NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2(リーグ戦) 第3節
2023年1月14日(土) 12:00 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場 (東京都)
浦安D-Rocks 55-16 豊田自動織機シャトルズ愛知
今季初の首都圏でのホストゲームで快勝。ディビジョン1昇格へ、浦安D-Rocksは充実
開幕3連勝を目指すチーム同士の対戦は、浦安D-Rocksの快勝に終わった。
浦安D-Rocksは精度の高いラインアウトから、力強いモールや素早いパスワークで得点を重ねた。対する豊田自動織機シャトルズ愛知も、スクラムでは優位性を見せたが、奪ったトライは一つ。試合後の選手が口をそろえて「完敗だった」と悔しさをにじませるほど、浦安D-Rocksのラグビーが存分に発揮される試合となった。
千葉県浦安市をホストエリアに置く浦安D-Rocksだが、ホストゲーム開幕戦となった前節は、大阪府のヨドコウ桜スタジアムで行われた。今節が首都圏で開催された初のホストゲームということもあり、会場となった駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場では、チームビジョンでもある「世界に誇れる革新的なクラブへ」、「地域に愛され続けるクラブへ」、「社会に変化をもたらすクラブへ」の実現に向けて、さまざまな施策が打たれた。周辺にはグッズ売り場やイベント会場、キッチンカーが立ち並び、選手入場時にはスモークがあがるなど、派手な演出で観客を盛り上げた。試合にも勝利し、初めて浦安D-Rocksの試合を観戦した人も、満足して帰路についたことだろう。
この試合でトライを含む14得点を記録した、ニュージーランド出身のオテレ・ブラックは今節の試合環境について「素晴らしい環境だと思います。光栄なことに世界中でプレーする機会があったのですが、日本は特にファンの熱意や、外国籍選手にやさしくもてなしてくれるところはすごく優れているところだと思います。今日のような、寒くて天候の悪い中でもファンの方は来ていただいて、試合終了後でもフィールドの手入れをしてくれる運営の方々もいるので、とても感謝しています」とコメントした。他の選手も、つめかけた2,846人のファンや、運営への感謝を口にした。
第3節終了時点で2位に勝点差5をつけ首位に立っている浦安D-Rocks。チームはグラウンド内外で、ディビジョン1昇格に向けて順調に階段を上っている。
(齋藤弦)
浦安D-Rocks
浦安D-Rocks
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ
「ファンのみなさん、足元の悪い中、来ていただきありがとうございました。自分たちの今日のパフォーマンスについて、選手たちを誇りに思います。最初からチャンスをたくさん作り出して、いくつかトライにつなげることができました。そのあとのキックオフで油断して失点したところもありましたが、後半に入っていくつかの重要なトライを生み出すことで点差を付けて、試合を優位に運ぶことができたと思います。試合終盤は規律が乱れて、相手に流れが行ってしまった点は修正が必要ですが、基本的には試合の内容に満足しています」
──試合中はずっと雨が降っていたが?
「今日の天候によってゲームプランを変えたことはありませんでした。ランニングラグビーをするには理想の天候ではなかったですが、それでも選手たちのスキルを信じて、自分たちの戦術どおりに展開していく形になりました。その中で、キックオフの部分に少しミスは出てしまったのですが、素晴らしいトライが生まれた部分もあったので、そこは選手たちを誇りに思います」
──豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦してみて。
「フィジカルのある、アタック力のあるチームだというのは分析どおりで、相手の勢いを止める部分が自分たちには重要でした。その中で、実力のある、勢いのあるチームに勝利ができました」
──これまでの試合は後半に課題を残したが、今節は?
「それに関しては、まだ課題であると思っています。規律の部分や、セットピースから自分たちのアタックができなかった部分があったので、80分間ハイパフォーマンスをするというところにはまだ到達していませんが、このような天候の中、勝ちを収められたことは喜ばしいです」
浦安D-Rocks
飯沼蓮 キャプテン
「今日はありがとうございました。前半は良い形でトライを取れましたが、自分たちのミスからスコアを取られてしまって、主導権を握り切ることができなかったのは、毎試合、課題が残るので、そこを修正していかないとディビジョン1では通用しないと感じました。
後半はシンビンで一人少ない状況になったときに、自分が『一人ひとりが二人ぶん動けばいい』という話をしました。トライは一つ許してしまいましたが、流れを完全に持っていかれなかったのは良かったと思います」
──駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場でのホストゲームはいかがでしたか?
