2024.04.25NTTリーグワン2023-24 第14節 中国RR vs WG昭島-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第14節
2024年4月27日(土)14:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ vs クリタウォーターガッシュ昭島

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

2シーズン連続フル出場へ。
堅実なプレーヤーだからこそ目指すモノ

中国電力レッドレグリオンズの藤井健太郎選手。「今後につなげるためにも、この平凡な殻を少しでも破らないといけない」

スピードやステップワークで相手をかわしてトライを決める。ウイングはラグビーの花形ポジションの一つだ。だが、右ウイングでプレーする藤井健太郎は「僕は平凡な選手ですよ」と落ち着いた口調で言う。

「僕は確実性をとるタイプ。突出したものがあるわけではないので、自分が生き残っていくために、安定感のあるプレースタイルを目指しています」

藤井は2022年4月に中国電力レッドレグリオンズに加入。持ち味である攻守に堅実なプレーを続けて、右ウイングのレギュラーの座をつかんでいる。

「派手なプレーができる選手ではないので、地味なところを評価されていると思う。非凡じゃないので、一発で大きいゲインはできなくても、1回1回のボールキャリーで地道にゲインしたり、チームの勢いを付ける場面で顔を出したり、自分のできる範囲を確実にやることを意識している」

1年目の昨季はチーム最多6トライを決め、ゲインメーターでもディビジョン3のランキング6位に入るなど活躍が光った。今季はこれまで2トライと物足りないが、試合中のコミュニケーションや味方との連係も向上し、特にディフェンスで手ごたえを得ている。

「昨季よりディフェンスは確実に成長できているし、数字に表れないところを頑張れている。目立つタックルは多くないけれど、昨季より外でブレイクされる数も減っているし、ディフェンスの粘り強さは自分でも評価しています」

昨季はルーキーで全12試合フル出場を達成。今季も不戦敗になった第4節を除いて常にグラウンドで戦ってきた。今節はクリタウォーターガッシュ昭島をホストエリアに迎えてのシーズン最終戦。スタメンに入った藤井は最後までプレーすると、2シーズン連続の全試合フル出場を果たす。

「ウイングはフル出場が当たり前だと思っていて、その上でどれだけタフに動けるかだと思う。試合に出る以上は80分間走り続けて激しく戦うところはこだわっています」

藤井は地に足をつけて戦っているが、もちろん飛躍への意欲もある。「いい選手は地味な基礎ができた上で派手なことができると思うので、基礎をおろそかにして上を目指すことはできない」。これまで地道に土台を築き上げてきた。そこに飛躍のための種をまいていく。

「今後につなげるためにも、この平凡な殻を少しでも破らないといけない。結局は自分との戦いだし、我を出すところが自分に足りないところだと分かっている。そこは芽が出るまで努力するところです」

華々しいプレーがウイングのすべてではない。堅実な藤井は自分らしく咲くために80分を戦い抜く。

(湊昂大)

クリタウォーターガッシュ昭島(D3)

「日和佐篤さんのように」。
先発の機会をつかんだ新鋭が入替戦進出への扉を開く

コベルコ神戸スティーラーズの日和佐選手を目標にプレーしてきたというクリタウォーターガッシュ昭島の新和田錬選手

ディビジョン3第14節、クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)は、Balcom BMW Stadiumで、中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)戦に挑む。

前節の日野レッドドルフィンズ戦では、敗れはしたものの、後半に4連続トライを挙げるなど、いい流れで試合を終えることができた。その積極的なアタックを生み出したのが、後半2分から出場した新和田錬だ。今季開幕戦のマツダスカイアクティブズ広島戦以来となった出場の裏には、コーチ陣の信頼を勝ち得るためのたゆまぬ努力があった。

「試合の映像を何度も見返して勉強してきたことが、ようやく(ピッチでのプレーに)結び付いてきました。あとは、『なにくそ』という気持ちですね」

3歳でラグビーを始めた新和田が、スクラムハーフとしてプレーするようになったのは尾道高校ラグビー部に入部してからだが、実は小学生のころから目標にしていた選手がいる。日本代表キャップ51を持ち、現在はコベルコ神戸スティーラーズに所属する日和佐篤だ。「日和佐さんのように、試合のテンポを上げることと、(ラックからボールを持ち出して)ランでもしかけられること。それが自分の強みだと思っています」と、目標とするプレースタイルは明確だ。

そして今節は、自身初めてとなる公式戦のスターターの座をつかみ取った。D2との入替戦進出のためには、もはや1試合も落とせない状況での出番となるが、「絶対に勝たなければいけない試合なので、前向きに、ガンガンやりたい。相手の中国RRはコンタクトが激しくて、最後まであきらめないチームなので、そこに負けないように、ウチのフォワード陣に積極的に声を掛けていきたいです」と、気合い十分だ。

WG昭島に残されたチャンスはあと2試合。絶対に負けられない戦いの中で、新和田が“違い”を見せられるか。入替戦進出への扉は、わずかに、しかし、まだ開いている。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)

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