2025.02.16NTTリーグワン2024-25 D3 第6節レポート(狭山RG 33-40 WG昭島)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第6節
2025年2月15日(土)13:00 足利ガスグラウンド(足利市総合運動場陸上競技場) (栃木県)
狭山セコムラガッツ 33-40 クリタウォーターガッシュ昭島

夢の舞台に立つ二人が見せた意地の巻き返し。あきらめず戦い抜く力が、チームの力になる

リザーブからの出場でリーグワン初キャップを獲得した狭山セコムラガッツのベテラン山下誉人選手

今季二度目の対戦となった狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)対クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)。狭山RGは4連勝を目指したが、立ち上がりからWG昭島の激しいプレッシャーにペースを握れず前半を0対26で折り返した。後半には縦を意識した攻撃でペースを引き寄せ7点差まで迫るも、前半で得点できなかったことが響き黒星となった。それでも、スコット・ピアス ヘッドコーチは「ボーナスポイントが取れたことは、今後のシーズンを考えれば大きいこと」と前を向く。

前半と後半で大きな違いが出たこの試合で光ったのが、途中出場となったリザーブメンバー。中でもチームのシニアリーダーの山下誉人は、リーグワン初キャップとなった。「個人的にはまだまだ課題が残る点は多いですが、途中から入ったメンバーとしては、ボーナスポイントが取れるまで追い付けたので良かったと思います」。2015年からプレーし、いずれはリーグワンの舞台に立ちたいと願い続けてきたベテラン。一つの目標をかなえたことについては「ずっと(リーグワンに)上がりたいと思い続けて頑張ってきた。やっとこの日がきたなと、感慨深いところもありました」と語った。

過去にキャプテンを務めた経験もある山下。「(飯田)光紀も3年目でキャプテンとして頑張ってくれている。その大変さは僕も分かる部分もあるので、サポートしていけたら」と話している。

この試合でリーグワン初トライを挙げた奥野翔太も、後半の巻き返しに貢献した一人だ。第2節を除く5試合すべてで途中出場している奥野。途中出場の難しさについて、「それまでの試合展開などはあまり気にしていません。最高の状態でゲームに入れるように、自分だけを見つめて準備をしているので」と述べる。

後半16分から出場し、リーグワン初トライを挙げた奥野翔太選手

小学校1年生からラグビーを始めた奥野。神戸市出身で日本のラグビー界をけん引し続ける神戸製鋼(現・コベルコ神戸スティーラーズ)のファンでもあった。「国内最高峰のリーグのエンブレムがついたユニフォーム(ジャージー)で自分もプレーしたいとずっと思っていました。途中、あきらめかけた時期もありましたが、やっと夢が叶った。リーグワンのエンブレムがついたユニフォーム(ジャージー)でプレーするのは、格別です」。

たゆまぬ努力を続け夢の舞台にたどり着いた二人。この強靭な精神力こそが、どんな展開でも最後まであきらめず戦い抜く狭山RGのチーム力につながっていることは間違いない。

(松野友克)


狭山セコムラガッツ

狭山セコムラガッツのスコット・ピアス ヘッドコーチ(左)、髙島理久也ゲームキャプテン

狭山セコムラガッツ
スコット・ピアス ヘッドコーチ

「今日の試合は、前半と後半で大きな差が出た試合だったと思います。前半はまったく試合のコントロールができませんでした。相手はボールキャリアーがすごくて、ボールを前に運ぶことができていました。その中でディフェンスが寄ってしまい、リセットも遅くなり、エラーも多くなってしまいました。一方で後半最初の10分はそれほどよくなかったですが、ラスト20分のパフォーマンスは悪くはなかったです。メンバーには、『負ける試合からはいっぱい学ぶことがある』と伝えました。だから今日学んだことをしっかりと復習していかなければいけないです。それができなければ、また同じ結果になる。だから細かい部分も含めて、復習をしていかないといけないです。もっとコンタクトのときにサポートする選手が早めに入るなど、ディフェンスの接点はコントロールしないと何もできません。次に向けてはそこをしっかりと復習していくつもりです」

──クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)は、前節までD3で攻撃時の平均ラックスピードが2.7秒と最も速いというデータがありました。今日の試合ではそのスピードとコンタクトの強さに圧倒されてしまった印象がありますが、その点はいかがでしょうか?

