NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン2 第11節
2025年4月12日(土)14:30 江東区夢の島競技場 (東京都)
清水建設江東ブルーシャークス vs NECグリーンロケッツ東葛
NECグリーンロケッツ東葛(D2)

2024年11月17日。関西学院大学ラグビー部に所属していた黄世邏は、関西大学リーグ第6節の京都産業大学戦にて左ひざの内側靱帯を損傷した。断裂には至らなかったものの、完治までに数カ月を要する大けがだった。
その黄が、アーリーエントリーでNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)への加入が発表されたのは、関西大学リーグの試合から約2カ月後の1月23日。黄のリーグワンでのキャリアは、リハビリからのスタートとなった。
けがが癒え、GR東葛の練習に本格的に加わったのは3月中旬。約4カ月間も実戦から離れていた上に、プレーするステージもリーグワンに上がったわけである。当然ながら思いどおりのプレーはできなかった。
「プレーする環境が変わり、強度が上がったこともあると思いますけど、まったくプレーの感覚が戻らず、スクラムでも自分の特長や強みを出せませんでした」と、黄は戦列復帰後の自分のプレーを振り返った。
本来の感覚を取り戻し、さらにリーグワンのプレー強度に早く慣れるために、黄は新たな取り組みを始める。それは、練習の映像を繰り返し見ながら、その日の練習で浮かび上がった課題を書き出すことだった。
「練習でダメだったところを書き出して、次の日の練習で書き出したところを意識して取り組む。そこでまた課題が出たら書き出すという作業を繰り返してきました」
就寝前、起床時、そして練習直前のストレッチの際にも、その書き出したものを見ては、頭の中に刻み込んだ。大学時代は映像を一度見て、課題を把握するだけにとどめていたが、GR東葛加入後に“書き出す習慣”を身に付けてからは、練習では何を意識して取り組むべきか、それが明確になったという。
復帰から3週間が経ち、黄が今節の清水建設江東ブルーシャークス戦で初めてリザーブメンバー入りを果たしたのは、新たな取り組みと無関係ではないはずだ。
リーグワン初キャップのチャンスを目前に控え、黄は意気込みを語る。
「まずはスクラムを安定させて、バックスに良いボールを供給する。接点も増えてくると思うので、そこでハードワークをしてチームに貢献したいと思います。チームは6連勝が懸かっているのでプレッシャーもありますけど(苦笑)、自分が試合の途中から出ることで、連勝の良い流れを勢い付けられればいいと思います」
けがからの復帰戦にして、デビュー戦となる可能性もあるこの試合。4月12日、江東区夢の島陸上競技場で、黄はリーグワンでの第一歩を刻む。
(鈴木潤)