一般社団法人ジャパンラグビーリーグワン(以下「リーグワン」)の規律委員会は、リーグワンの会員チームであったNECグリーンロケッツ東葛(以下「チーム」という。2026年7月1日より・JR東日本グリーンウォリアーズ東葛)及びチームの所属選手(当時)の違反行為に対し、以下のとおり懲罰を決定いたしましたので、リーグワン懲罰規程第20条第1項に基づき公表いたします。
チームに対する懲罰
- 懲罰の内容
けん責
制裁金100万円 - 懲罰の根拠条項
リーグワン懲罰規程第8条第1項第2号・第4号、同条第3項・第4項、第3条第2項
リーグワン規約第42条第8号・第9号、第3条第2項・第3項 - 違反行為の内容
(1)所属選手の違反行為
2026年3月7日午後7時頃、都内において、チームが主催するパーティーが開催され、当時チームに所属していたロトアヘア アマナキ大洋選手(以下「アマナキ選手」という。)を含むチーム所属の選手及びチーム所属のスタッフが参加した。アマナキ選手は、同パーティーにおいて、ビールを多量にわたり飲酒した。
同日、同パーティーが終了した後、アマナキ選手を含む複数の選手は、都内の別の場所に移動し、同所の飲食店(以下「本件店舗」という。)に集まった。なお、アマナキ選手は、本件店舗までの道中のことについての記憶は定かでないとのことであった。
同月8日未明、酒に酔ったアマナキ選手は、本件店舗において、本件店舗の女性店員(以下「女性店員」という。)に対し、その頬を左手で平手打ちし、女性店員を転倒させ、負傷させた。
その後、アマナキ選手は、本件店舗付近の路上において、本件店舗の男性店員(以下「男性店員」という。)の顔面を複数回殴打した。また、アマナキ選手の暴行を制止するためにアマナキ選手と男性店員の間に割って入った別の選手(他のチームの所属選手)の顎付近にもアマナキ選手の拳が当たり、打撲を負わせるに至った。そして、アマナキ選手は、現場に臨場した警察官により暴行の疑いで現行犯逮捕された。
(2)NECグリーンロケッツ東葛による違反行為
チームは、2025年10月に発生したフェツアニ・ラウタイミ元選手による酒気帯び運転事案(以下「酒気帯び運転事案」という。)を受け、トラブルが起きやすい場所への外出を避けることなどを選手に対して指導していたことが認められる。
しかしながら、酒気帯び運転事案後に実施した研修は、飲酒問題への対応やその防止等を直接の内容としない一般的なものにとどまり、飲酒に伴うトラブルに特化した研修は実施されていなかった。また、飲酒に関する明文のルールも、酒気帯び運転事案後には制定されておらず、アマナキ選手の逮捕を受けて初めて制定されたにすぎない。さらに、本件が発生する直前に行われたチーム主催のパーティーに際して、チームが所属選手に宛てた注意喚起も、飲酒にあたって選手らが具体的にとるべき行動を周知するものではなく、深夜にわたる飲酒を防止するための実効的な方策等は講じられていなかった。
その結果、上記の呼びかけにもかかわらず、多数の選手が二次会に移動しており、チームによる注意喚起は実質的に機能していなかったと認められる。また、チームには、選手のみで構成される風紀委員会が設置されていたものの、同委員会が本件の防止に機能した形跡も認められない。
さらに、本件店舗には、チームの他の所属選手も居合わせていたにもかかわらず、チームが本件を把握したのは、アマナキ選手が現行犯逮捕されてから約1日を経過した後の報道機関からの問い合わせを端緒としており、所属選手からチームに対する自主的な報告はなされていない。この点は、チーム内における報告体制が十分に機能していなかったことを示すものといえる。
以上によれば、チームが規範意識・遵法意識の浸透に向けて講じた対策はいずれも不十分であったといわざるを得ない。
本件はチームの活動中に行われた行為ではないものの、チーム主催のパーティーと連続して生じたものであり、その原因となったアマナキ選手の多量の飲酒は当該パーティー中から行われていることも踏まえると、チームの監督責任を否定することはできない。
したがって、チームには、アマナキ選手の上記1の行為について、過失が認められる(懲罰規程第8条第4項)。 - 懲罰の理由
酒気帯び運転事案の発生から約半年という短期間のうちに、再び飲酒に起因する現行犯逮捕の事案が発生していることからすれば、酒気帯び運転事案を踏まえて実施された再発防止策が十分に機能していたとは到底評価し難い。
