2025.01.20NTTリーグワン2024-25 D3 第4節レポート(WG昭島 64-26 LR福岡)

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第4節
2025年1月19日(日)13:00 AGFフィールド (東京都)
クリタウォーターガッシュ昭島 64-26 ルリーロ福岡

「バランス力」で手繰り寄せた初勝利。逆襲の口火を切る冷静と情熱の頼もしき男

開始2分で自らのランでトライを挙げチームを牽引したクリタウォーターガッシュ昭島の松島聡選手

ここまでの3試合とはまったく違うチームのようだった──。クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)は、東京都調布市のAGFフィールドでのホストゲームに臨み、スクラム、ラインアウト、ブレイクダウン、どの局面の攻防でもルリーロ福岡を圧倒して、ようやく今季の初勝利をもぎ取った。

この試合、チームに勢いをもたらしたのは、攻守にわたって全体のバランスを見ながら舵を取り、自分でも先制トライを決めてプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されたWG昭島の松島聡だ。

「今日は勝たないといけない試合でしたが、個人としてはボールを動かすことに焦点を当てていました。ボールを動かすことに関してはうまくいったと思います。ただ、アタックのオプションのチョイスはほかにもあったと思いますし、ディフェンスもウイングとのつながりは良くなかったかなと。そのあたりが改善できれば、チーム全体としてさらに良くなると思います」

負けが続いている間は、簡単にディフェンスラインを突破されて、トライを与えてしまう。同じ場面を繰り返し見せられているかのような試合内容が多かった。ディフェンスに関しては、オフシーズンの間に男子セブンズTID(7人制日本代表の育成・強化を目的に編成されたチーム)に参加した経験も生きていると松島は言う。

「自分の(ディフェンスの)レンジ(範囲)は広いほうだと思っていましたが、セブンズをやってみて、相手の追い方などはあらためて意識するようになりました。でもディフェンスで一番大事なのはコミュニケーションです。(ディフェンダーの)枚数がそろえば、簡単に抜かれることはないですから。あとは自分のサイドに余裕があるときは、反対サイドが厳しい状況になっていることが多い。そういうふうに、グラウンド全体の様子を意識しています」

熱いハートと冷静なアタマを持った頼もしい男が勝利を手繰り寄せた。いよいよWG昭島の逆襲がはじまる。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)

クリタウォーターガッシュ昭島

クリタウォーターガッシュ昭島のワイクリフ・パールー ヘッドコーチ(右)、中尾泰星キャプテン

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「選手たちの気持ちの部分の姿勢がとても良かったと思います。負けが続いている状態でしたが、常にアタックし続けることができました。特に前半は自分たちのやりたいラグビーができ、素晴らしかったです」

──本日デビューのハリソン・ブリューワー選手と細矢一颯選手の評価を教えてください。

「二人とも良かったと思います。ハリソンはゲームの細かいところで、経験をすごく見せていたなと思います。前に行くこともできるし、ショートパスもできるし、モールディフェンスもできる。いろいろなことができると思います。細矢に関してはコンタクトの強さが目立ちました。そこが彼を選んだ大きな理由ですが、とても良かったと思います。タックルもキャリーも爆発力のある選手で、フロントローとしてはユニークな選手だと思いますが、今後にも期待したいです」

──負けが続いている中で、選手たちに伝えたことは何だったのでしょうか?

「自分たちがコントロールできるところをコントロールしようと話しました。気持ちの部分が課題でもありました。普段の練習でも、ブレイクダウン、ボールキャリーといった基礎部分の練習をしてきました。自分たちのアタックをシンプルにしていくことで、フィジカルの強みが出せるようになったと思います」

クリタウォーターガッシュ昭島
中尾泰星キャプテン

「初勝利ができて、ほっとしています。今日の試合は、ブレイクダウンの部分とボールキャリーの部分で相手のディフェンスを突破していくことにフォーカスをしていて、そこでしっかり前に出ることができたので、トライを重ねることができました。後半はディフェンスの部分で我慢できずにペナルティを取られてしまい、外側のディフェンスで甘い部分がありました。後半のスコアだけを見ると圧倒できていないと思うので、そこは次節への課題だと思います」

──スクラムで圧倒していたと思うのですが、いかがでしょうか。

「試合の中でスクラムを組みながら、『行ける』というときの僕たちのサインがあって、フッカーがそのコールをしたら(マイボールなら)押し切りますし、相手ボールだったら(ボールを)取り切ります。今日はスクラムの感触は良かったと思います。ただ、ディテールの部分で課題が残りました。スクラムを組んだら押せましたが、その前のペナルティのところは修正していかなければいけません」

ルリーロ福岡

ルリーロ福岡の豊田将万ヘッドコーチ(右)、西村光太ゲームキャプテン

ルリーロ福岡
豊田将万ヘッドコーチ

「前節の試合から立ち上がりのところで、自分たちの強みである体を当てることにフォーカスをして準備をしてきました。クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)の勢いのあるアタックをゲインラインの後ろで止めることができず、勢いに乗せてしまったのが、敗因だと思います。後半はWG昭島が疲れてきたこともあって、自分たちの強みを出すことができたので、それが最初からできるように次節は取り組んでいきたいです」

──初勝利が遠いですが、勝つために必要なことはどんなことだと思いますか?

「言い訳する理由を作らないことが必要だと思います。準備が遅いなら早く準備をするなど、実力がないとは僕は思っていないので、そこの細かい詰めの部分だと思います。試合でできないなら、練習でやるしかないと思います」

──強度の高い試合が続いていますが、現在のチーム状況はいかがですか。

「試合を通じて成長させてもらえていることが多くあります。けがについては絶対についてくるものだと思いますので、まだジャージーを着せていない選手もいる中で、いろいろな選手を使いながら今後の試合に臨みたいです」

ルリーロ福岡
西村光太ゲームキャプテン

「前節も入りの部分でスコアを重ねられたシーンがあり、その部分の準備をこの1週間してきたのですが、前半の入りがうまくいかず、WG昭島を勢いに乗せてしまいました。前半の修正がしっかりとできれば、後半も戦えると思ったので、次節も前半の入りのところを意識しつつ、流れを変えられるような試合をしたいと思います」

──ビジターでの試合が続いている影響はありましたか?

「それは言い訳に過ぎません。前泊もさせていただいていますし、しっかりとミーティングをする時間もありました。もちろん移動はハードではありますが、しっかりその中でも良いパフォーマンスができるように準備していきたいです」

──リーグワンで戦っていて、通用するなと思う部分はありますか?

「個人のスキルは通用している部分があると思いますが、チームとして一つになるところが大切です。自分たちが信じてきたことを大事にして、一人ひとりがしっかり準備するということが必要だと思います」

──チームが一つになるために大事なこと、意識していることはありますか?

「しっかりと準備してきた結果が4連敗なので、マインドセットも含めて、個人の準備のところをこれからも強く言い続けたいと思います。それができればもっとチームとして一つになって、前半から勢いのあるラグビーができると思います」

試合詳細

見どころ・試合レポート一覧