リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスA)
12→15→14。3つのポジションを経験したメイン平は、ホストゲーム初勝利に導けるか
東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)との“東京決戦”を駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で迎えるリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)。ホストゲーム初勝利を狙うBR東京は、今節も11番にネタニ・ヴァカヤリア、14番にメイン平の布陣で攻撃をしかける。
22歳のメインは御所実業高校を卒業後、父の地元であるニュージーランドへ渡り、2020-2021シーズンにBR東京の一員となった。1年目は12番、2年目は15番、そして3年目の今季は14番での出場が続いている。
メインは言う。「毎年違うポジションで試合に出させてもらっている。同年代の選手たちに比べ経験値は間違いなく高いですし、幅も広がった。そこは自信になっています」。プレースタイルが異なる3つのポジションを経験することで、見える景色も変わったという。「センターは内側でフォワードを動かすし、ウイングは外側にいるからこそできるプレーがある。視点が変わって面白いです」。
それでもやはり、自身としては「スペースを見て、自分でキックを蹴って、というように、よりゲームに関わることのできる15番」への野望を抱く。
昨夏、21歳で初めて獲得した日本代表キャップについては「こんなに早く代表に入れるチャンスをもらえると思っていなかった」と素直に喜びを表した。一方で、代表に行って意識が変わったとも語る。「プロフェッショナルな選手たちは、一つの準備から違います。試合外でのラグビーへの関わり方、リカバリーの方法なども本当に刺激になりました」。
肌で感じた経験は、メインをさらに強くする。
今週末は東京SG戦。相手には、現在トライランキング首位を独走する尾崎晟也がいる。「尾崎選手は足技がうまい。だから僕は、強みのディフェンスで体を張りたい」。
攻撃に転じれば、ウイングとしての役割を全うするつもりだ。「逆ウイングのネティ(ネタニ・ヴァカヤリア)がトライを取り切っているので、自分もしっかり取り切れるように。ボールが回ってこないときこそ、オフ・ザ・ボールのところでオプションとなりゲームに参加することを意識したいと思います」。
若きチャレンジャーが、BR東京にホストゲーム初勝利をもたらすはずだ。
(原田友莉子)
東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)
覚醒の兆しを見せるフォワード陣。NZ留学を機に進化した箸本龍雅
前節、東芝ブレイブルーパス東京との“府中ダービー”を制した東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。今節は駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場を舞台に、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)との“東京決戦”第2弾に臨む。
6連勝中で3位の東京SGに対して、BR東京は3連敗中で10位。勢いでは東京SG有利に思えるが、決して油断できない理由がある。開幕前のプレシーズンマッチで黒星を喫した相手だからだ。海外遠征中だった日本代表組を欠いていたとはいえ、同じ「東京」を冠する相手にこれ以上の負けは許されない。
「敗れた試合はフォワードの接点の部分で負けてしまった。今度はそこで絶対に負けないように、チーム全体でいい準備をしていこうと取り組んでいます」
こう意気込みを語るのはバックロー陣の一角、明治大学出身の3年目、箸本龍雅だ。昨夏の約3カ月、ニュージーランドのオークランドでのラグビー留学を契機にチーム内での評価を大いに高め、今季は出場機会を大幅に増やしている。
第4節のコベルコ神戸スティーラーズ戦で足首を痛めて負傷退場しても、欠場は続く第5節のみ。第6節からリザーブながらメンバー復帰を果たしたことからも、チームでの信頼度が高まっているのは明らかだ。今節も、リザーブから出場機会を待つ。
箸本の成長によってバックロー陣の競争はますます激化。日本代表の下川甲嗣もリザーブからの出場になることが少なくない。そんな箸本の進化を誰よりも理解するのは、明治大学でも4年間、“監督と選手”の関係性だった田中澄憲監督だ。
「もともと高校・大学と注目されてきたのは(箸本)龍雅のほう。でも、社会人になって先にデビューしたのは(下川)甲嗣で、日本代表にも選出された。だからこそ、龍雅も試合に出るために何をしなければいけないのか、ニュージーランド留学で気付いた部分もあったんでしょう。実際、今季のワークレート(運動量)の素晴らしさはデータでも明確に表れていますよ」
箸本も自らの進化についてこう捉えている。
「もともと得意だったボールキャリーに加えて、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)でいかにファイトするか、相手が嫌がるプレーも少しずつ出せるようになってきたと思います。今節もチームに勢いを与えられるプレー、苦しいときにチームを助けられる泥臭いハードワークをしていきたいです」
覚醒の兆しを見せる若きフォワード陣の奮起こそ、東京最強を目指す上で必要不可欠だ。
(オグマナオト)