2024.03.31NTTリーグワン2023-24 D2 第10節レポート(浦安DR 31-28 GR東葛)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第10節
2024年3月30日(土)14:30 ユアテックスタジアム仙台 (宮城県)
浦安D-Rocks 31-28 NECグリーンロケッツ東葛

またも31対28。
上位対決の明暗を分けた、“正念場”での共通理解

ゲームの最後に、同点、そして逆転のペナルティゴールを連続して成功させた田村煕選手。プレーヤー・オブ・ザ・マッチも受賞した

前半4分に浦安D-Rocks(以下、浦安DR)がイズラエル・フォラウのトライで先制すれば、前半15分にはNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)もアッシュ・ディクソンのトライで逆転に成功する。序盤から展開された抜きつ、抜かれつのシーソーゲームは、ディビジョン2リーグ戦の1位、2位対決にふさわしい好バトルとなった。

この拮抗した真っ向勝負の明暗を分けたのが、ラスト20分間の戦いだった。

後半16分の時点で25対28。金井大雪の見事なキックパスに抜け出した児玉健太郎のトライ、さらにはティアン・スワネポールのコンバージョンキックで再逆転のGR東葛が一歩前に出る。浦安DRからすると窮地に立たされたこの状況について、飯沼蓮キャプテンは「チームがパニックにならなかった」と振り返った。

昨季の浦安DRはリーグ戦全勝、さらに順位決定戦でも2連勝して、花園近鉄ライナーズとの入替戦へと臨んだ。しかし、その重要な2試合でチームはパニックを引き起こし、D1昇格の道が閉ざされた。

「昨季はすべてがうまくいって、最後の入替戦でパニックになって負けた経験がありました。今季もタイトな試合や練習でもうまくいかないときには、昨季の反省からしっかりチームがコネクトして、自分たちがやってきたことを振り返り、いまはどこを修正すべきなのかをシンプルにフォーカスすることを1年間かけてやってきました。試合中はハドルして、全員の目を見て、次にやることを確認する。それをやっただけです」(飯沼)

ハドルを組む浦安D-Rocksの選手たち

昨季の経験を生かし、冷静に試合を進める浦安DRは、後半27分と同37分にGR東葛のオフサイドで得た二つのペナルティではショットを選択。田村煕のペナルティゴールで3点ずつを加点し、土壇場で31対28とスコアをひっくり返した浦安DRが、紙一重の激闘を制した。

「最後の20分、正念場では素晴らしいパフォーマンスを残せた」と浦安DRのヨハン・アッカーマン ヘッドコーチが選手をたたえれば、一方のGR東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチは「こちらに足りなかったのは規律。二度のペナルティをオフサイドで取られてしまった」と敗戦につながる失点を悔やんだ。

浦安DRとGR東葛の直接対決は1勝1敗、しかもスコアはともに31対28である。互角の力を持つ両者は、今季3度目の対戦となる5月6日の順位決定戦第3節で決着をつける。

(鈴木潤)

浦安D-Rocks

浦安D-Rocksのヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ(左)、飯沼蓮キャプテン

浦安D-Rocks
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ

「全体的に結果に対しては安心していますし、勝てたことに満足していますが、チームとして課題は残っていると思います。試合に関しては、序盤は良い立ち上がりでしたが、そこからセットピース、ラインアウトのミスがいくつかあり、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)に勢いを与えてしまいました。そこから自分たちのミスを修正して、セットピースも良くなり、良い展開に持ち込めたと思います。けがから復帰した選手がプレーできたことは良かったと思いますが、両チームにけが人が出てしまったので、そこに関しては悲しい思いをしています。けが人が出てしまった中で、GR東葛が良いプレーをしている局面ではトライを与えてしまった場面もありましたが、リードされたあとも慌てずに、自分たちが3点を取りにいく必要があるところは3点を取りにいく、攻める必要があるときは攻めにいくことがうまくできていた試合だったと思うので、そこに関しては満足していますし、試合全体としては良い試合だったと思います」

──ラインアウトでいくつかミスもありましたが、相手と競り合う中でうまく取れていたと思います。今日のラインアウトの評価をお願いします。

「そこはスロワーのフランコ・マレーや金正奎、あとはコーラーの中島進護のおかげで良いラインアウトができていたと思います。特に試合の最後の20分、正念場では素晴らしいパフォーマンスを残せたと思います。相手の激しいコンテストの中や、精度が求められるスローで、フッカーは精度高くやり切ってくれました。ラインアウトの3つのミスに関しては、二つ目のミスはラインアウトでアタックのチャンスが失われてしまいましたし、ペナルティキックの直後のラインアウトでもミスをして、逆に相手にスコアされてしまいましたので、チャンスのラインアウトを失って相手にトライをされてしまったことは課題として残りますが、選手たちの試合をとおして修正し続ける努力は素晴らしかったですし、結果的に修正できたので、そこは彼らをたたえたいと思います」

浦安D-Rocks
飯沼蓮キャプテン

「今日はありがとうございました。ヨハン(・アッカーマン ヘッドコーチ)が言ったとおり、前半は良い立ち上がりで、その後はGR東葛にリードされる展開になりました。そこでしっかり全員がコネクトしていたと思います。九州電力キューデンヴォルテクス戦で出たオフ・ザ・ボールの課題を今週たくさん言ってきたのですが、もう一度自分たちのこだわってきたところに立ち返ろうということで、(リードされても)しっかり切り替えて良い修正ができたことと、キックとゲームコントロールをして3点を取っていくことができたので、それがうまくいったと思います」

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ(左)、レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ

「勝ちにきたことは間違いありませんが、負けてしまったことは残念に思います。ただ、この試合に関しては内容からポジティブなものを得たいと思っています。ポジティブなものの要素として、スコアできる機会を作り出すことはお見せできたと思います。そのうち2トライの機会があったところを強調してお伝えすると、前半に敵陣22mのところでミスパスがなければ歩いてトライができるぐらいのチャンスがあったのと、もう一つはコーナーのところでアセリ・マシヴォウからアッシュ・ディクソンのパスが渡ればトライができたところがありました。全体的にスコアの機会があったことは良かったと思っています。

ただ、浦安D-Rocksの得点にも、こちらが加担してしまったと思っていて、特に前半の一つの場面を挙げると太陽光が目に入ってしまい、ボールを取りこぼした場面がありました。もう一つ挙げると、こちらに足りなかったのは規律だと思っていて、二度のペナルティをオフサイドで取られていますので、そこで10点を相手に与えてしまったと感じています。次は規律を正して、もっと自信を得た状態でフィールドに戻ってくることが楽しみです」

──規律が足りなかった原因をどう分析していますか?

「個人の理由が多いと思っていますし、あとはプレッシャーだと思っていますが、もう少し(オフサイドにならずに)オンサイドになるハードワークをしなければいけないと思っていますし、それはハーフタイムに伝えました。前半より、後半のほうが良くなったとは思いますが、そこから10点を取られてしまった事実は変わりないと思っています」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「めっちゃ良い試合でした。最後までずっとタイトな試合でしたけど、ウェイン(・ピヴァック ヘッドコーチ)が言ったように、負けてしまったけど自信はあります。相手の得点は自分たちのミスから。前半に自分はけがをして、3点差の負け。それでも、(自分たちの戦いに)自信はもっています。次の順位決定戦での対戦を楽しみにしています」

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