2025.05.30[S東京ベイ]S東京ベイは二度負けない。リベンジに燃えるキャプテンとともに歓喜を

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
プレーオフトーナメント決勝
2025年6月1日(日)15:05 国立競技場 (東京都)
東芝ブレイブルーパス東京 vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのファウルア・マキシ キャプテン(写真中央)は「全員が同じ絵を見て一つになって戦えている」と意気込みを語った

今季、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)は同じ相手に、二度は負けていない。

レギュラーシーズンで勝ち点4を得られなかった戦いは、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)戦との2戦(1分1敗)、ドローに終わった第4節の東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)戦、そして僅差で敗れた第10節の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)戦の、この4試合。

埼玉WKには、秩父宮ラグビー場が感情の渦と化したプレーオフトーナメント準決勝でリベンジを果たした。第15節、そしてプレーオフトーナメント準々決勝では、東京SGに2連勝を収めた。経験というものは、痛みをとおして、力へと変わっていく。チームを束ねる新キャプテン、ファウルア・マキシが力強い口調で語る。

「毎試合チャレンジを重ね、そこで見えた課題を修正して次に生かす。その積み重ねが成長につながっていると思います。開幕から比べると、コネクションや信頼関係が深まってきたと感じています」

「全員が同じ絵を見て一つになって戦えている」、と決勝でも8番を背負う男は続けた。その背景にあるのが、S東京ベイ特有のチームカルチャー。オフフィールドは笑顔がこぼれる、いい意味で肩の力が抜ける心地よい空間であり、そんな家族のような空気感が「自然とオンフィールドにもつながっていくんです」。

S東京ベイで初めて託されたキャプテンというポジション。不安やプレッシャーで張りつめていた心も、そうした環境に身を置くことで、時間の経過とともにほどけていった。

「周りに素晴らしいリーダーがたくさんいて、その人たちの支えがあったからこそ、自分も成長できたと感じています。分からないことがあっても、ちょっとした一言で助けてもらえて、役割もスムーズにこなせるようになってきました。開幕当初と比べると、自信もついてきて、毎試合ごとに成長を実感しています」

背負うことで、人は強くなる。そして、強くなるから、勝てる。

残された唯一の課題。それが決勝戦で実現した、BL東京との再戦である。レギュラーシーズンでのマッチアップでは、ノーサイドの足音が迫る中、ラストのワンプレーでマキシの手からボールが離れ、逆転がかなわなかった。「あの試合で負けたのは、自分のせいです」という言葉に、悔しさがにじむ。

だが、あらためて言う。スピアーズは同じ相手に二度、負けない。なぜならば、「自分たちのプロセスを信じて、自分たちのラグビーをやりきれば、必ず結果はついてくる」から。

「スコアなど先のことではなく、目の前のことにしっかりとフォーカスして、1日1日を大事にしていく。自分たちがやるべきことをしっかりとやり、そうやって積み上げてきたものを、試合で出す。それだけです」

すべては一人ひとりのハードワークの上に成り立っている。決勝進出を決めた瞬間を、マキシは「昨季は悔しい思いをしましたが、もう一度この舞台に戻ってこられて本当にうれしかった」と振り返る。でも、いまはまだ、感慨に浸るときではない。歓喜の涙は、もっとうれしい瞬間までとっておこう。

(藤本かずまさ)


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