NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第13節(交流戦)
2025年3月29日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東京サントリーサンゴリアス 22-17 静岡ブルーレヴズ
どんな形であれ、チームに貢献する。100キャップを迎えた松島幸太朗が見せた勝利への意思
キャプテンの堀越康介は試合後の会見で、「泥臭くて、観ている方からしたら汚いラグビーだったかもしれないですけど、これが僕たちのDNAであり、自分たちらしいラグビー」と語った。東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)の勝ちたいという強い気持ちが如実に表れた試合だ。敗れれば、リーグ戦同一シーズンでチーム初の4連敗という屈辱を味わう可能性もあった。連敗阻止はもちろんのこと、この試合は、長きにわたりチームを支えてきた松島幸太朗が、チーム通算100キャップを迎えるという特別なゲーム。負けるわけにはいかなかった。
見事な逆転勝利で節目の一戦を白星で終えた松島は、「ホッとしましたし、うれしかった。いまのチームにとってすごく大きな勝利。久しぶりにみんなの笑顔を見たという感じです」と振り返った。その一方で「久しぶりの雨で風もあり、本当に難しかった。前半はまったくボールが手につかず、個人的には最低の40分でした」とも反省を口にした。
100キャップについて問われると、「意識はしていなかったですが、前半はしていたみたいですね」。わずかながらのプレッシャーと悪条件がプレーの歯車を狂わせたのかもしれない。それでも効果的なディフェンスでチームの勝利に貢献。「前半を引きずらずに後半に入れたのは良かった。ボールを落としたりしていたぶん、余計に気持ちが入ったので、絶対に止めてやると考えていた。失敗したら違うことで貢献ができたので良かった」と振り返った。
どんな状況であっても気持ちの切り替えができ、どんな形でもチームに貢献するという強い意思をもち続ける。それは、日本代表としても数々の経験を積んできた賜物といえるだろう。32歳を迎え、体にも徐々に変化が出ている時期でもある。それは本人も十分理解しており、「トレーニングのやり方は徐々に変えていく時期だとは思う。その中でも、パスやキックのスキルは必要となってくるので、そこはしっかりと伸ばしていきたい」と力を込めた。
レギュラーシーズンは残り5試合、プレーオフトーナメント進出に向けては厳しい戦いが続く東京SG。そんな状況だからこそ、チームの伝統を誰よりも知る松島の存在は、より大きなものになるはずだ。
(松野友克)
東京サントリーサンゴリアス
東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ
「まず、両チームの関係者とチームのファンのみなさん、寒い中応援ありがとうございました。今週に関しては、選手たちが勝ちたい気持ちを前面に出す、そして最後は勝つと、堀越(康介)中心にドライブしてきた結果だと思っています。今日出たメンバーだけではなく、チームの勝利だと思っているので、ここから来週に向けてもう1回いい準備をしていきたいと思っています」
──静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)は、雨の試合に強いという印象があります。東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)としては雨の試合ということで、どのような部分に重点を置いていたのでしょうか。
「先週のレビューでは、アタッキンラグビーが見えたと思いますけど、それをもう1回繰り返すためには、アタックのブレイクダウンまでが一つのセットである、と。ディフェンスに関しては二人でタックルすることと、ディフェンスのセットをすること。そこだけをショートウィークでフォーカスした結果、今日の勝利になりました。(先週の前節は)選手たちも負けたあとで、厳しい苦しい気持ちは当然あったと思いますが、クラブのスピリッツ、ジャージーの後ろに書いてあるプライドとリスペクト、まさにネバーギブアップというものをみんながもっているので、全面的にそのクラブのスクリプト(描いたビジョン)を生かすことが、これからも続いていくと思っています。その姿をしっかり自分が引き出して、選手たちはそれをパフォーマンスにつなげていってほしいと思います」
──対戦相手に対してではなく、自分たちがやってきたことにフォーカスした感じでしょうか。
「そうですね。相手の強みもしっかりリスペクトしながら、自分たちの強みも出さないと、自分たちらしさというのは見えないと思います。もう1回来週の三重ホンダヒート(以下、三重H)戦に向けて、自分たちらしさを出すことと、しっかり三重Hの強みもしっかりリスペクトしながら、1週間の準備をしていきたいと思っています」
──今日のセットピースに対しては、コーチ陣としてはどのような分析をしていますか。
「常に改善できる点はあると思います。アタックしたいのであればセットピースは勝たないとダメだと思っていますし、改善しながらもう1回三重H戦に向けて準備したいと思います」
東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン
「雨の中、応援ありがとうございました。今日は本当に泥臭い試合になりました。見ている方からしたら汚いラグビーだったかもしれないですが、これが僕たちのDNAであり、自分たちらしいラグビーができたと思います。今後も変わらずハングリーさを出しながら、次の試合に向けても、また勝ちにこだわって勝ち取りにいくような試合をしていきたいと思います。また、松島(幸太朗)さんの100キャップの試合で、チーム全員が『絶対に勝とう』といういいマインドセットになったと思います。僕にとっては高校の先輩ですし、お世話になっていたので、すごくうれしいです」
