2024.05.04NTTリーグワン2023-24 D2 1〜3位 順位決定戦 第3節 浦安DR vs GR東葛-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 1〜3位 順位決定戦 第3節
2024年5月6日(月祝)12:00 セイホクパーク石巻(石巻市総合運動公園)石巻フットボール場 (宮城県)
浦安D-Rocks vs NECグリーンロケッツ東葛

浦安D-Rocks(D2)

D2優勝を懸けた今季のD2ラストマッチ。
経験豊富な33歳が浦安DRデビューへ

浦安D-Rocksのトム・パーソンズ選手は2月に加入したばかりで、この試合で初めてメンバーに選ばれた。「チームに貢献して入替戦につなげていきたいです」

ディビジョン2 1~3位順位決定戦の最終節、浦安D-Rocks(以下、浦安DR)が首位突破を懸けてNECグリーンロケッツ東葛とセイホクパーク石巻(石巻市総合運動公園)石巻フットボール場で対戦する。両者の今季、リーグ戦での対戦成績は1勝1敗の五分。文字どおり、今季の決着をつける一戦となる。

真面目で寡黙なロックが準備を整えている。今年の2月に加入したトム・パーソンズは今節、初のメンバー入りを果たした。「チームが温かく迎えてくれてうれしかったので、その恩返しをしたいと考えていました。ようやくそのチャンスをつかめたので、しっかり準備して、チームに貢献して入替戦につなげていきたいです」。経験豊富な33歳は、時折柔和な笑顔を覗かせながらも落ち着いた様子で“浦安DRデビュー”に備えていた。

栗原徹コーチングコーディネーターが「ラグビーを知っている選手」と称賛するように、ラグビーの本場・ニュージーランド出身選手らしく特徴はラグビーIQの高さ。栗原コーチングコーディネーターの言葉を伝えると「プロの環境に長くいるので、試合を重ねるうちに経験も積んで知識も付いてきたという感じですね」と少し恥ずかしそうに言葉を並べたが、自身の特徴はしっかりと理解している。

「ピッチに立つ機会があれば、運動量とディテールの部分で自分の役割を全うすること、ラインアウトでしっかりと機能すること。その3つを重視しています。特に運動量に関してはタックル回数をできるだけ多くしたいと思っています」

ジャパンラグビー トップリーグ時代には東芝ブレイブルーパス(当時)に所属し、日本の文化や環境、人の優しさに大きな魅力を感じていた。「前回、日本でプレーしたときもいろいろな人に支えてもらいました。日本の文化をまた味わえる、経験できることが(今回加入した)決断の一つの理由になりました」。その表情と言葉から再来日を喜んでいることは十分に伝わってくる。

この順位決定戦を終えれば、残るは運命の入替戦の2試合のみ。浦安DRにとって今季のクライマックスがいよいよ訪れる。

「(D1に昇格して)古巣(東芝ブレイブルーパス東京)の仲間たちと対戦できる機会がくれば最高だけど、いまはとにかく自分たちの役割を全うして、来季、それを現実にできるようにするだけですね」

最高のフィナーレへ、“TP”(トム・パーソンズの愛称)が、D2優勝へとチームを導く。

(須賀大輔)

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

重要局面で復帰する、次代を背負うスタンドオフ。
意識するのは「15人をつなぎ合わせる役割」

長期の離脱から復帰、NECグリーンロケッツ東葛の吉村紘選手。「15人をつなげる作業にフォーカスしたいです。それは声やフィットネスで動き回ることなど、いろいろな方法があると思っています」

「ラグビーを始めてから、こんなに長い期間離れたのは初めてです」

けがや脳震盪など、度重なるアクシデントにより、長らく戦列を離れていた吉村紘が、ディビジョン2 1~3位順位決定戦第3節という重要な局面においてメンバー入りを果たした。出場すれば、昨季のD1第12節コベルコ神戸スティーラーズ戦以来、約1年2カ月ぶりの公式戦となる。

ただ、そんな離脱期間でも真摯にラグビーと向き合い、常に自らの成長を期して時間を有効に活用してきた。4月上旬に戦列復帰し、このタイミングでの公式戦でのメンバー入りには「大切な試合でメンバーに入れたことはうれしく思います」と、当然のことながらモチベーションは高い。

NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は、4月28日に行われたD2 1~3位順位決定戦第2節、豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)戦において、終盤までリードを奪いながら、ラスト5分間で14対17と逆転を許す手痛い敗戦を喫した。さらに言えば、リーグ戦第10節の浦安D-Rocks(以下、浦安DR)戦でも、リードを守り切れず終盤に試合をひっくり返されている。

今節、控えに名を連ねる吉村に出場機会が巡ってくるとすれば、後半途中からになる可能性が高い。直近2試合、終盤に逆転を許しているチームを、吉村はスタンドオフとしてどのように勝利へ導くのか、それを問い掛けてみた。

「15人をつなげる作業にフォーカスしたいです。それは声やフィットネスで動き回ることなど、いろいろな方法があると思っています。目に見えるコネクションではなくて、意識がプツンと切れてうっかりペナルティを与えてしまうときがあるので、そこでみんなをハッとさせるために常にしゃべり続ける、『やばい』と思ったときに自分がそこにいて、危機を回避する状況を作れればいいと思います。アタックでは、パンチのある(インパクトを残せる)選手はたくさんいるので、その選手たちをつなぎ合わせる役割を果たしたいと思います」

また、今回の浦安DR戦では田中史朗も控えのメンバーに選ばれた。

「僕が復帰戦で、フミさん(田中)もひさしぶり(約1カ月ぶり)のメンバー入りだったので、『お互いに頑張ろう』という話をしました」(吉村)

吉村がジャパンラグビー リーグワンデビューを飾った昨季のD1第11節東芝ブレイブルーパス東京戦で、先発のスクラムハーフを務めたのは田中だった。同時出場が叶えば、それ以来のコンビ復活だ。「二人がグラウンドに立ったときは良い流れに持ち込めるように頑張りたいと思います」と吉村も試合に懸ける強い意気込みを語った。

5月6日、GR東葛は必勝を期して浦安DRとの決戦に臨む。S愛知戦での逆転負けの流れを断ち切るとともに、D1/D2入替戦に向けて勢いをつかめるか。吉村の復帰が起爆剤となることを期待したい。

(鈴木潤)

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