トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスA)

大幅変更もネガティブな要素はなし。
豪華なメンバーを揃えて新たなフェーズへ

前節、最後にあと数mのところまで迫るも得点を奪い切れず、逆転勝利とならなかったトヨタヴェルブリッツ。開幕から1勝1敗で迎える2023年最初の戦いは、リコーブラックラムズ東京と豊田スタジアムで相対する。

心機一転となる戦いだ。リコーブラックラムズ東京戦に向けてベン・へリング ヘッドコーチは、先発メンバーを8人変更するという大胆な策に打って出る。総入れ替えするフロントローの3人には清水岳、加藤竜聖、木津悠輔を抜擢。3列目以降も古川聖人や姫野和樹、茂野海人といった日本代表メンバーに加え、ウイングには岡田優輝、そしてフルバックには南アフリカ代表として19年のラグビーワールドカップの優勝メンバーとなったウィリー・ルルーも戻ってくる。

代表の活動などでチームから離れていた選手たちがようやく新チームに馴染み、その実力を発揮できる状態になってきたということだろう。

ベン・へリング ヘッドコーチは「シーズンに入ってからも選手たちはすごく成長していて、誰を起用するかという判断がとても難しくなっている。こういう競争は本当にありがたいね」と笑顔を見せつつ、チームに対して期待を寄せた。

「前節は自滅だった。ここまで2試合はアップダウンが激しい試合になっているが、一貫性を持った試合をしたいし、日本代表から帰ってきた選手たちも、ずっといる選手たちも本当にいい選手ばかり。お互いを信用し合いつつ、どんな戦いを選手がしてくれるのか楽しみだ」

特に注目したいのは、今季から姫野と共同キャプテンを務める古川だ。日本代表の欧州遠征ではなかなか試合に絡めず、「まずは試合勘を取り戻したい」と語っていた古川だが、こちらも準備がばっちり整った模様。「自分に求められるのはディフェンス面でインパクトを出すことだと思う。前節の敗戦は自分たちを見つめ直す良いきっかけになったので、それを栄養にして、まずは目の前の1試合で全力を出すこと。シンプルに自分たちのやれること、当たり前のことを一生懸命100%、120%でやっていきたい」と意気込みを語った。

大きなメンバー変更もネガティブな要素は一切なく、実績の豊富な選手が加わることで、やることは変わらなくても、一味違ったエネルギーが見られるはず。トヨタヴェルブリッツが新しいフェーズに移るきっかけとなる試合になるかもしれない。

(斎藤孝一)

今季から共同キャプテンを務めるフランカー・古川聖人 共同キャプテン


リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスA)

「背番号10」は努力の証。堀米航平はひたむきに勝利を目指す

リコーブラックラムズ東京は、2023年最初の相手としてトヨタヴェルブリッツ戦に臨む。

豊田スタジアムで行われる新年最初の試合に向け、人一倍闘志を燃やす選手がいる。堀米航平。入団1年目以来となる『背番号10』を付けることになった27歳のスタンドオフだ。

「正直、やっと、という思いです」

これまで試合に出場することはあっても、12番や15番を付け、リザーブ出場も多かった近年。それでも「自分は一番、スタンドオフが合っていると思っていた」と目標を見失わずに努力を続けた結果、第3節での10番ジャージーにつながった。

「評価され、認められ、実力で10番をつかみ取れたことをうれしく思います」

自身の強みは、ゲームコントロール力だ。正しいエリアで戦えるよう、エリアマネジメントに力を入れていく必要がある。今季はチャンスゾーンで取り切れない展開も少なからず続いているが、「敵陣に行ったら焦る必要はない。取り急ぐのではなく、やるべきことをやって、最後に変化を与えて仕留めたい」。そのマネジメントについても司令塔として重要な責任を担っていると認識している。

堀米は自らSNSで情報を発信し、個人YouTubeやファンクラブなども開設している。だからこそ、日頃から応援してくれるファンの方々に感謝の念を絶やさない。

「僕が10番で出ることをファンの方々が知ったら、きっと喜んでくれると思います。豊田スタジアムまで応援に来てくれる方もいると思うので、しっかりと活躍して、チームを勢い付けたいです」

リコーブラックラムズ東京は現在、2試合終わって勝ち点ゼロ。まずは何よりも、勝利が欲しい。

「試合当日は『豊田まで観に行って良かった』と思ってもらえるプレーを必ずします。活力、感動を与えられるように頑張るので、ぜひ一緒に戦ってください!」

多くのサポーターの応援を背に、どん欲に、ひたむきに、勝利を目指す。

(原田友莉子)

熱望していた10番を背負って試合に臨む堀米航平選手

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