NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第6節
2025年2月15日(土)12:00 ウェーブスタジアム刈谷 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 29-14 日本製鉄釜石シーウェイブス
今季の強さを象徴する“声” 非保持時の貢献がS愛知の強さの根源

暖かな陽気の中で行われた、豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)対日本製鉄釜石シーウェイブスの試合は、29対14でS愛知が勝利した。これでS愛知は4連勝を達成。直近3試合連続でボーナスポイントを得るなど、好調を維持している。
今季のS愛知の強さを象徴するようなシーンが、後半3分にあった。相手のキックしたボールがタッチラインを割った。フレディー・バーンズはそれをキャッチすると、近くにいたケレビ ジョシュアへクイックで投げ入れる。するとケレビが巧みなコース取りでラインブレイク。仕上げはサポートに走っていたバーンズがトライを奪った。
バーンズがすぐにボールを入れた判断と、ラインブレイクをしたケレビにも称賛を送りたいシーンだが、このトライには影のアシストをした選手がいた。今節で2試合目の出場を果たしたチャンス・ペニだ。
ケレビがボールを受け取った瞬間、彼の左後方にいたペニ。すかさず「ショートサイド!」とスタンドまで聞こえるほどの大声で指示を出した。ケレビもその声に呼応し、比較的スペースが空いていた手前側のサイドへ進路を変えて疾走。ペニの的確な指示がトライにつながっていたのだ。
そのプレーについて本人は「自分たちと相手の陣形を見ていて、ショートサイドが空いていると思いました。ウイングはフルバックやスタンドオフとのコミュニケーションが大事なポジションですから」と背景を語ってくれた。191cm・98kgと恵まれた体格から繰り出される爆発的なスピードと、アグレッシブなプレーが持ち味だが、ボールを持たない場面でも貢献できることを示した。
それでも「チームの努力には満足していますが、まだまだ足りていないところもあります。これからも改善を続けていかないといけません」とさらなる成長を求める。このコミュニケーションと、このマインドがあるから、今季のS愛知は強い。
(齋藤弦)
豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ
「本日、素晴らしい天候に恵まれて、スタジアムに多数のファンの方々がお越しいただいたこと、感謝しております。ありがとうございます。試合は勝ち点5をしっかり奪えたことは非常にうれしく思っております。内容につきましては、なかなか80分をとおしてうまく流れをつかみ切れなかったところは反省すべきだと思っています。しかし、長いシーズンを戦う中で、しっかり勝ち点を獲得するのはわれわれのやるべきミッションなので、選手たちの我慢強い頑張りを誇りに思っています。ありがとうございました」
──この試合で課題として出た部分はありますか?
「2月のこの2試合に向けて、自分たちのスタイルをもう一度見つめ直していくことにフォーカスを当てていました。その中で、今日の試合は全体的に見るとミスも多く、反省すべきところも多かったです。しかし、スクラムのところは自分たちの成果として感じた部分です。相手を圧倒することができたところは、昨季までの強みが蘇ってきたと感じます。もう一つは、試合に向けて良い準備ができているぶん、それを試合中に発揮していくところをもう少しレベルアップしていく必要があるのかなと思います。その点が課題かなと思っていますが、良い準備をすることはできていますし、徐々に試合でパフォーマンスができるようになるかなと思っています」
──大山卓真選手が久しぶりの先発で、チームに貢献しました。彼のプレーについて、どう感じていますか。
「そうですね。スクラムのみならず、ラインアウトのアタックもディフェンスも、第1節から非常に高いクオリティーを発揮しています。彼自身まだ若い選手なので、試合に出ながら成長してくれているという点では、本当に今日も素晴らしいパフォーマンスだったと思います」
豊田自動織機シャトルズ愛知
ジェームズ・ガスケル 共同キャプテン
「徳野さん(徳野洋一ヘッドコーチ)がおっしゃったように、多くのファンに来ていただきました。日本製鉄釜石シーウェイブスのファンの方々も、遠いところから来てくださったことにすごく感謝しています。試合中、自分たちが思うようにいかないときがありましたが、しっかり勝ち切れたところは良かったかなと思います」
──ラインアウトのスティールが非常に光りましたが、いかがでしょうか?
「しっかりと準備をしながら、(中村)大志とレニー(タレニ・セウ)と一緒に、どこに(ボールが)上がるかを確認しながらトレーニングをしてきました。彼らとはもう何試合も一緒に出ているので、しっかりとつながりながらできていると思います。普段の練習から、今日のメンバーに入っていない選手にも準備を手伝ってもらっているので、感謝しています」
──スクラムが試合を追うごとに良くなっていますが、いかがでしょうか?
「徳野さんも先ほどおっしゃったように、開幕からスクラムはすごく伸びてきていますし、フロントローの3人に関しては毎週のトレーニングでしっかりと鍛えて、それをゲームで出せているので、かなりポジティブになってきているかなと思います」
──次節に向けての意気込みをお願いします。
「日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)戦に向けて、勝つことを一番に考えていきたいと思っています。しっかり相手をリスペクトしないと危ないという話もしていますし、1週間試合期間が空くので、メンタルもフィジカルもリフレッシュして、次の試合に向かえるようにしていきます」
日本製鉄釜石シーウェイブス

日本製鉄釜石シーウェイブス
須田康夫ヘッドコーチ
「本日は素晴らしい天気の中、たくさんの方に来ていただいて、非常に楽しんでいただけたゲームになったと思います。われわれとしましては、ディフェンスのところで選手たちがよく粘ってくれて、ゲームとしては拮抗したものになったと思っていましたが、セットピースのところでボールをしっかり確保できずに、攻撃する機会がかなり減ってしまいました。そういったところで少し勝利を逃がしてしまった印象が強いです。しっかり修正して、次に挑みたいなと思っています」
──前節に続いてラインアウトでプレッシャーを受けてしまったことに関して、どう感じていますか。
「修正案は出してはいたのですが、それを実行できなかったというところですね。そこは今後話し合って、どういう状況だったのかを落ち着いて確認したいなと思っています」
──後半は風上となりましたが、ボールを持つ機会が少なかったように見えましたが、どう感じましたか。
「しっかり風を生かしてエリアは取れていたと思いますが、セットピースのところでペナルティを犯してしまって、ボールを確保できませんでした。そういった要因で風を生かし切れなかったというか、ボールを持っていないので風上を生かすこと自体できなかったです。すべてはそこに尽きるかなと思います」
日本製鉄釜石シーウェイブス
村上陽平キャプテン
「前節の日野RD戦に比べて、ディフェンスのところはタックルもそうですし、ブレイクダウンは修正できたと思っていて、そこはポジティブに捉えています。ただアタックのところで、セットピースも含めて良い循環を作れなかったです。まったくアタックする機会を作れなかったので、ディフェンスでいくらプレッシャーを掛けても、結局アタックしないことには相手に対して絶対的なプレッシャーを掛けられないと思います。アタックするためにどう工夫していくか、ラインアウトなどがうまくいかないときにどう工夫するかが引き続きの課題なのかなと思います。練習でフィードバックをして、次の試合で修正するためにまた練習から取り組んでいきたいと思います」
──次節までに改善したい部分はどこでしょうか?
「セットピースの課題は明確なので、そこは改善していかないといけないです。またディフェンスのところでコンテストする意識が出てきたので、細かいエラーをなくしていきたいです。例えばタックルのときのロールアウェイの質など、そういったところが求められてくると思うので、細かい部分を練習から突き詰めて取り組んでいきたいなと思います」