NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第5節
2025年1月25日(土)12:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 5-66 マツダスカイアクティブズ広島
ゲームチェンジャーでは終わらない。自分の個性を生かし、先発奪取へ
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今季未勝利のルリーロ福岡(以下、LR福岡)は、全勝で首位を走る強敵に挑んだが、結果は5対66と大敗した。開始8分、ラインアウトからモールで先制を許し、その後もフィジカルバトルで劣勢を強いられる展開が続く。ラインスピードの速いディフェンスで対抗を試みたが、「全体的にペナルティが続き、自滅してしまった」と豊田将万ヘッドコーチ。相手のペースを崩せず、ペナルティ数が相手の倍近い20に達し、長く守勢に回る時間が続いた。
その中で、光を放ったのが“21番”の原田脩平だった。“流れを変える選手”として、後半12分にピッチに立つと、素早いボール出しと展開力で攻撃を活性化させた。原田はベンチから「相手チームのアタックやディフェンスの動き方を観察し、ギャップを見極める。自分が試合に入るときには何をすべきか整理しておくことが大事」と試合の流れを変える役割を果たした。
しかし、この試合も一矢報いるにとどまった。原田は「流れを変えることはできたと思うが、結果としては勝利につながらなかった」と悔しさを見せながらも、前向きな姿勢を崩さない。「チームとして勝てるように、これからもっと努力していきたい」と成長を誓った。
同じポジションにはキャプテンでありゲームメーカーでもある三股久典が君臨している。原田は「ヒサさん(三股)はゲームコントロールやラグビー理解度がしっかりしている選手。ただ、同じタイプのスクラムハーフが出ても、それでは試合の展開は変わらないので、自分らしいプレーを意識している」と語り、自分の個性を生かすことを心掛けている。
先発出場への思いは強く、「いつまでも21番を着けるわけにはいかない。もっとラグビーの理解度を高めて、先発で戦えるプレースタイルを身に付けたい」と意気込みを語った。また、「いま与えられている役割をしっかりと果たし、結果につなげることが大事。その結果が出れば、次のステップに進める」と信じている。
LR福岡は、現在リーグ戦5節終了時点で未勝利という厳しい状況だが、原田は「ペナルティを減らし、ボールキープをしっかりして攻撃につなげることが大事だと思う」と冷静に前を向く。リーグワン参戦初年度の厳しさを痛感しながらも、「チームの状況は少しずつ改善されている。次の試合で絶対に勝利を」と自信をもって次節に臨む。
(柚野真也)
ルリーロ福岡
ルリーロ福岡
豊田将万ヘッドコーチ
「今日は1巡目の最終戦で、初めて対戦するマツダスカイアクティブズ広島に対して、これまで全勝しているチームということで、自分たちのスタイルで挑戦するという姿勢で臨みました。先週からその準備を進めていましたが、試合を通じてペナルティと規律の部分で少し問題がありました。また、相手の勢いに押される場面も見受けられましたが、ディフェンスの面で選手たちが前に出る姿勢を見せてくれたことは非常にポジティブでした。これについては、非常に良かったと思っています。
ただ、全体的に見ると、やはりペナルティが続いてしまった点、そして自滅してしまうような場面が多かったことが課題ですね。このままだとゲームが成立しないので、2巡目に入るまでにはしっかり修正していかないといけません。具体的な修正方法を考え、2巡目で巻き返せるように頑張りたいと思います」
──今季初出場、初先発の選手が多くいたと思いますが、起用の意図を教えてください。
「ゲームに出したい選手は複数いたのですが、なかなかチャンスを与えることができなかった選手もいました。けが人が多かったこともありますが、練習で出た課題をクリアし、チャレンジャー精神をもって頑張ってくれるだろうという期待を込めて起用しました」
──モールからのトライを奪われることが開幕からの5試合で続いていますが、この課題についての改善策はどう考えていますか。
「モールからのトライという部分は大きな課題となっています。いま行っている強度の練習ではまだ対応し切れていない部分があります。選手たちは一生懸命やってくれていますが、練習ではできても試合でうまくいかないという点については、何かしらの原因があるはずです。映像を見て、どこに問題があるのかを確かめ、その上で対策を練らないといけません。実際、試合が崩れる原因の多くがここから生じていますので、映像を見てしっかり確認し、問題をクリーンにしていきたいと思っています」