「まず、準備してくれたスタッフの方や運営の方に感謝したいです。このような環境でラグビーができることは当たり前じゃないので、しっかり勝利して恩返しができたらいいなという気持ちでした」
──個人のパフォーマンスについては?
「キャプテンをやらせてもらっていますが、いろんな先輩方のサポートがあって、自分のプレーにフォーカスできる環境にしていただいています。個人としてはもっとできると思っているので、勝って反省して、もっと成長して日本代表に選んでもらえるようにアピールしていきたいです」
──チーム内の競争も激しいが?
「チームの層が厚くなっているのは、すごく良いことだと思います。いろんな選手に教えてもらって、学びながら競争できているので、すごく良い環境にいると思います」
豊田自動織機シャトルズ愛知
豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一 ヘッドコーチ
「素晴らしいスタジアムを提供いただいき、また、雨という天候にもかかわらず、たくさんの観客の方に観戦していただいたことに感謝しています。ありがとうございます。浦安D-Rocksさんにも、『おめでとうございます』とご挨拶させていただきます。試合の内容については、完敗したというのが率直な感想です。予想どおり、浦安D-Rocksさんのフォワードや個々の能力が高い選手に思う存分、勢いを発揮させてしまったのが今日の結果につながっていると考えています。本日はありがとうございました」
──序盤から勢いを出せなかったが?
「前半の自分たちがモメンタム(勢い)を作れず、苦しんだ要因の一つに、中盤でのペナルティがすごく多かったことがあります。当初からそのエリアでペナルティをしてしまうと、浦安D-Rocksさんの強みを引き出してしまうので、気をつけるべき点としてゲームに入りましたが、そこをコントロールしきれなかったです」
──それでもペナルティゴールなどで得点を重ねた。
「敵陣に入ったときに、スクラムでは優位性を持っていました。そこからペナルティを取って、ペナルティゴールで3点を奪って射程圏内に持っていくということをやっていたのですが、敵陣に入っていく機会がなかなか作り出せなかったところが前半苦しんだ点かなと思います」
──この敗戦を踏まえて、チームに必要なものは?
「80分間を自分たちでマネジメントする能力と、フォワードのセットピースや接点のところでのプレーで浦安D-Rocksさんのようなチームと互角に戦えなければ、ディビジョン1への昇格は難しくなってしまうと思いますので、今日はそういう経験をさせてもらったと。この結果を真摯に受け止めて、これからこの経験をどう生かすのかということについては、前を向いて成長していきたいと思います。自分たちとしては、良いレッスンを受けたなとポジティブに受け止めている部分はあります」
豊田自動織機シャトルズ愛知
山口知貴キャプテン
「素晴らしい環境の中でラグビーをさせていただいたことに感謝しています。試合は完敗でした。準備してきたことが出せた部分と、出せなかった部分がありますが、結果として完敗しましたので、次に向けて、前を向いて頑張っていきたいと思います」
──選手としてスクラムの手ごたえは?
「前節の日野レッドドルフィンズ戦から、しっかりスクラムについても組み込んで、自信を持っているところなので、試合前から優位性を出そうという話はしていました。試合中も一発目を組んだ時点から自信を持ってスクラムを組めたかなと思います」
──セットピース以外のところでは?
「ブレイクダウンで受けるシーンが多かったので、そこは良くなかった点だと思います。ディフェンス面でも粘り強さだったり、中盤のペナルティを減らすなどしないと、相手の個人技が光る選手がいるチームにはリスクになってしまうので、そこもしっかりやっていきたいと思います」
──試合後にチームで話したことは?
「自分自身に目を向けて、レベルアップをすること。そこに本気じゃない選手がいるならしっかり言うことを話しました」
──次節に向けて。
「この負けを引きずらず、悪かったところを改善して、良いラグビーを愛知県の方に、豊田自動織機シャトルズ愛知のファンにホストゲームで見せていきたいと思います」