「WG昭島のラックスピードには注意していた部分はあります。そこはプレッシャーを掛けていきたかったが、反応が遅くなっていけませんでした。今までもいろんなミスをシェアしながら、クリアしてきた部分はありますが、今日はWG昭島のプレッシャーがものすごかったこともあり、こちらの準備やパフォーマンスにも影響があったかもしれません。試合では一つのポイントだけではなくて、いろいろな部分でレベルアップしなければなりません。そういう点での規律はできていなかったように思います。今日のWG昭島のパフォーマンスは今季のベストだったと思うので、そのあたりをコントロールできなかったです」

──イングランド代表の経験をもち、開幕戦ではけがで出場していなかった相手のピアーズ・フランシス選手のロングキックを含めた多彩な攻撃にも翻ろうされたような一面もあったと思います。WG昭島とはもう1試合残っていますので、その対策も必要になるかと思いますがいかがでしょうか。

「彼がいると、ほかの選手たちはすごく自信をもってプレーしてきます。彼自身のパフォーマンスはどんどん上がってくると思いますが、もう一度チャンスはあるので、面白い試合になればいいと思います」

狭山セコムラガッツ
髙島理久也ゲームキャプテン

「まずは、このような素晴らしい会場を設営してくださった、リーグワンのスタッフのみなさん、本当にありがとうございます。試合の総括としては、気持ちが入っていなかったわけではないのですが、前半に4トライを奪われてしまい、受ける場面が多くなってしまいました。そこで後半開始前に、スコッティ(スコット・ピアス ヘッドコーチ)のほうから、まずはシンプルに縦で体を当てていこうという指示があり、チーム誰一人あきらめていない状態で入っていけました。その結果、7点差でボーナスポイントを獲得という最低限のことはできたのかなと思います。あとはチームとしてこの試合をどう捉えるか。連戦が続くので、まずはリフレッシュして、チームでまた準備をできたらと思います」

──WG昭島は、前節までD3で攻撃時の平均ラックスピードが2.7秒と最も速いというデータがありました。今日の試合ではそのスピードとコンタクトの強さに圧倒されてしまった印象がありますが、その点はいかがでしょうか?

「ブレイクダウンのところでは、1試合目(第1節)で戦ったときとは違って、けっこうなプレッシャーを掛けてきていて、前半で強いキャリーでアタックができなかったです。(前半で)修正できなかったところを、後半、強いキャリーでしっかり前に出て、そこからどんどん勢いを付けられた部分はありました。なので、もっと前半からゲーム中に気づいて修正できればよかったかなと思います」

──イングランド代表の経験を持ち、開幕戦ではけがで出場していなかった相手のピアーズ・フランシス選手のロングキックを含めた多彩な攻撃にも翻弄されたような一面もあったと思います。WG昭島とはもう1試合残っていますので、その対策も必要になるかと思いますがいかがでしょうか。

「そこまで意識することはなかったですが、ヘッドコーチが言ったように、周りの選手がすごく生き生きとプレーしていたのは感じました。なので、もっともっとプレッシャーを与えていくべきだと思います。(WG昭島との)3戦目では、序盤からどんどんプレッシャーを掛けていきたいです」

クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島のワイクリフ・パールー ヘッドコーチ(左)、中尾泰星キャプテン