ルリーロ福岡
三股久典キャプテン
「今日の試合は、前回の試合でけがをした選手が多かったこともあり、メンバーが大きく変わった部分があります。そういった状況でも、私たちがやるべきことはブレずに、しっかりとコミュニケーションを取ること、そして準備を万全にして臨んだつもりでした。ただ、ヘッドコーチも言っていましたが、ペナルティが非常に多く、その結果、勢いがつけられなかったことが試合を通じての課題でした。次の試合まで3週間ありますので、その間にしっかりとチーム内で話し合い、2巡目には成長したルリーロ福岡をお見せできるように準備していきたいと思います」
──開幕から5試合、結果が出ていませんが、チームとしての状態と、また相手との力の差を感じますか。
「毎試合、点差が開いているのは事実ですが、実際に体をぶつけ合ったときの差はあまり感じていないというのがグラウンド上の感想です。ただ、組織的な部分での差や、特にペナルティの影響で勢いをもっていかれてしまうことが課題だと感じています。その点を改善していければ、私たちにも十分にやれる自信はあります。この2週間で改善を図り、次の試合ではもっと良い結果を出せるよう努力します」
──いま、チームに必要なことは何だと思いますか。
「最も必要なのは規律です。そして、元気です。試合に向けての準備や、試合中の集中力を維持するためには、規律が非常に重要だと感じています。それと、元気を出すことですね。自分たちが元気でいないと、試合に対するモチベーションや気持ちも低くなります。元気をもって、規律を守りながら戦う。まずはその2点を強化していきたいと思います」
マツダスカイアクティブズ広島
マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ
「今日の試合の目的はシンプルな試合を行うことでした。その目標については、しっかりやり切ることができたと思います。また、新しい選手を起用するには絶好の機会だったと思います。彼らは非常に良いパフォーマンスを見せてくれました」
──メンバーを大幅に入れ替えた試合でしたが、新しい発見はありましたか。
「非常に難しい試合になると予想していましたが、攻撃面は良い仕上がりだったと思います。ラインアウトからのモールやドライブといった局面では、若い選手たちにとって重要な経験になったと思います。そして、ディフェンスではコンタクトの場面でも力を発揮できました」
──1巡目を全勝で終えたことについての評価を教えてください。
「まず、計画どおりに進められたことを評価しています。特にシンプルなゲームプランに基づき、タイトにモールを組んだり、今日のような寒い気候に適応できたりしながらプレーできたのは良かったです。しかし、個々の小さなミスがまだ目立ちます。これからの試合に向けて、そこをしっかり修正していきたいと考えています」
マツダスカイアクティブズ広島
芦田朋輝キャプテン
「先ほどヘッドコーチからもお話があったとおり、今回は新しいメンバーが多く、ポジションも変わる中でシンプルさを掲げて試合に臨みました。このシンプルさを大切に、チーム全員で試合をやりとおせたことが良かった点です。特にフォワード陣は試合の最初から最後までモールにこだわり、トライをしっかりと取ることができました。メンバーが入れ替わった中でも、こうした結果を出せたことは、次の2巡目の試合に向けて大きな自信になります」
──1巡目を全勝で終えましたが、2巡目に向けてどのようにチームとしてまとまっていきたいというのがあればお願いします。
「全勝という結果には満足していますが、試合を通じて気付いた点も多くあります。まだ細かいミスが多く、それが試合の中で何度か良くない影響を与えてしまった部分があると感じています。そのため、次の試合ではそのミスを減らし、さらにクオリティーの高いアタックとディフェンスができるよう準備を進めていきたいです。チームとしては、もっと一体感をもちながら、個々の強みを生かして戦っていきたいです」
──今日は、モールでかなり上回りましたが、その点についてはいかがでしたか。
「モールは私たちの武器の一つとして非常に重要な要素です。今回の試合では、モールを最大限に活用しようとゲームプランに組み込んでいました。その結果として、初めからモールでしっかりと成果を挙げることができました。2巡目に向けて、このモールからの攻撃はさらに進化させて、私たちの強みとしてもっと組み込んでいきたいと考えています」