てばリーグ戦首位通過、負ければ2位。大一番でこそ、石田がスクラムで流れを引き寄せる。

(須賀大輔)

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

首位通過を懸けた戦いのカギは“フォワードバトル”。
「絶対に引かない。前に出続ける」男の覚悟

3月に入ってからの3試合、チームは「試合をするごとに良くなっている実感があります」と語るNECグリーンロケッツ東葛の山極大貴選手

3月30日に行われるディビジョン2のリーグ戦最終節で、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は大一番を迎える。対戦相手は首位の浦安D-Rocks(以下、浦安DR)、会場はユアテックスタジアム仙台だ。

198cm118kg、ロックを務める山極大貴は、今季のここまでのリーグ戦9試合、すべてに先発出場を果たしている。昨季から負傷離脱なく稼働し続ける鉄人だ。

その山極に、前節の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)戦において、GR東葛加入後、初めて味わう歓喜の瞬間が訪れた。前半24分、ニック・フィップスの巧みなパスを受けると、そのまま突進してダイナミックなトライを決めた。トップリーグ時代を含めて、44キャップ目で決めた初のトライだった。

「練習でやってきた形だったので、うれしかったですね」

日々の練習で反復して取り組んできた形が試合で発揮されれば、それは成功体験となり大きな自信へとつながる。

ただし山極によれば、リーグの前半戦では結果が出ていたとしても、まだ思いどおりにいかないことも多かったという。しかし3月に入ってからの3試合、レッドハリケーンズ大阪戦、日本製鉄釜石シーウェイブス戦、そして前節のS愛知戦では、ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチの志向するラグビーを具現化し、「試合をするごとに良くなっている実感があります」と確かな自信をのぞかせた。

「練習のときからチーム全体でミスが少なくなりました。本当に良い練習ができていると思います。それが試合につながっているので、浦安DR戦はすごく楽しみですね。開幕戦のときと比べれば、僕たちは伸びたと思います」

自分たちのラグビーに自信をつかんではいる。だが、「浦安DRのラインスピードは速い」と首位チームに対して油断はない。開幕戦以来の対戦となる難敵との試合に向けて、山極が自分自身に課すタスクとして強調するのはフォワードバトルだ。

「タックルでは絶対に引かない。前に出続ける。フォワードの1対1の勝負で勝つことが、僕の仕事です」

首位攻防戦へ、リーグ戦全試合先発出場となる山極のモチベーションは非常に高い。

この一戦に勝ったほうがリーグ戦首位通過となり、順位決定戦においてホストスタジアムで2試合を戦える大きなアドバンテージを得る。今季、ホストスタジアム全勝のGR東葛だからこそ、絶対に勝利を収めてそのアドバンテージをつかみ取りたい。

(鈴木潤)

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