NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1
第1節 カンファレンスB (D1-M4)
12.09 Sat 14:30 パロマ瑞穂ラグビー場 (愛知県)
トヨタヴェルブリッツ vs リコーブラックラムズ東京

トヨタヴェルブリッツ（D1 カンファレンスB）

世界的名手の二人が加入。姫野和樹も「彼らには周囲を生かせる力がある」と初制覇に照準

トヨタヴェルブリッツの姫野和樹キャプテン「トヨタに入って優勝することが子どものころからの夢だった。今季はそこにフォーカスしてやっていきたい」

ラグビーワールドカップフランス大会の熱闘からおよそ2カ月。いよいよジャパンラグビー リーグワンが開幕する。昨季のディビジョン1で6位のトヨタヴェルブリッツ（以下、トヨタV）は初のプレーオフトーナメント進出、日本一を目標に掲げホームに昨季同7位のリコーブラックラムズ東京（以下、BR東京）を迎える。

注目は誰を差し置いてもこの人しかない。日本代表でも主将を務めた姫野和樹だ。ラグビーワールドカップ2023では初戦こそ負傷の影響で出場できなかったが、プール戦の残り3試合でチームを引っ張り、鼓舞し、トライもジャッカルも決めた。それよりも準備期間も含めて、リーダーとして発言や行動で日本代表の絆を深め、全員のために戦える集団にした。

その大役を終えた姫野が次の目標に据えたのは、「トヨタに入って優勝することが子どものころからの夢だった。今季はそこにフォーカスしてやっていきたい」

中学時代にラグビーを始めた姫野。決して恵まれていない環境の中で育ち、心の拠り所にしていたというのがトヨタ自動車ラグビー部だった。いつかそのトヨタに入りたいと、夢中で楕円球を追いかけ8年前に夢のトヨタVに入団、いきなりキャプテンを任された。

しかし、もう一つの夢は成し遂げられていない。リーグワン初年度も、そして昨季もプレーオフトーナメント進出さえできなかった。しかし「今季は違う」という確かな手ごたえを感じているという。

その理由はいくつもあるが、特に二人のキーマンの加入が大きい。アーロン・スミスとボーデン・バレット。ニュージーランド代表“オールブラックス”を代表する二人のスーパースターの存在が姫野の期待値を上げる。

「もちろん二人のスキルが高いことは知っていたけど、彼らには周囲を生かせる力があるなと。二人の加入で自分たちのフィジカルな強さにより磨きがかかると思うし、さらにスピーディーさが加わる。本当にエキサイティングなラグビーができると思う」

日本で一番になるために。それは姫野もクラブも全員が同じ思いだ。「アーロンもボーデンもすでにチームに良い影響を与えている」と姫野。ワンランク上がった新生トヨタヴェルブリッツがリーグワンに旋風を巻き起こす。

（斎藤孝一）

リコーブラックラムズ東京（D1 カンファレンスB）

ラグビーワールドカップで魅せたアマト・ファカタヴァの次は、BR東京が「ブレイクスルー」を

リコーブラックラムズ東京のアマト・ファカタヴァ選手「インターナショナルレベルと何も変わらない。ブラックラムズのために、自分のやるべきことを全力でやり続けます」

ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ、武井日向キャプテン体制で迎える3季目のシーズン。リコーブラックラムズ東京（以下、BR東京）の初戦は、昨季のビジターゲームで劇的勝利を収めたトヨタヴェルブリッツ（以下、トヨタV）が相手だ。

今季のスローガンは『BREAKTHROUGH（ブレイクスルー）』。選手一人ひとりが壁を突き破ろう、という意思を表す。

一足先に『BREAKTHROUGH』を果たしたのは、アマト・ファカタヴァ。ラグビーワールドカップ2023フランス大会では、日本代表のロックとして不動の地位を築いた。初戦・チリ戦でのプレーヤー・オブ・ザ・マッチに始まり、最終戦となったアルゼンチン戦では狭いスペースで自らボールを蹴り上げて自身のトライまでつなげた。多くのラグビーファンを沸かせた。

「あれだけの活躍に値する選手だと、僕たちチームメートは信じていました。日本を背負って、あのような大舞台でブレイクスルーしたアマトを尊敬しています」と武井。チームにとっても心強い存在であり、「自分たちのやってきたことは間違っていなかった」（武井）と自信にもなったという。

舞台はフランスから、ジャパンラグビー リーグワンへと移る。だが当のファカタヴァ本人は「インターナショナルレベルと何も変わらない。ブラックラムズのために、自分のやるべきことを全力でやり続けます」と変わらぬプレーを誓った。

またトヨタVのスクラムハーフには、武井にとって明治大学時代の1学年先輩にあたる福田健太を始めとする、ラグビーワールドカップを戦った選手たちが多くいる。

「だからこそ僕たちはトヨタVに好きなようにさせないことが大事。相手がプレッシャーを感じるぐらい、僕たちからプレッシャーを掛けたい」

チケットはすでにソールドアウト。「ビジターゲームなので、相手サポーターのほうが多いと思いますが、敵地に乗り込んで、自分たちの仕事を全うして、勝って帰ってくる。トヨタVを倒したいと思います」

シーズンインを前に「ワクワクしている」と語った武井は、「自信があります」と締めくくった。

（原田友莉子）