埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスA)
変化を恐れない王者が目指す開幕6連勝。完全復活の松田力也はさらにスケールを増す
埼玉パナソニックワイルドナイツが1月28日に熊谷スポーツ文化公園ラグビー場で開催されるホストゲームに、横浜キヤノンイーグルスを迎える。5戦全勝で首位の埼玉パナソニックワイルドナイツと、3勝1分1敗で4位につける横浜キヤノンイーグルスの上位対決は、14時30分キックオフだ。
埼玉パナソニックワイルドナイツは前節、リコーブラックラムズ東京と対戦して38対17で勝利し開幕5連勝となった。松田力也、山沢拓也という二人がスタメン。3試合ぶり先発復帰の松田が安定感あるキックでペナルティゴールを決め、内田啓介、山沢のトライなどでも得点を重ねてリードを広げた。
今節も内田、松田、山沢という先発陣。フォワード、バックスともに、し烈なスタメン争いがチームの底上げを支える。控えには、前節をスキップした堀江翔太が復帰。一戦ごとにたくましさが増すチームは開幕6連勝、さらに昨季からのリーグ20連勝を目指す。
松田が完全復活を印象付けている。昨季、NTTジャパンラグビー リーグワン最終節で左ひざ前十字じん帯断裂で長期離脱となった。オフシーズンにリハビリを進める一方でフィジカルバランスを整えた。松田は今季の開幕戦に先発出場して7カ月ぶりに復活、開幕勝利に貢献した。だが、キックが万全ではなかった。
松田は開幕前に「左足の筋力を増やしたことでこれまでと感覚が変わっている。キックの部分は今後感覚をつかんでいきたい。ただ、けがをする前よりも全体のバランスは間違いなく良くなっている」と話している。
開幕2戦目まではキックの軌道に首をかしげるシーンもあったが、練習後に黙々と蹴り続けて準備を進めてきた。そして松田と山沢という新たなオプションが生まれた。前節、リコーブラックラムズ東京戦では4本のペナルティゴール、3本のコンバージョンキックを確実に決めて安定感を取り戻している。けがを乗り越えてスケールアップした「シン松田力也」に注目だ。
今節はリーグ最少失点の埼玉パナソニックワイルドナイツの「盾」とリーグ2位の攻撃力を誇る横浜キヤノンイーグルスの「矛」がぶつかり合う。連勝記録を更新し続ける埼玉パナソニックワイルドナイツだが、変化することを恐れない。変化し続ける姿勢が連勝につながっていると言える。今節も埼玉パナソニックワイルドナイツは新たなチャレンジを試みる。その先に勝利がある。
(伊藤寿学)
横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)
「自分たちはチャレンジャー」。目指すは王者の庭での今季初の3連勝
現在2連勝中の横浜キヤノンイーグルスが挑む交流戦初戦の相手は、昨季のチャンピオンチーム。埼玉パナソニックワイルドナイツとのビジターゲームは、1月28日(土)14:30キックオフだ。
昨季の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦は2戦2敗。特に二度目の対戦は「勝てるところまで持っていきながら、最後に突き放される展開になった」(梶村祐介)と、敗戦の悔しさが選手たちの脳裏に深く刻まれている。それでも、悲願のトップ4入りのためには乗り越えなければならない相手。チームを率いる沢木敬介監督は「自分たちはチャレンジャー」と語気を強めた。
今季のチームには世界的スクラムハーフであるファフ・デクラークが加入。戦力を増強した横浜キヤノンイーグルスが狙うのは王者食いだ。プロップの岡部崇人は言った。
「昨季の試合では甘さがあったけど、僕たちは鍛えてきた。接戦やシーソーゲームになったとしても、勝ち切れるようなメンタリティーで臨みたい」
現在5連勝中で無敗を誇る埼玉パナソニックワイルドナイツの印象について、岡部は「シンプルなチーム」と言った。また、勝敗を左右するポイントについても触れ、「ラインアウトやスクラムがキーになってくる」と岡部は見る。そうした見立てを踏まえれば、プロップである岡部はキーマンの一人。首位とのビッグゲームに向けて、本人は「僕自身の責任は重いけど、自分のやるべき役割を遂行するだけ」と話し、言葉に力を込めた。
なお、今節の横浜キヤノンイーグルスは“王者の庭”に乗り込む。2019年に開催されたラグビーワールドカップの試合会場の一つである熊谷スポーツ文化公園ラグビー場の印象について、岡部はこう話した。
「重厚感があって威圧感もあるスタジアム。惜しい試合が多いというイメージがあるので、“熊谷のジンクス”というほどではないけど、そのイメージを払しょくしたい」
王者食いと今季初の3連勝達成へ。強欲なチャレンジャーは、敵地で困難なミッションに挑む。
(郡司聡)