──スクラム、ラインアウトについて、特に前半はいい形でできたと思います。準備したものを出せた印象はありますか。
「前回のコベルコ神戸スティーラーズ戦で、フォワード陣としてはセットピースで試合を壊したという認識がありました。もう1回、自分たちが積み上げてきたものにしっかりプライドをもっていこう、と。静岡BRも(セットピースに)すごく自信があると思いますが、それに対してどうぶつけるかということを1週間準備してきました。それがいい形で前半に出たと思います。ペナルティを取ったときなどは本当にうれしかったですし、チームを救ったと思います」
──前節の試合は非常に悔しい気持ちや残念な気持ちになったと思いますが、ゲームの中身はよかったと思います。どう振り返っていましたか。
「前回の試合は、アタックのマインドはすごく良かったので、そこは変わらずにキープしてやっていこうと言いました。特に今週の試合に関しては、雨の予想もあったので、ディフェンスにしっかりフォーカスしようということをチーム全体で意識していました。アタッキングラグビーをするためにもまずボールを取らないといけないので、ディフェンスでしっかりいいプレッシャーを掛けてボールを取って、自分たちのアタックをするというマインドセットに変えて今週はやれたので、そこは良かったと思います」
──終盤に追い上げられた場面ではどのような声掛けがありましたか。
「ポジディブなものが多かったです。エナジーが下がったときも、エナジーを上げていくこと。一人ひとりに役割があると思うので、そこをまずは100%で、我慢の時間帯をやり続けようというふうに声を掛けていました。僕だけでなくて、そのほかのリーダーもそうです。結果的に我慢の時間帯のディフェンスが長く続いたと思いますが、いい形でフィニッシュできたと思います」
静岡ブルーレヴズ
静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「東京SGさんとの戦いで勝ちにつなげたい気持ちで来ました。ウチもペナルティが多くてなかなか波に乗れず、セットピースでも苦しくなるなど、タフな試合になってしまったと思います」
──セットピースに関しては静岡BRらしさが出ていなかった印象です。ラインアウトやスクラムに関して、うまく相手に対応されているなという印象はあったのでしょうか。
「ラインアウトに関しては、考え過ぎだったと思います。スクラムに関しては僕らも上から見ていて分からない部分もあるので、(グラウンド上で選手たちが)いろいろと判断したと思います」
──不思議なのは、これだけ上位チームに強い静岡BRが、そうではなかった東京SGには勝てなかったことです。何か苦手意識があるのでしょうか。
「苦手意識というものはないですね。ただ、いろいろな要素のめぐり合わせはあるかもしれません」
──チームがいい流れで来ている中で新しい選手を投入したことに、何か狙いがあったのでしょうか。また、その選手たちがどのようにチームにコミットすればいいと思っていますか。
「若い選手も、これまで試合に出ていない選手も、練習試合ではなくて、リーグ戦という戦いを経験させて、選手の層を厚くしていくことが必要です。あとは、けがなども考えました。今日の初スタメンだった選手たちもいいパフォーマンスをしてくれましたし、いい経験が積めたと思っています」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「今日は本当にタフな1日になってしまいました。東京SGさんの戦いはすごく素晴らしいものだったと思っています。私たちは、チャンスの機会を作ることはできましたが、ヘッドコーチが言ったようにペナルティなどで、自分たちでいい流れを作ることができませんでした。自分たちのスタンダードが、今日は高くなかったと思っています。ただ、得点の差はそこまでではなかったので、そこはしっかりとレビューをして、また次の試合に向かって改善していかなければいけないと思っています」
──自陣でのプレーでイエローカードが出た場面を振り返ってもらえますか。
「ジャッカル(スティール)は自分の強みだと思っています。ジャッカル(スティール)に入ったときに相手がきて、そこでペナルティのクリーンアウトがありました。最初はレフリーも見逃していた部分があり、自分のほうからレフリーに話をしました。ほかの部分でもネックロールなどがあったと思いますし、選手の安全のところはしっかりと見てほしいというところがあります。これからは自分たちがしっかりとリードして、次の試合に向かっていきたいと思います」
──ここまで、うまく試合を運べているときと、そうではないときの違いはどういうところだと思いますか。
「もちろんペナルティをしてはいけないですし、自陣の22mゾーンに入られてはいけないと思っています。自分たちがいいときは、ペナルティもしないですし、ディフェンスがしっかり機能しているときは、そこでいい形で相手を止めることができます。そうすれば自分たちのアタックになり、そこからチャンスを作り出すことができると思います。ただ、今日は、アタックのところでの遂行力というのが、こぼれ球の処理もそうですし、僕らのところでうまくいかなかったので、そこは修正していきたいです」
──後半のラインアウトが良くなったと思いますが、ハーフタイムでどういう指示がありましたか。
「コーチからの指示をもとに、どういうオプションがいいのかなどを決めるのですが、今日は天候も悪く、相手のディフェンスも後ろに投げてこないだろうということで、前と真ん中に予想を張っていました。そうなると自分たちも難しい部分はあるので、そこはこれから、修正できればと思います」