花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)
ゲームキャプテンのウィル・ゲニアが語る決意。連敗脱出へのカギは、世界を知る両雄の対決
ワラビーズ(オーストラリア代表の愛称)では通算110キャップを持ち、数々の檜舞台を経験してきたウィル・ゲニア。ゲームキャプテンを務めたクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で12対77という屈辱的な大敗を喫したあと、百戦錬磨の彼も「やはり77点も取られるとさすがに落ち込みます」と肩を落としていた。
無理もない。ウィル・ゲニアによるとその長いキャリアで一度も経験したことがない点差での屈辱だった。オーストラリア代表でも、南アフリカ代表相手に60点近い負けを喫したことがあったという。
「その負けから学んだことは、できるだけ早く切り替えること。引きずっても過去を変えることはできませんから」(ウィル・ゲニア)。
ホストゲームでの連戦となる1月14日の横浜キヤノンイーグルス戦は、花園近鉄ライナーズのリバウンドメンタリティーが試される一戦だ。
開幕から3連敗を喫し、いまだにディビジョン1で勝利を手にしていないが、課題は明確だ。
「攻撃はわれわれの強みでもありますけど、この3試合はディフェンスが課題になっている」と水間良武ヘッドコーチも語るように、守備の安定を攻撃につなげたい。
1月12日に行われたゲーム形式の練習で、すっかり気持ちを切り替えたウィル・ゲニアは時に厳しい言葉も口にし、チームメートを鼓舞する姿勢を見せた。「僕は負けず嫌い。練習でも負けたくない」と話す小柄なスクラムハーフだが、横浜キヤノンイーグルス戦にはより闘志を燃やす理由も存在する。今季、横浜キヤノンイーグルスに加わった南アフリカ代表のファフ・デクラークとは代表戦でも顔を合わせており、「確かにデクラークはいい選手で、周りの選手のいいところをうまく引き出す能力がありますけど、彼に好きなようにやらせないようにするのが僕らの狙い。土曜日は彼がキープレーヤーになるので気をつけたい」と展望した。
2試合連続でゲームキャプテンを託されるウィル・ゲニアは、「キャプテンだろうと自分のプレーは変わりません。プレーで引っ張るタイプなので自分のプレーに集中したいです」と自らに言い聞かせるように力を込めた。
昨季に続くチームスローガンである「近鉄漢-KINTETSU MAN-」。その意地を見せる時が来た。
(下薗昌記)
横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)
いざリーグワン初先発。シオエリ・ヴァカラヒが晴らしたい“二つの悔しさ”
前節の東京サントリーサンゴリアス戦に続き、横浜キヤノンイーグルスはビジターゲーム連戦となる。花園近鉄ライナーズ戦のキックオフは1月14日12:00。試合会場はラグビーの聖地・東大阪市花園ラグビー場だ。
横浜キヤノンイーグルスは前節、今季初黒星を喫した。開幕3戦を終えて、1勝1分1敗と戦績はイーブン。今節は横浜キヤノンイーグルスにとって、リスタートの一戦であり、リバウンドメンタリティーが問われる局面となった。試合2日前の全体練習後、チームを率いる沢木敬介監督は、円陣を組んだ選手たちの前でこう話した。
「今日は良い雰囲気でトレーニングができた。自分の役割を遂行しよう。そしてチームワークをしっかりと発揮していこう」
こうしてチームの手綱を引き締めた指揮官は、花園近鉄ライナーズ戦に向けて、先発メンバーをテコ入れ。注目は前節、途中出場によるリーグワンデビューを果たしたシオエリ・ヴァカラヒの先発起用だ。
前節のチームは要所で相手のアタックをタックルでつぶせず、失点に直結。そのため、「タックルがストロングポイント」と語るシオエリ・ヴァカラヒをフランカー(6番)の一角に起用し、ディフェンス面の改善を狙った指揮官の意図が透けて見える。
リーグワンデビュー戦に続き、念願の初先発の試合を迎えるシオエリ・ヴァカラヒは「良いランナーも多いので、相手は強いと思うが、アグレッシブなプレーを見せたい」と鼻息も荒い。なお、“花園”はシオエリ・ヴァカラヒにとって、目黒学院高校在籍時に「負けて悔しかった」と歯がゆいを思いをした因縁のスタジアム。「今節はチャンスをもらえたので、前節負けた悔しさと高校時代に花園で負けた悔しさを花園で晴らしたい」と息巻く。
また、関西圏でのビジターゲームに向けては、「遠くに行っても、出られないメンバーのぶんも戦う」と決意表明。リーグワンキャップを刻めず、なかなか公式戦に絡めなかった立場を痛感しているだけに、大阪遠征が叶わないメンバーの気持ちも背負い、チームの勝利に貢献する覚悟だ。
(郡司聡)