NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第1節
2024年12月22日(日)13:00 足利ガスグラウンド(足利市総合運動場陸上競技場) (栃木県)
狭山セコムラガッツ 24-15 クリタウォーターガッシュ昭島
リーグワン初勝利につながる1トライ。
「ルーキーらしく、力全開で」
栃木県でのリーグワン初開催。また、女子セブンズ日本代表として活躍し、引退後にレフリー転身を果たした桑井亜乃さんがリーグワン初の女性レフリーとしてゲームをさばくことでも注目を集めたこの一戦。強い風が吹き荒れる厳しい環境となった中、今季からリーグワン参入を果たした狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)が少ないチャンスをものにし、クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)から記念すべき1勝を挙げた。
キャプテンの飯田光紀がチームのリーグワン初トライを挙げれば、ダニエル・ウェイトがコンバージョンゴールを3本、ペナルティゴールを1本決め、新戦力として期待を集めるチェイス・ティアティアも1トライで存在感を示した。開幕前に飯田が「チーム力がウチの強み」と語ったことを証明するかのような戦いを見せた。
そんな中で、将来的にチームの軸となることを期待されているルーキー・奥田勇志も貴重な1トライを挙げた。試合後、奥田は「ディフェンス面での課題はまだまだありますが、1トライ決められたことはとてもうれしい」と話すと同時に、「夢の舞台だったリーグワンで試合をできる喜びをかみ締めながら、ルーキーらしく力全開でチームにいい影響を与えていきたいと思います」と今後のさらなる飛躍を誓った。
奥田の魅力といえば、甘いルックス。自身のSNSにも、アイドルと見間違えるような写真がいくつか掲載されている。そんな彼は、社会人1年目を迎えた2024年に、二つの転機を迎えた。それは結婚と第一子の誕生だ。ラグビー以外にも守るべきものができたことに対して、「家族ができたことで僕自身のプレーが変わるということはないです」と照れ笑いを浮かべながらも、「応援してくれる人が増えたことは僕の力になるはず。だからこそ、もっと自分も頑張っていかなきゃいけないという気持ちが強くなっています」と語っていた。
家族が誇れる父親として、またD2昇格を目指すチームの顔として、さらなる高みでの活躍を目指す奥田。そのスタートを最高の形で迎えた彼の成長を追っていきたい。
(松野友克)
狭山セコムラガッツ
狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ
「開幕戦だけに両チームともに100%を出したと思います。すごく喜んでいますし、面白い試合でした。100%を出してもミスは結構あり、見ていて分かると思いますが、風もかなり影響がありました。狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)側としてもこういう規模でやるのはすごく久しぶりだったので、来てくださった皆さんがすごく喜んでくれていました。こういう雰囲気はすごく大事だと思いますので、またステップアップをしていかなければいけないと思います」
──ステップアップという言葉もありましたが、開幕戦を経て、あらためて見えたチームの改善点などがあれば教えてください。
「相手も相当なプレッシャーを掛けていましたが、前半はもうちょっと敵陣に入ってプレーする時間を増やさなければいけなかったです。でも、そこはどんどん試合をやりながら学んでいけばいいと思います。勝ち負けはすごくいい経験になりますので。また次の試合はゼロからのスタートだと思います。相手も同じ感じでくると思いますので、ラックにプレッシャーを掛けてくるでしょう。そういう意味でも、どう自分たちが仕事をするかがポイントになってくると思います」
狭山セコムラガッツ
飯田光紀キャプテン
「相手のフォワードもバックスも力の強い選手が多く、自陣に攻め込まれるシーンはあったんですが、そこでしっかり守り切れて、かつ得点チャンスが少ないところで取り切れたのが、勝てた要因だと思います。そこはすごくうれしいんですが、このあとタフな試合が続くと思うので、しっかりとそれに備えて準備をしていきたいです」
──先ほどスコット・ピアス ヘッドコーチからもあったように、特に前半は風の影響が強かったと思います。ピッチ内で選手たちはどんな話をされましたか。
「ゲームプランとしては、最初から敵陣でずっとプレーしようというふうに言っていたので、風は結構すごかったんですが、自陣のところではしっかり蹴っていって、敵陣でプレーしようと心がけをしていた感じです」
──前半9分にご自身のトライが生まれました。あのシーンを振り返ってください。
「やっぱり数少ない敵陣に入るチャンスではあったので、そこでしっかりとトライを取り切れたというのはすごくいい形でした。今後も継続していきたいです」
クリタウォーターガッシュ昭島
クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ
「まず、ゲームのスタートの部分で言うと、敵陣でプレーできていましたが、決め切ることができませんでした。またエッジ部分のディフェンスでコネクションが取れておらず、相手に簡単にトライを挙げられてしまったのは反省点です。ただ、自分たちがボールをキープして、相手にプレッシャーを掛け続けて、前半の終盤に自分たちが点を取るという形ができたのは良かったと思っています。後半に関しては、相手にプレッシャーを掛けられるほど、自分たちがボールをキープできなかった部分があったと思います。そしてラインアウトやハンドリングのエラーが目立つなど、基礎の部分のミスが自分たちの首を絞めてしまったと思います」
──中尾泰星キャプテンの反省の弁を聞き、どう思われましたか。
「確かに効果的に自陣から脱出できなかったと思います。まずはキャリーでボールを前に進めながら蹴るという点もできませんでした。キャリーができていない状況でキックになると、向かい風になったときに特に厳しくなります。ただ、キックだけでなくキャッチやパスというシンプルな部分でミスが出たので、自分たちの首を絞めてしまったと思います」
クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星キャプテン
「前半が始まって、狭山RGさんのアタックをちょっと見てしまい、簡単にトライを取られるところがありました。それでも前半の最後に、自分たちが相手に向かっていって、時間を作り1本トライを取り切れたところは、前半の折り返しとしてはとても良かったと思います。
後半のはじめは僕らが敵陣でプレーできていましたが、得点を取り切ることができませんでした。そのあたりからノックオンやノットリリース・ザ・ボールなどのミスが増えてきてしまって、流れに乗り切ることができませんでした。逆に僕たちのペナルティで点を重ねられて、1トライ1ゴールでひっくり返せないところまで点差を広げられてしまったのが、今回の試合で厳しかったところだと思っています」
──前半は風向きや強さもいろいろと変わってやりにくさもあったかと思いますが、その点でプレーに影響したことはありましたか。
「風がすごく強くて、パスのボールも浮いてしまうぐらいの感じだったので、『自陣で対応していてもしんどいな』というところはありました。蹴り込んでから敵陣でディフェンスしてもいいと思います。もちろん一番いいのはアタックを始めるところで立て直しながら自陣で蹴ることでしたが、いいフェーズで蹴ることができませんでした。キックチャージをされるところもあったので、蹴ろうという話はしていましたが、完全に実行することができていなかったと思います」
──そこは次戦へ向けての反省点という形になりますか。
「そうですね。自陣からチャンスがあれば攻めていきたいんですが、いい形でどんどんキックで前に出ていくところは、今シーズン目指しているところではあるので、修正点になると思っています」