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「自分たちにとってこの試合はとても大切なものだったので、この勝ちと自分たちのプレーについては誇りに思います。この試合へ向けてのフォーカスは、コンタクトで上回ることでした。前半はコンタクトの部分で相手にプレッシャーを掛けることができていました。ただ、狭山セコムラガッツ(以下、狭山RG)が後半必ず強くなってプレッシャーを掛けてくるというのは分かっていた中で、自分たちのボールをキープした際に相手にプレッシャーを掛けるという部分で、負けてしまったと思います。その結果、彼らにボーナスポイントを与えてしまったのは残念ですが、最近はクラブでもあまりなかった3連勝ができたので、それを続けていける方法を探していければと思います」

──今日の試合からピアーズ・フランシス選手が復帰となりました。彼が入ったことで攻撃のバリエーションも今後増えていくと思われますがいかがでしょうか。

「経験ある彼が帰ってきてくれたのは良かったです。今日、彼が簡単に仕事をできたというところについては、コンタクトで勝っていたからだと思います。フォワードが前に行っているときは、誰でも10番らしいプレーができるということもあるのですが、ゲームを動かしてくれたのは良かったです」

──コンタクトで上回ることに徹したのは、開幕戦で負けた経験を踏まえての対策だったのでしょうか?

「相手は大きいチームなので、彼らが前に出るとそこを止めるのは難しくなると思っていました。サイズのある相手を止める部分をフォーカスして、できるだけラックを作っていくことを考えていました。そういう意味でも良いプレーが出たと思っています」

──3連敗後、3連勝をして勢いがついてきました。ここから入替戦出場の権利を得る2位以上へと駆け上るために、どのような戦いをしていければと思いますか?

「1試合ごとを大切にしていなかければいけないです。今日の試合で改善できたところもありますし、もっとやらなければいけないこともあります。そこをしっかりと振り返って、80分間をとおしてのパフォーマンスを、スキル、マインドの部分も含めて改善していければと思います」

クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星キャプテン

「同じチームと3戦する中の2戦目で、一度負けている狭山RGさん相手に、入りのところで絶対勝ち切ろうというところで、しっかり2週間準備をしてきました。その中で前半、自分たちのコンタクトのところで、アタックもディフェンスもしっかりと前に出られました。その一方、後半はそのコンタクトのところで受けてしまって、どんどん食い込まれ、僕たちのペナルティも多くなってしまい、このような点差になってしまったのかなと思います。ただ、絶対に勝つというところでしっかりと準備ができ、勝ち切れたところは大きいと思います。このあと連戦が続くので、次のマツダスカイアクティブズ広島戦に向けて、今日出た良かったところ、悪かったところは、みんな分かっていると思うので、そこを振り返って修正して、実戦に挑んでいければと思います」

──今日の試合からピアーズ・フランシス選手が復帰となりました。彼が入ったことで攻撃のバリエーションも今後増えていくと思われますがいかがでしょうか?

「ピアーズが帰ってきたことはすごく大きいです。ロングキックはもちろん、ランのところでもしっかりと前を向いて走ってくれるので、そこも前半にハマったところかなと思います」

──3連敗後、3連勝と勢いがついてきました。ここから入替戦出場の権利を得る2位以上へと駆け上るために、どのような戦いをしていければと思いますか?

「ここからの戦いへ向けて大切なところは、今までと変わらない部分が多いと思います。僕たちが良かったときというのは、コンタクトのところでしっかり対応できるときです。良いセットができるなど、基礎的な部分ができているときに、良いアタックができて、良いディフェンスもできていると思います。その点は試合が重なることで疎かになってしまいそうになる部分もありますが、しっかりと毎日リマインドして詰めていければ、自ずと勝ち切れて、勝ち点も取れるはずなので、もう一度意識して練習したいと思います」

──ご自身も3試合連続トライと好調をキープしていますが、いかがですか?

「調子は上がっているかなと思います。体が小さいのでタックルにはいくしかないのですが、今日は大きいプレーヤーに対してもロータックルができていました。最近、タックルしたあとのリロードが遅かったので、そこは意識して早く立てたと思うので、そこはビデオを確認してレビューしたいと思います」

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