NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第12節(交流戦)
2026年3月20日(金)14:30 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ 29-38 横浜キヤノンイーグルス
「常に過去の自分たちを上回れるように」。栄光を知る男が穏やかな口調の中ににじませた強い意志
ニュージーランドのブルーズに所属していた2021年、スーパーラグビートランス・タスマンで優勝を飾ったコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)のジェラード・カウリートゥイオティ。その栄光の原動力をこう振り返ってくれた。
「いいゲームプラン、いい戦術があり、全員が同じページの上にいました。自分たちのゲームプランをしっかり遂行しようと一丸になりましたし、そもそも全員のハードワークがあったことが大きかったと思います」
これは、いまの神戸Sにも通じることだろう。デイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチのもと、確かなゲームプランと実行力を発揮し、妥協のないハードワークを全員で貫く。熾烈な上位争いに加わっている、まさに原動力だ。実際、カウリートゥイオティは当時といまが“似ている”と言明した。
「自分たちの力を信じる、『自分たちがやっていることが正しいんだ』と信じる気持ち。そして、しっかりとした練習があり、グラウンドでハードワークする。そのハードワークしたものをフィールドで出す。その気持ちや取り組む姿勢にとても似たものを感じます」
神戸S在籍5シーズン目、カウリートゥイオティはいまの神戸Sに栄光を手にするだけのメンタリティーが備わってきたことを感じているのだろう。そんな経験豊富なロックはブルーズで優勝した当時、ラインアウトのアタックリーダーを担うなどチームを引っ張る存在だったが、神戸Sでは“後方支援”の役割を自らに課しているという。
「(共同キャプテンの)ガズ(ブロディ・レタリック)と(李)承信はしっかりとリーダーをやってくれています。そのリーダーたちが頼らざるを得ないとき、彼らの助けになりたいと思っています。自分の出番があるならば、そこでしっかりと仕事をしたいですね」
だからこそ、厳しさをもって現実を見る。第12節、神戸Sは開幕節以来の敗戦を喫し、連勝が10でストップした。
「優勝に向けてやっていく部分はありますけど、そもそも来週しっかりとやらないといけません。次につなげられるように選手たちも自覚をもって取り組むと思いますし、常に過去の自分たちを上回れるようにと思いながら取り組んでいるつもりです」
敗戦を「学び」と受け止め、先を見過ぎず、足元を見る大切さに触れた33歳。穏やかな口調の中に、自分たちの力を信じ、ハードワークを続ける強い意志をにじませていた。
(小野慶太)
コベルコ神戸スティーラーズ
コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ
「非常に残念な結果です。あれだけのミスを自分たちで起こしてしまうのは……。自分たちが与えたターンオーバー数は19回、その部分でのエラーで自分たちがこれだけの点差で負けてしまう形になったと思います。今日はトライを5個取ることができましたが、試合を振り返ってみても、横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)さんのほうが、緊急性、必死さがパフォーマンスとして出ていたと思います。今季をとおして自分たちがやってきているディフェンスのインテンシティーも、今日は間違いなく出せていませんでした。精度の部分でも、あまりにも悪すぎたと思います。ボールを蹴られた際の(対応の)精度も良くなかったと思います。本当に残念という一言です。
今日の敗戦を来週に向けての自分たちの燃料として生かしていきたいと思います。チームの中に、そういう人がいるかどうか分からないですけど、何人かは、必死に動かなくても、必死にやらなくても勝利できると思っていた人間がいたのかもしれないです。ただ、横浜Eさんは全員が必死に戦っていましたし、そこが勝敗を分けたと思います」
──チームに緊急性を欠いたとすれば、どういうところに理由があると思いますか。
