NTTジャパンラグビー リーグワン 2025-26
ディビジョン1 第1節(リーグ戦)カンファレンスB
2025年12月13日(土)14:30 豊田スタジアム (愛知県)
トヨタヴェルブリッツ vs 三重ホンダヒート
トヨタヴェルブリッツ(D1)
「自分でも普通に立っていることというか、プレーしているのが不思議なくらい、なかなかの大けが」から、松田力也選手が還ってきたトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)の“クラウン”が不死鳥のごとく蘇る。
キック前の恐竜ポーズでお馴染みの、日本を代表する司令塔の一人として知られる松田力也。昨季の第9節・コベルコ神戸スティーラーズ戦で相手と激しく激突し、そのまま負傷交代。それは人々の想像をはるかに超える大けがだった。
診断結果は骨盤と股関節の骨折。かなり衝撃の強い交通事故でなければ起こりえない重傷だったという。すぐに股関節を本来の位置に戻さないと患部が壊死してしまい、ラグビーどころか普段の生活さえ不自由になる可能性が大きかった。
トヨタVに加入して1年目で見舞われた悪夢。しかし、この瞬間からの松田は強運だった。緊急搬送された大阪の病院には股関節の専門医が在籍。すぐに股関節をハメてもらえたことで危機一髪、最悪の事態は避けられた。
入院期間は50日を数え、2週間は完全にベッドの上。全治1年と想定されたが、ドクター、トレーナー、リハビリチームのサポートは手厚かった。ただ、誰が今季の開幕で10番を付けて先発することを想像できただろう。
「自分でも普通に立っていることというか、プレーしているのが不思議なくらい、なかなかの大けがでした。本当に、普通に生活できることにすごく感謝していますし、たくさんのサポートやファンの励ましがあったので帰ってくることができたと思っています。あとはグラウンドのパフォーマンスで恩返ししていくだけですね」(松田)
帝京大学の同期で盟友でもあるキャプテンの姫野和樹も松田を支え続けてきた一人である。「去年、僕もけがをしていて、彼を間近で見ていましたけど、本当に並々ならぬ努力をしていました。『開幕に間に合わせたい』と話していましたけど、ラグビーの感覚もしっかり戻してくれた。本当に同期として誇らしく思っています」(姫野)
「もう恐怖心はないですけど、フラッシュバックはあります。でも後遺症もなくいい感じでステップを踏んできたので、あとは自分を信じてやり切れるかどうかだと思います」(松田)
トヨタVのジャージーの背中にはトヨタの自動車の車名が書かれている。松田が着る10番の上にあるのは“クラウン“。それはトヨタの看板である。
(斎藤孝一)



























