2024.04.09NTTリーグワン2023-24 D3 第12節レポート(WG昭島 22-46 江東BS)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第12節
2024年4月7日(日)13:00 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場 (東京都)
クリタウォーターガッシュ昭島 22-46 清水建設江東ブルーシャークス

すべてを熟知するベテランにけん引されて。
江東BS、1シーズンでのD2復帰決定

高いパフォーマンスで今節もプレーヤー・オブ・ザ・マッチ。清水建設江東ブルーシャークスのコンラッド・バンワイク選手

クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)は、清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)を駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場に迎えて、入替戦進出のために“負けられない戦い”に臨んだ。前半はWG昭島が一時リードする時間帯もあったが、最終的には22対46というスコアでの完敗。この結果を受けて、江東BSの来季のディビジョン2昇格が決定した。

江東BSの仁木啓裕監督がシーズン中に何度も繰り返した“先手必勝”の言葉。その言葉をピッチ上で体現し続けてきたのは、36歳のベテラン、コンラッド・バンワイクだった。この日は3トライ、5コンバージョンゴール、2ペナルティゴールと、一人で31得点を挙げ、2試合連続でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出。第12節を終えて、トップを走っていたディビジョン3の得点ランキングに続き、トライランキングでもトップに浮上した。

「トライ王、得点王の可能性があるのは知っていますが、自分のスタッツはあまり意識していません。それよりも、チームのプランを遂行すること、キャプテンを助けることがモチベーションです」(コンラッド・バンワイク)

今季の活躍の理由を問われると、「スタンドオフでもプレーするので、どのポジションがどう動くのか、感覚的に分かります。特に、リマ(・ソポアンガ)のようなワールドクラスの選手がスタンドオフにいてくれると、とてもプレーしやすいです」と、今季から加入したニュージーランド代表オールブラックスでプレーした経験を持ち、現在はサモア代表でプレーするリマ・ソポアンガの存在を挙げた。

豊富な実績とキャリアでチームをリードする、リマ・ソポアンガ選手

また、もう一つの理由として江東BSの外国人選手の中で最も長くチームに在籍している選手の一人として、チームメートのプレーの特長を熟知していることも挙げられる。自身の経験と仲間のサポート、そして“チーム愛”とでも言うべき感情が、安定したパフォーマンスの土台になった。

D2への復帰を1シーズンで決めてみせた江東BS。来季は一つ上の舞台でどんなラグビーを見せてくるのか、いまから楽しみでならない。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)

クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島のワイクリフ・パールー ヘッドコーチ(左)、中尾泰星ゲームキャプテン

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「前回の2試合と比べるとスタートは良かったですが、それを80分間継続することができませんでした。スキル、メンタルの部分で、チャンスをつぶしてしまっているので、さらに修正が必要です」

──自分たちが得点したあとに、すぐに相手に取られてしまった。なぜうまくいかなかったと思っていますか?

「チームというよりは、個人のスキルの問題で、その個人のミスがチーム全体に影響を及ぼしてしまっていると思います。そこで相手にプレッシャーを掛けられてしまいました。選手はハードワークしてくれているので、なんとか解決策を見つけていきたいです」

──残り3試合。どういう内容の試合をしたいですか?

「今までやってきたことを信じてプレーしたいです。(シーズンの)最初に自分たちが描いていた昇格とは違う形ですが、最後まであきらめずにディビジョン2昇格を目指していきたいです」

クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星ゲームキャプテン

「コンタクトの部分で圧倒できたこともあるなど、ポイント、ポイントではいい部分がありましたが、ミスをしてはいけないところでミスをしてしまい、最後の大事なところで我慢できなかったのが、今日の敗因だと思います」

──クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)のリーグワンホストゲームとしては過去最多となる1,608名の観客が集まりました。

「スタンドを見たときに、メインスタンドもバックスタンドもファンが多いな、と。“ウォータガッシュコール”は試合中にも聞こえていて、力になりました。だからこそ、グラウンドでいいゲームをして、またファンに来てもらえるようなプレーをしないといけないと思います」

──残り3試合。どんな試合を見せたいですか?

「アタックもディフェンスも、しっかり体を当てること。キックチェイスもハードにいくこと。残りは3週連続で試合があるので、しんどくなると思いますが、プレーできる選手でしっかりとカバーしながら、1試合1試合にフォーカスして、勝利して、入替戦に向かっていきたいです」

清水建設江東ブルーシャークス

右から、清水建設江東ブルーシャークスの仁木啓裕監督兼チームディレクター、白子雄太郎キャプテン、コンラッド・バンワイク選手

清水建設江東ブルーシャークス
仁木啓裕監督

「選手たちががんばってくれました。D2昇格を勝ち取ることができて本当にうれしいです。『江東』という名前をチーム名につけさせていただいて3年目になるのですが、江東区の方々にも可愛いがってもらっていて、なんとか昨季の悔しい思いを晴らせたのではないかと思います。ただ、われわれはスタートラインに戻ってきただけです。D2での戦いに向けて、1日1日、しっかり積み重ねていきたいと思います」

──D2に昇格できた要因をどう捉えていますか?

「今季から監督をさせていただくことになったのですが、就任したときは、かなり大きな仕事だなと思っていました。ですが、就任してみたら、意外に仕事がなかったです(笑)。選手たちは降格したことをしっかりと受け止めていましたし、吉廣(広征)ヘッドコーチを含めたスタッフが、今日の結果をもってきてくれたと思います。選手は仕事とラグビーの両立というタフな環境で、毎日チャレンジをしてくれました。1分でも1秒でも無駄にしないように試合に向けて用意できたのが、昇格という結果につながったと思います。全員で勝ちとった結果です」

──残り2試合あるが、どのように戦いたいですか?

「この2試合がD2のスタートだと思っています。今日は昇格を決めて緩んだ空気になると思いますが、来週からネジを締め直してやっていきたいです」

清水建設江東ブルーシャークス
白子雄太郎キャプテン

「今季は昇格を目標に掲げて活動をして、その目標を達成することができたことはすごく良かったです。もう一つのテーマとして掲げているのは、D2に戻ったときにも通用するような力をつけるということですが、そういった意味では今日の試合ではミスが多く、ペナルティも多かったです。あと2試合あるので、レベルアップしてシーズンを終えたいです」

──D2に昇格できた要因はなんだと思いますか?

「シーズン冒頭に、選手たちで話し合いの場を設けました。『仕事とラグビーの両立は肉体的にも精神的にもハードで、つらいことが多いけれど、シーズンを通して一貫性をもってやり続けよう』と話しました。今日の昇格は選手たちがコミットした結果だと思います」

清水建設江東ブルーシャークス
コンラッド・バンワイク選手

「前半はうまくプレーできましたが、後半は自分たちで苦しめてしまいました。D2で戦っていくには、後半のようなプレーは修正しないといけない。あと2試合残っているので、D2への準備ということで、有効に使っていきたいです」

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