「マインドセットのところが一番だと思います。努力をしていないわけではないですが、エラーがずっと起き続けていることに対して、だんだんと自分たちの中でフラストレーションが溜まっていきました。横浜Eさんがディフェンスでラインスピードを上げてくることは試合前のプレビューでも分かっていました。ディフェンスの幅も狭くなってくると分かっていましたが、チャンスがあるときに正しくキックを使えないことや、深さを保つことができなかったことでプレッシャーを受ける形になりました。特にカウンターのところですね。あらためて言いますが、努力をしていないわけではないです。ただ、プランがあった上で、その遂行力があまりにも低かったと思います」
コベルコ神戸スティーラーズ
李承信 共同キャプテン
「本当に残念な気持ちでいっぱいです。この1週間を振り返ったときに、そこまで悪い1週間ではなかったと思います。ショートウィークの中で一日一日を大事にして、インテンシティーもしっかりとチーム全体としてハードワークできた1週間だったと思います。ただ、レンズ(デイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ)が言ったとおり、ゲームの序盤から受け身になってしまいましたし、アタックでは緊急性が足りず、ディフェンスではブルタリティー(激しさ)が足りず、どんどん相手にチャンスを作られてしまったのが結果に表れていると思います。
レンズがマインドセットの話をしましたが、今日起きたことは望んだ結果ではないですし、悔しい気持ちでいっぱいです。自分たちのやるべきことを一つひとつ遂行できれば、また自分たちのラグビーができると思います。シーズンは続きますし、チャンピオンを目指す道のりの中で、こういう壁も自分たちが乗り越えないといけないところだと思います。しっかりと前を向きながら、改善するところは改善していきたいと思います」
──チームに緊急性を欠いたとすれば、どういうところに理由があると思いますか。
「チャンスが来るのを一人ひとりが待ってしまっていた感覚があります。もちろん、イージーなエラーや、規律のところでチャンスを逃していたのもあったんですけど、その中でも、目の前の一瞬一瞬、1フェーズ1フェーズのところで、何となくフェーズを重ねていれば相手がミスをしてくれるなどして、チャンスが作れるだろうというマインドセットがあったと思います。一人ひとりがやるべき仕事や目指しているプランをやっていこうというところでは、一人ひとりのマインドセットを変えるべきだと思います」
横浜キヤノンイーグルス
横浜キヤノンイーグルス
レオン・マクドナルド ヘッドコーチ
「選手だけではなく、スタッフも含めた全員を誇らしく思います。リーグワンで1位のチームを相手に、僕らは最下位からこのような結果を出せたことが本当にうれしいです。これまで強い相手にどの試合も惜しい結果になっていたんですけど、(立ち上がりの)15分でフィニッシュし切れないことが課題でした。コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)が何回かトライをして勢いに乗ったとき、ちょっと不安定な状態にはなったんですが、リーダーシップグループと、チーム全体がファイトし続けるところが、本当にチームの成長、上達につながっていると思います」
──前節の三重ホンダヒート戦を含めて明らかにチームのスピリットが変わっている印象ですが、戦術的な変更も行っていたのでしょうか。
「戦術的な変化はあまりないのですが、厳しい場面でのセットピースなどでシンプルなプレーを80分やり続けることが大事になります。そこがしっかりできていることがいい結果につながっていると思います」
横浜キヤノンイーグルス
ビリー・ハーモン ゲームキャプテン
「僕らに合ったゲームを作り上げていきました。一人ひとりがシンプルに役割を果たすというゲームプランをしっかり遂行しました。過去の自分たちだったら、神戸Sが勢いに乗ったところで、ファイトし切れなかった、フィニッシュし切れなかったと思いますが、今日はファイトできて本当に上達を見せたと思います」
──後半、相手の反撃を許しましたが、落ち着いてモメンタムを取り戻せた理由を教えてください。
「神戸Sのようなワールドクラスの選手がいるチームは、絶対に勢いに乗ってくると分かっていました。素晴らしいトライを二つ取ったんですが、相手にトライを取られたあとに『しっかり自分の役割をやろう』『規律を守ろう』『シンプルなことをやり続けよう』とメッセージを出して、そこからファイトバックすることができたと思います」



























