2023.04.11NTTリーグワン2022-23 D2 1位〜3位 順位決定戦 第1節レポート(浦安DR 31-12 S愛知)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン 2 1位〜3位 順位決定戦 第1節
2023年4月9日(日)14:10 江東区夢の島競技場 (東京都)
浦安D-Rocks 31-12 豊田自動織機シャトルズ愛知

不屈の闘志でたどり着いた50キャップ。ラグビーができる幸せを胸にさらなる高みを目指す

50キャップを達成した浦安D-Rocksのシェーン・ゲイツ選手。開放性骨折という大けがを乗り越えてのマイルストーン(選手としてのキャリアの節目)となった

「39」→「47」→「19」。この数字は、今季の浦安D-Rocks(以下、浦安DR)と豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)のスコア差を示している。結果は浦安DRの3戦全勝。それでも、今節はS愛知がその差を縮めた格好だ。試合内容を見ても、両者見ごたえあるフィジカルバトルを繰り広げ、プレッシャーを掛け合う試合展開となった。S愛知は敗れたものの、これまでの2戦より多くの収穫を得ることができた。浦安DRにとっても、満足いくパフォーマンスが見せられなかった中で勝ち切り、次節以降に向けて“勝って反省できる”価値ある一戦となった。

この試合である記録を達成したのが、浦安DRのシェーン・ゲイツ。今年で31歳を迎えるセンターは、今節でトップリーグとリーグワン通算50キャップを獲得した。2021年には日本代表にも選出されており、9月にフランスで行われるラグビーワールドカップ出場にも期待がかかる。今節もフル出場を果たし、勝利に貢献した。

「50キャップは自分にとって大きなマイルストーンになりました。今までのキャリアを振り返ると、家族や高校時代のコーチ、NTTコム(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安)のときから応援してくださっている方々、浦安DRのファンの方々、これまで関わってきたすべての人々に感謝しています」(シェーン・ゲイツ)

南アフリカ出身で、2016年に浦安DRの前身であるNTTコミュニケーションズシャイニングアークスに加入し、日本にやってきた。しかし、これまでのキャリアが順風満帆だったわけではない。2019年、サンウルブズに参加しているときに右足を開放性骨折。その年に開催されたラグビーワールドカップ日本大会に出場する夢が絶たれた。

「あのけがが原因で辞めていたら、30キャップくらいで止まっていたかもしれません」(シェーン・ゲイツ)

いつかピッチに戻る日のため、懸命なリハビリを続け、2021年に復帰。ここまでチームの屋台骨を支え、ついに達成した50キャップ。

今後の目標について、にこやかな表情で「100キャップまでいけたらいいですね」と語ったシェーン・ゲイツ。しかし「いま、ラグビーができているだけで幸せです」と、自身が満足にプレーできる幸せを噛みしめている様子だった。

(齋藤弦)

浦安D-Rocks

浦安D-Rocksのヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ(左)、飯沼蓮キャプテン

浦安D-Rocks
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ

「勝つことができたのは良かったと思うのですが、パフォーマンスに関しては満足のいく内容ではありませんでした。開始早々にトライを取ったあと、規律やセットピースの乱れから、自分たちの思うように試合を運べず、(シンビンで)選手の枚数が減ってしまうこともありました。そういった部分は、ディビジョン1でやっていくのであれば不十分なパフォーマンスだったと思っています。後半に関しては、豊田自動織機シャトルズ愛知さんが風を上手く使って、われわれのアタックの機会を作り出させないところがうまかったです。イエローカードがあったものの、その間に得点を奪えたところはポジティブに感じていますが、ディフェンスでトライを取られ過ぎたところは、課題が残る試合だと思います」

──ゲームを制した一番の要因はなんでしょうか?

