2025.05.10[中国RR]フォーカスするのは平常心。在籍13年目のベテランが大事にする「いつもどおり」

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第15節
2025年5月11日(日)14:30 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 vs 中国電力レッドレグリオンズ

中国電力レッドレグリオンズ(D3)

中国電力レッドレグリオンズの松永浩平選手(写真中央)。「いまはずっと負けていて、勝ちに飢えているので、最後に勝って締めくくりたい」

お互いに熱くなる広島ダービー。大事なのは「平常心」である。

中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)の松永浩平は珍しく試合前に緊張していた。マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)との今季開幕戦で、昨季けがに悩まされた34歳のフランカーはスタメンで9カ月ぶりの公式戦に臨んでいた。

「今季の開幕戦はすごく緊張していた」。久しぶりの試合に向けて「疲労をとるためにちょっと高い入浴剤を買おうともしていた」と普段とは違う行動すらしていた。「試合のことを考え過ぎていて、前日は寝られず、試合でも思うように動けなかった」。チームも広島ダービー第1戦は完敗。そこから松永は「いつもどおりにしよう」と決心し、特に試合前は生活リズムを崩さないように意識してきた。

「試合だからといって何かするんじゃなくて、いつもと同じ生活をして、同じように練習する。食事や就寝もいつも同じ時間にして、習慣化を心掛けました」

試合前夜は決まった時間に食事をして風呂に入り、「いいイメージがつくように」とラグビーの動画を見て就寝。「試合前だからちょっと早く寝ようとかもせずに、いつも10時半に電気を消しています」。

朝は6時半ごろに起きて朝食を済ませると、遠征のときでも、ホストゲームのときでも一人で散歩するのが決まりだ。試合会場でもいつもと同じ流れで準備して、練習時と同じようにストレッチやウォームアップに取り組む。

「開幕戦のときにいろいろ考え過ぎたので、そうならないように自分なりに変えました。ルーティンが多いわけではないけど、それからは試合前に眠れなくなることはなくなりました」

食事のメニューまでは決まっていなかったが、ホストゲームが続いた直近3試合は前日の昼にトンカツを食べてきた。もちろん勝利への思いを込めてだ。「でも、この3試合で勝てていないから、全然験担ぎになっていないけど」と笑う。それでも、今節こそ勝利をつかむためにまた前日にトンカツを食べに行く。

気負わず、緩まず、「いつもどおり」がちょうどいい。平常心こそ、松永が試合で自分の力を最大限に発揮する秘訣だ。

中国RR在籍13年目の元キャプテンは今季これまで8試合に出場。「試合に出て勝つこととか、自分のうまくいったプレーや成長を感じられる瞬間とか、やっぱりモチベーションの根源は試合に出ることですね」とグラウンドでは常に7番を背負い、熱く泥臭いハードワークを続けてきた。

今季最終戦はお互いのプライドがぶつかる広島ダービー。すでに優勝を決めたSA広島とは今季1勝1敗と五分の成績だ。中国RRはシーズン終盤で6連敗と苦しんでいるが、最後はライバル撃破に挑む。

シーズン最終戦も7番を背負う松永は、静かに熱戦へと向かう。

「いまはずっと負けていて、勝ちに飢えているので、最後に勝って締めくくりたい。そのためには、もう平常心です。いつもどおりの仕事を気負わず、自分にフォーカスを向けて、やれることにベストを尽くすだけです」

(湊昂大)


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