チームは、ルールによる規制を強化するのではなく、研修等を通じてチーム文化の醸成を図ることを重視してきた旨説明するが、飲酒に起因する不適切な行動の発生を防止する観点からは、チーム文化の醸成にとどまらず、選手自身が遵守すべき具体的な行動を明確化し、その実践を促す取組みについて検討すべきであったところ、そのような取組みが十分に検討され、実施されていたとは認められない。
本件後に再発防止策として制定された私的な外食時の飲酒及び繁華街における夜間飲食を禁止するルールについても、2026年6月末日をもって終了しており、現在は、飲酒に関する具体的な行動基準は設けられていない。そのため、現時点において、再発防止に向けた取組みが継続的に実施されている状況とは評価し難い。
また、アマナキ選手が本件に関する記憶をほとんど有しておらず、事実関係の把握に一定の時間を要した事情は一定程度考慮されるべきではあるものの、チームが本件を把握してから本件店舗への謝罪訪問を実施するまでに4日間を要しており、被害者への対応を含む初動対応に遅れがあったことは否めない。
チームが本件発生後速やかにアマナキ選手との選手契約を解除し、本件に係る処分を実施したことや、再発防止策として制定された私的な外食時の飲酒及び繁華街における夜間飲食を禁止するルールは、選手間で概ね遵守されていたことといった事情を斟酌したとしても、酒気帯び運転事案からの間隔の短さ及び本件が被害者らに傷害を負わせるとともに他のチームの所属選手をも巻き込む結果を招いたことに照らせば、本件は再発防止の観点から看過することができない事案である。
そこで、当委員会は、以上の事由を総合的に勘案し、上記第2の懲罰に処することが相当であると判断した。
選手に対する懲罰
アマナキ選手に対する懲罰
- 懲罰の内容
けん責
6か月間のリーグワン規約第25条第1項に定める公式試合への出場の資格停止(起算日:2026年8月31日) - 懲罰の根拠条項
リーグワン懲罰規程第8条第2項第2号・第5号、同条第3項、第3条第2項・第4項
リーグワン規約第42条第8号・第9号、第3条第2項・第3項 - 違反行為の内容
アマナキ選手による上記「チームに対する懲罰」3の行為は、傷害罪(刑法第204条)に該当し、選手は、刑罰法規に抵触する行為を行ってはならないと定める規約第42条第8号等に違反するものと認められる。
なお、チームは、調査の結果、アマナキ選手による上記の行為は、チームとアマナキ選手の間の契約及びチームの規則に著しく抵触すると判断し、同月13日付けでアマナキ選手との契約を解除した。
その後、アマナキ選手と女性店員及び男性店員らの間で示談が成立し、刑事事件について不起訴処分となった。 - 懲罰の理由
一般人を大きく上回る体格及び身体能力を有するアマナキ選手が、体格・筋力の面で劣る女性店員の顔面という人体の枢要部を平手打ちし、また、男性店員に対しても顔面を連続して殴打した行為は、いずれも深刻な傷害を生じさせるに至っている。また、男性店員に対する殴打により、アマナキ選手を制止しようとした別の選手にも打撲の怪我を負わせていることから、当該殴打は、相当程度に強い力で行われたものであると認められる。以上の各暴行は、近接した日時及び場所において、複数の者に対して行われたものであることも踏まえると、極めて危険かつ悪質な態様のものであると評価することができる。
加えて、本件は、チーム主催のパーティーから連続する多量の飲酒に起因して発生したものであると認められ、現行犯逮捕に至っており実名報道もなされていることから、ジャパンラグビーリーグワンのみならず日本ラグビー界全体の信用を毀損するものといわざるを得ない。
他方で、被害者らとの間で示談が成立し、刑事事件について不起訴処分となっていること、チームから選手契約を解除されていること、実名報道がなされるなど一定の社会的制裁を受けていること、反省の態度も認められることなどの酌むべき事情も認められる。
そこで、当委員会は、これらの諸事由を総合的に勘案し、上記第2の懲罰に処することが相当であると判断した。
リーグワン懲罰規程
https://league-one.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/file/menu/7193_655fd63a8dec2.pdf
リーグワン規約
https://league-one.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/file/menu/8460_65b9df2ddbe15.pdf




























