2024.04.14NTTリーグワン2023-24 D1 第13節レポート(東京SG 60-10 三重H)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第13節 カンファレンスA
2024年4月13日(土)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東京サントリーサンゴリアス 60-10 三重ホンダヒート

「ホリを男にしてあげたい」。
背中で語るキャプテンへ、東京SGの思いはただ一つ

東京サントリーサンゴリアスの堀越康介キャプテン。フッカーとして両プロップを従え、スクラムでも中心的な役割を担う

秩父宮ラグビー場で行われたNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1第13節、3位の東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)は三重ホンダヒートを60対10で破り、プレーオフトーナメント進出に大きく近づいた。

スコア上は大勝。にもかかわらず、「今日の自分(の出来)は50点。まだまだ未熟だなと思いました」と辛口で振り返ったのは、この試合でトップリーグ時代からの通算でチーム50キャップに到達したキャプテン、堀越康介だ。自身の節目に喜ぶ様子もなく、むしろ苛立っているようでもあった。

「アタックは0点。ディフェンスは……100点まではいかないですね。間を取って50点です。普段はあまりノックオンをしないのに、今日は2回も(してしまった)。試合中、流(大)さんにはフォワード全体で怒られました。いち選手としても、リーダーシップの面でも、もっともっと成長していかないといけないなと感じました」

普段からキャプテンの役目として「チームのマインドセットの部分、モチベーションを上げる役割を徹底したい」と語るように、大勝したときこそ、チームや自身の課題に目を向けられるのが堀越ならではであり、それは東京SGの流儀とも言える。

そんな自分に厳しすぎるキャプテンを、田中澄憲監督はこうフォローする。

「堀越は誰よりも先頭に立って体を張ってプレーしてくれました。これから先、100キャップ、150キャップをこのチームで重ねていけるような、東京SGを象徴するような選手になっていってほしいと思います」

同じように、「象徴」という言葉で堀越を評したのは、試合中に堀越に檄を飛ばした元キャプテンの流だ。グラウンドで厳しく接するのも、同じリーダー経験者としての信頼であり、期待の大きさからなのだろう。言葉でチームを盛り立てるのが流の流儀ならば、堀越は背中で語ってチームを引っ張るスタイルであることを、流もまた認めている。

「ホリ(堀越)はチームで一番タフな選手。言葉は下手でも『付いていきたい』『支えたいな』と思えるキャプテンです。チームのシンボルであり、タフな戦いをする象徴だと思うので、ホリを男にしてあげたいですね」

キャプテンを男にするため、狙うはもちろん優勝のみ。次節に勝利すればプレーオフトーナメント進出も決定だ。

(オグマナオト)

東京サントリーサンゴリアス

東京サントリーサンゴリアスの田中澄憲監督(右)、堀越康介キャプテン

東京サントリーサンゴリアス
田中澄憲監督

「今週は『プラスワン』というテーマを掲げて準備をしてきました。具体的には先週のコベルコ神戸スティーラーズ戦から自分たちがどれだけレベルアップしたか、チャンピオンになるために階段を一つ昇れるか、そこが大事な任務だったと思います。選手がタフな選択をして、特に前半の最後に21フェーズを守り切った部分や、後半に19フェーズを重ねてトライをしたところ。ある意味、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)らしいプレーを選手たちはしてくれました。

学びの部分では、(敵陣の)22mライン内に入ったときに我慢強くアタックするという点は今後のプレーオフトーナメントに向けて伸ばしていかなければいけない部分です。来週に向けて、大事に準備していきたいと思います」

──前半はかなり力強い試合展開でした。

「われわれの強みはやっぱりアタックだと思います。今週はアタッキングマインドの部分をテーマにやってきたので、そのプランをしっかり遂行したということと、ボールを動かすことによってディフェンスのほころびを作り出すことができました。それが我慢比べの部分でしっかり勝てたということではないでしょうか」

東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン

「今日はいい場面もたくさんありましたが、簡単にトライを取りに行ってミスが出た場面もありました。リーダーの自分自身が何回もミスをしてしまうと、締まらないゲームになるなと感じました。後半は『0対0のイメージから一つひとつ、作り上げよう』『プランを遂行しよう』とハーフタイムに話をして、それを後半の40分間で出せたことは良かったと思います」

──ご自身の50キャップ達成の感想をお願いします。

「22歳でこのチームに入って、昨夜も振り返っていたんですけど、『感謝』という言葉が自分の中では一番強く浮かんできました。入団からこれまで、本当にいろいろな人にサポートしてもらって、それがいまも続いているので、今日はそういう人たちのためにも絶対にいいプレーをしようと思って試合に臨みました。

このチームで試合に出ることは当たり前だとは思っていません。1キャップを取るために本当にみんながハードワークをしているようなチームです。そういう重みを感じながら、次の51キャップ目に向けて、通過点としてハードワークしていきたいと思います」

三重ホンダヒート

三重ホンダヒートのキアラン・クローリー ヘッドコーチ(右)、古田 凌キャプテン

三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ

「最初にミスから3トライを献上してしまったのは非常に反省すべき点です。昨季までのディビジョン2と違い、D1では相手がミスを見逃してくれません。ミスをすれば相手に得点を献上する機会を与えてしまうと考えて練習していかないといけません。後半に関してはディフェンスもいい形だったし、アタックもいい形を続けて得点を重ねることもできました。しかし、最終的に東京SGさんのフィジカルの部分に圧倒されてしまいました。これが正直な感想です」

──先週も今週も、前半にやられています。

「単純にチームとしてまだ不十分であるということです。最初に3トライを相手に与えてしまうということは、相手もそれだけプレーに自信をもって(以降の)試合を作ってしまいます。ただ、前半15分過ぎからは相手を抑えることができた点は改善が見られるところかなと思っています。

最終的に自分たちがしっかりできれば、ゲーム終盤に向かって相手についていくことができますけど、現状はそれをなかなかできていません。われわれの力不足ということで、練習が必要な要素だと思っています」

三重ホンダヒート
古田凌キャプテン

「(キアラン・クローリー)ヘッドコーチの言葉どおり、フィジカルの部分でスタートから自分たちの思うようなプレーをさせてもらえなかったというのが正直な感想です。フィジカルはやっぱり負けてはいけない。そこは立ち向かっていかないとダメですね」

──入替戦への出場が決まってしまったことに関する受け止めと修正点を聞かせてください。

「いま言ったように、フィジカル面でファーストコンタクトの部分、そこを自分たちがいかに前で止められるか。そこが修正点ですね」

──リーグ戦残り3節において、チームに自信を付けていくためにどう働きかけていきますか?

「まずは自分たちの強みを理解して、何が通用して何が通用していないのかをハッキリさせないといけません。コーチが言ったとおり、試合冒頭の20分を改善しないと自分たちのペースに持っていけないので、そこを重点的にフォーカスしてチームへの言葉掛けをやっていきたいです」

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