「自分たちの思いどおりにいかない局面があっても、選手たちがファイトする意思を見せたことをポジティブに捉えています。13人になったときもアタックし続けてトライを取った場面など、そういったところで選手たちが強さを出してくれたと思います。ディフェンスでも、トライライン手前で守り切る姿勢を見せていましたし、自分たちがトライを取らないといけない場面でもスコアを取り切れているのはこの先、自信になっていきます。今後、チャンスを作り出す状況が少なくなるかもしれない中で、チャンスをモノにする、ゲームをコントロールすることに今日の試合は役に立つと思います。ですので、プレッシャー下での選手のパフォーマンスには満足しています」

浦安D-Rocks
飯沼蓮キャプテン

「今日はありがとうございました。ヨハン(・アッカーマン ヘッドコーチ)が全部言ってくれましたが、自分たちのペナルティのところは前々から課題視していました。それが大きく出てしまった試合で、ディフェンスの部分は悪くなかったですが、ペナルティで相手に陣地を取られてしまって、流れを与えてしまいました。前半に良い形で2トライできたのが、逆に良すぎて気が抜けてしまうという経験もあったので、そこは選手に伝えてはいたのですが、また新たな課題が見つかりました。こういうカオスなゲームがここから先続くと思うので、こういう場面でそういった経験ができたのは良かったと思います」

──13人になったときに掛けた言葉は?

「シンプルに、相手が寝ていたら相手より早く立ち上がることなど、ハードワークすることを言いました。また、アタックの部分は継続して、13人で形が取れない状況だったので、まずはブレイクダウンをしっかりやって、ボールを生かし続けることを意識してやりました。しかし、あまり13人で戦う経験は個人としてもチームとしてもなかったので、良いコントロールはできなかったし、今後の課題になると思います」

豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ

「まず、浦安D-Rocks(以下、浦安DR)さんのシェーン・ゲイツ選手が50キャップを獲得したということで、チームを代表してお祝い申し上げます。また、素晴らしい天気の中、関係者の方々の準備の下でプレーできたことに感謝しております。試合としましては、総当たりのリーグ戦で2戦とも大敗している中で、われわれはチャレンジャーとして、どういったことをするのか2週間準備してきました。結果的には負けてしまいましたが、要所の部分でこれまでの2戦とは違ったファイトをお見せすることができたのは、すごくポジティブな点だと思います。ただ、こういうゲームで勝ち切れないという部分では、勝負どころでのミスやプレーの精度などが課題として残っているのかなと思うので、今日のファイトの部分はポジティブに捉えながら、成長の糧として来週の試合にチャレンジしていきたいです。本日はありがとうございました」

──対浦安DRで成長できた部分はなんでしょうか?

「接点の部分で劣勢になったところと、セットピースでプレッシャーを受けたところが過去2戦の大きな敗因でした。今日はこの2点を重要なポイントとしていましたので、前回の総当たりのリーグ戦で学んだことを生かして、選手たちが自発的に取り組んでくれたので、少し改善した姿をお見せすることができたと思います」

──後半にジョシュ・マタヴェシ選手をスタンドオフで起用しましたがどんな意図があったのでしょうか?

「逆転しないといけない難しい展開を打開していくために、彼のキャリアやスキルを踏まえて、思い切って彼を10番にして、逆転を狙うギャンブル的な一手を打ちました」

豊田自動織機シャトルズ愛知
ジェームズ・ガスケル ゲームキャプテン

豊田自動織機シャトルズ愛知のジェームズ・ガスケル ゲームキャプテン

「まずは、浦安D-Rocksのみなさま、勝利おめでとうございます。とてもいいチームだと思います。そして、私たちのチームメートのことも誇りに思っています。今日のフィジカリティーに関しては、今季の中でも違いを見せたと思います。今週の試合を終えて、次の試合まで6日間しかないので、短い期間の中でしっかりと準備していきたいと思います」

──14点を先行されたあと、押し込む展開の中でトライを取りに行った判断について。

「ペナルティーゴールを狙わなかった背景には、単純に14点差を追いつくために3点では少ないというところと、自分たちのセットピースやフロントローにかなり自信がありましたので、トライを取りにいく選択をしました」

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