新人賞候補の一角、上ノ坊駿介選手(コベルコ神戸スティーラーズ、写真左)、青木恵斗選手(トヨタヴェルブリッツ、写真右)(文:大友信彦)
NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1は第14節を終えて最後のバイウィークを迎えている。12月に始まった長いリーグ戦もほぼ8割が終了。すでに埼玉WK、神戸S、S東京ベイの3チームがプレーオフトーナメント進出を決めているが、プレーオフ残り3枠はまだまだ大混戦。そして順位争いと同様に、そろそろ気になってくるのが個人タイトル争いの行方だ。
D1の得点王はBR東京の中楠一期とS東京ベイのバーナード・フォーリーが150点で首位に並び、東京SGのチェスリン・コルビと山沢拓也(埼玉WK)、松田力也(トヨタV)、リッチー・モウンガ(BL東京)が追う展開。トライ王争いは神戸Sのブロディ・レタリックが14トライで首位に立ち、相模原DBのマット・ヴァエガとS東京ベイのマキシ ファウルアが10トライで、埼玉WKの竹山晃暉、神戸Sのイノケ・ブルア、植田和磨の3人が9トライで追う。
トライ王争いで上位に食い込んでいる中で唯一新人ながら名を連ねているのが神戸Sの植田和磨だ。セブンズ(7人制ラグビー)でパリ五輪日本代表になったスピードスターが期待通りの活躍を見せているのだが…振り返れば昨季の新人賞はSHながらレギュラーシーズン2位の14トライ、ポストシーズンも含めれば昨季最多タイの15トライをあげた静岡BRの北村瞬太郎だった。新人賞はD1で活躍する新人選手のみにチャンスがある貴重なタイトル。そこで今季の新人賞候補の活躍を振り返ってみた。
今季の新人賞候補の主要選手を、合計出場時間順で並べてみた。
最長時間出場はトヨタVのFL青木恵斗。14試合中13試合に先発し、うち8試合にフル出場。プレー時間のリーグスタッツは949分。これはチームの全プレー時間の8割以上に達する。リーグワン歴戦の猛者を相手にしても接点でグイグイ前に出て、ここまで5トライの25得点。横浜E戦ではPOTMも受賞した。先発試合数13もルーキー最多。第14節のS東京ベイ戦では負傷欠場した姫野主将にかわりNo8に入り攻守の最前線でチームを勝利に牽引。個人スタッツのボールキャリー数163はアイザック・ルーカス(BR東京)と姫野和樹(トヨタV)に次ぎ、レタリックを上回るD1全体3位と、シーズン後半に復活したトヨタVにあって抜群の存在感を見せている。
以下、出場時間順は相模原DBのWTB/CTBハニテリ・ヴァイレアが905分、神戸SのWTB植田和磨が789分、SH上村樹輝が745分、浦安DRのLO佐々木柚樹が712分と続く。佐々木は開幕戦で先発、ルーキーながらゲーム主将を務め、勝利し、トライもあげてPOTMにも輝いた。『役』が5つもつくデビュー戦。ジャパンラグビー トップリーグ時代を含めてもおそらく初の快挙だろう。
そして出場時間6位には、第7節の静岡BR戦からアーリーエントリーで出場、そこから全試合に先発を続ける神戸SのFB上ノ坊駿介が631分で食い込んだ。3月末までは大学生ながら視野の広さと的確な判断力はもう何年もリーグワンでプレーしている選手のようで、デビュー戦で3トライのハットトリックというスーパーデビュー。もし新人賞を獲得すれば、2023年に導入されたアーリーエントリー対象選手で初となる。
アーリーエントリー勢ではほかに、トヨタVのLOヒンガノ・ロロヘアがこちらもデビューから8試合連続で先発、574分出場。全国的には無名の東海大学リーグ・朝日大の出身だが、ここまで3トライ15点をあげ、S東京ベイ戦ではPOTMに選ばれた。
しかし、最長時間出場している青木は実は1試合を欠場している。ハードな試合が続くリーグワンでは、長いシーズンを良いコンディションで戦いぬくために選手の出場時間もコントロールされ、トップ選手にも出場時間に応じた「お休み」が用意されることも多い。そんな中でここまで全14試合出場を続けている新人は3人。神戸SのSH上村樹輝、トヨタVのSO/FB小村真也、そして埼玉WKのHO佐藤健次だ。
中でも最も多くの試合で先発しているのは上村の11。開幕戦からの2戦でリザーブから出場すると、第3節のトヨタV戦から先発へ。第11節の相模原DB戦まで9試合連続先発を果たし、その間神戸Sは全勝。1試合でベテラン日和佐に先発を譲ったが、13節から先発に復帰した。上村は第3節のトヨタV戦と第13節の静岡BR戦でPOTMを獲得。2度の受賞は新人ではここまで唯一だ。なお、同じ新人SHでは埼玉WKの李錦寿が第4節の静岡BR戦で、横浜Eの土永旭は第7節のトヨタV戦で、POTMを受賞。大学4年で日本代表欧州遠征を経験した土永、大学選手権で4年連続優勝を経験した李と、大学時代は李の控えが多かった上村という同期のSH3人がどのように成長していくかが楽しみだ。
佐藤は先発は3。早大時代に日本代表入り、昨年の欧州遠征では全試合に出場した佐藤も、同じHOにチームキャプテンの坂手淳史がいることもあり出場時間は長くないが、短いプレー時間にインパクトあるプレーを披露。第5節の横浜E戦ではスピンも使って相手タックルを次々とかわしてトライラインに飛び込む豪快トライも決めた。
新人で最多のトライを挙げているのは前述のパリ五輪日本代表、神戸SのWTB植田和磨だ。開幕のS東京ベイ戦でデビュー・トライをあげ、第4節の東京SG戦からは4試合連続トライも決めた。45得点で得点部門でもルーキー最多。リーグ全体の得点ランキングでは19位につけている。
得点部門のルーキー2位は前述・上ノ坊の32点(6T1G)。そして3位はトヨタVのSO/FB小村真也。植田と上ノ坊の得点がトライ中心なのに対し、小村は30得点のうち20点がキックによるもの(2T7G2PG)。メインキッカーは帝京大の先輩でもある松田力也だが、小村は控えSOあるいはFBとして、世界での経験も豊富な先輩と切磋琢磨しながら成長している。
小村真也選手(トヨタヴェルブリッツ)過去の受賞者は2022が根塚洸雅(S東京ベイ)、2022-23が長田智希(埼玉WK)、2023-24が髙本幹也(東京SG)、2024-25が北村瞬太郎(静岡BR)。いずれもBKの選手だった。青木、佐々木らがFW初の新人賞を獲得するか、植田、上村らがBKの獲得を継続させるか、上ノ坊あるいはロロヘアがアーリーエントリー勢で初の新人賞に輝くか? 選考の決め手は残り4節のパフォーマンスになるはず。プレーオフトーナメントを争う終盤戦、ルーキーたちの活躍にも注目したい。



























