豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

ついにつかんだ先発の座。河野竣太と牛原寛章がインパクトと希望を与える

前節、浦安D-Rocksに完敗を喫した豊田自動織機シャトルズ愛知は、2週間ぶりの公式戦となる。力の差を見せつけられた一戦から、今節はどれだけ自分たちのプレーができるか、リバウンドメンタリティーが問われる。パロマ瑞穂ラグビー場で再び勢いに乗り、2月以降の戦いに臨みたい。

前節から大きくメンバー変更があった豊田自動織機シャトルズ愛知。中でも注目となる選手は、今節がリーグワンデビュー戦となる河野竣太と、移籍加入後初出場となる牛原寛章の二人。両選手とも開幕からノンメンバーが続き、練習試合などをとおしてアピールを続けてきた。流通経済大学から今季加入したルーキーの河野はメンバー発表の瞬間の感情について、「やっときたと思った」と率直な心境を明かした。175cm75kgと小柄だが、「コンタクトに対して恐怖心はない」(河野)という。「ラグビー選手のような体つきではないが、いろいろな体格の人でもできるのがラグビーのいいところだと思うので、自分の場合はスピードを武器に戦っていきたい」(河野)とデビュー戦に向けて意気込んだ。

「選ばれたからには、自分のパフォーマンスを最大限発揮したい」と語ったのは牛原。今季からチームに加わったが、ここまで出場がなかった。フッカーという「フォワード陣をまとめる大黒柱のようなポジション」(牛原)での出場となるが、「チームとしての方向性は変わらないので、誰が出ても変わらないラグビーができる」と断言。スクラムやラインアウトというセットプレーで重責を担う立場でもありながら、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)の激しさも求められる。「浦安D-Rocks戦では負けてしまったが、釜石シーウェイブスRFC戦で自分たちの立ち位置を見せつけて、前に進んでいきたい。メンバーが変わったことで、自分たちが勢いのようなものをチームに与えたい」(牛原)。

開幕からメンバー外が続きながらも、愚直な努力を認められ、ついにつかんだ先発の座。彼らが活躍すれば、これまで出場に飢えていた選手の希望にもなるはず。インパクトを残し、愛知のファンへのお披露目としたい。

(齋藤弦)

豊田自動織機シャトルズ愛知、リーグワンデビュー戦となる河野竣太選手(右)と移籍加入後初出場となる牛原寛章選手

釜石シーウェイブスRFC(D2)

松田力也や元オールブラックス…。「ライバル」との日々を経て、中村良真が手にしたモノ

釜石シーウェイブスRFCは1月28日、豊田自動織機シャトルズ愛知とのビジターゲームに臨む。昨季のレギュラーシーズンはわずか1勝だったものの、新年一発目の前節で今季初勝利。勢いそのまま、ジャパンラグビー リーグワンで初の連勝を狙う。

前節に続き、相手はディビジョン3からの昇格組だが、プレシーズンマッチで敗れているだけに気は抜けない。テンポよくボールを動かす相手に対して、釜石シーウェイブスRFCは持ち味のディフェンスから流れをつかみたい。

前回は、初めて試みた布陣で大きな収穫を得た。ジョシュア・スタンダーをセンターに、そしてスタンドオフに中村良真が入るという組み合わせだ。「“司令塔”が二人いる形でオプションもかなり増えた」と須田康夫ヘッドコーチも話す。

特に中村は、今季全試合に出場し、得意のキックを生かしたゲームコントロール力が際立つ。「試合感覚が継続してあるのはとてもいい」と本人も話した。それは昨季、同じスタンドオフに、オールブラックス(ニュージーランド代表)経験があるブレット・キャメロンが在籍。出場機会に恵まれない日々が続いたからだ。

帝京大学時代も似た境遇を味わった。同学年には日本代表で活躍する姫野和樹や松田力也がいた。松田に至っては同じスタンドオフ。「自分よりはるか上の次元だった。社会人でラグビーをやる熱意を抱いたのも力也が大きな刺激だったから」と、身近なスター選手の存在が中村を突き動かしてきた。

「自分には何が足りないか常に考える癖が大学時代からできていた」と、昨季も積極的に仲間から学び、技術力向上に努めた。若手への声掛けなど、「チームのために、いまできること」への意識も常に持ち続けてきたという。そして昨季終盤には、初挑戦のフルバックでのスタメン出場をつかんだ。その経験からプレーの幅が広がり、ピッチでより良いコミュニケーションもとれるようになったと手ごたえを感じている。

新人のころの彼を取材した際、夜遅くまで黙々とキック練習する姿が印象的だった。しかしそれは本人曰く「自信がなくビビっていたから」。

チーム在籍6年目。焦らず自分にベクトルを向けたコンディション作りができるようになったと、淡々と紡ぐ言葉の端々からも自信が見える。

常に立ちはだかる「ライバル」の存在を前向きに力にしてきた中村。

連勝へ。今こそピッチで見せる時だ。

(佐々木成美)

釜石シーウェイブスRFCの中村良真選手は今季全試合に出場。「試合感覚が継続してあるのはとてもいい」


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