コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスB)

純喫茶好きのフォワードが、強みのスクラムで真っ向勝負

前節に勝利し、連敗を『3』でストップさせた6位のコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)。2月19日14時30分にキックオフされる今節は、勝点差わずか『1』の8位・静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)を神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で迎撃する。上位に食らいつくためにも強い気持ちで勝ち切りたい一戦だ。

「静岡BRはトップリーグを見ていたときからスクラムが強い、スクラムに力を持っている認識があります。練習試合でもやったことがなく、初めて。自分もスクラムを強みにしているので、その強みを100%ぶつけたい」

勇ましい言葉で意気込みを語ったのは前田翔。前節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦で初先発を飾ったプロップは、最前線で体を張り、運動量を出し惜しみせず、チームの連敗阻止に大きく貢献。今節は2戦連続となる先発入りを果たした。

神戸S加入2季目を迎えるが、途中出場を含めて「緊張した試合はないですね」という。東海大学付属大阪仰星高校で“花園”に出場したときこそ緊張したものの、東海大学時代から「準備をする質が上がっていきました。自分が試合でやらなければならないことが明確になっているので、自然と緊張はしなくなっていったのかなと思います」と話した23歳。泰然自若な様子に芯の強さを感じさせた。

その一方で、ファニーな横顔も魅力的だ。余暇は「コーヒーを飲みに行ってポーッとするのが好き」と言い、しぶいマスターのいるような純喫茶が好みで「ちょっとうんちくを聞いたりして。面白いです」と楽しそう。試合前にはコーヒーとともにハチミツの直飲みも。「最近、美味しいハチミツに出会いました。見つけました」と幸せそうに頬を緩めた。

チームは今節からホストゲーム2連戦。次節は首位を走る埼玉パナソニックワイルドナイツとの対戦を控えるが、「静岡BR戦に集中する」と一切の油断を排除する背番号3。静岡BRの強みとの真っ向勝負へ。「試合の1本目のスクラムで印象というのは決まってしまうと思うので、1本目からしっかり前に出たいと思います」。前田翔はアグレッシブにチームの勝利のために走り、体を張っていく。

(小野慶太)

「コーヒーを飲みに行ってポーッとするのが好き」と言うコベルコ神戸スティーラーズの前田翔選手(先頭)


静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

継承した“レヴズらしさ”。黒子的なハードワーカーとともに3連勝の達成を

まさかの開幕4連敗のあと、引き分けをはさんで2連勝。“レヴズらしさ”も試合の随所に表われ、明らかに流れが良くなってきた静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。今節は、勝点1差で順位が二つ上(6位)のコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)とのビジターゲームで3連勝に挑む。

その大事な一戦に向けて注目したい選手は、「ワークレート(仕事量、仕事率)が非常に高くて、ディフェンスにおいてすごくチームに貢献してくれている」と堀川隆延ヘッドコーチも高く評価する加入2年目のフランカー、ジョーンズ リチャード剛だ。

ルーキーとして臨んだ昨シーズンは1試合の出場に終わったが、今季は第4節のリコーブラックラムズ東京戦で初出場して、そこから4戦連続で先発。ジョーンズが出始めてからは2勝1分1敗と勝ち越しており、特に直近2試合ではディフェンスの堅固さが目立っている。

彼の貢献度の高さについて、堀川ヘッドコーチは次のように解説してくれた。

「彼の持ち味であるタックルで、相手を一発で倒すことができる。ラグビーでは、ボールを奪うためには相手を倒さなければいけないのですが、彼が最前線で相手の脅威あるランナーを一発で仕留めてくれるので、そこから自分たちが良いサイクルでディフェンスができます。また彼の場合、1回で終わるのではなく、もう1回、2回とフェーズを重ねてタックルしていける。彼があのサイズ(177cm/93kg)で生き残っていくには、人より2倍、3倍仕事をしなければいけないということを本人もしっかり自覚して、自分の良さを発揮してくれています」

漠然と試合を見ているだけではあまり目立たないが、チームへの貢献度は非常に高い。そんな黒子的なプレーを続ける若きハードワーカーに、自身のプレーについて聞いた。

「僕はそれしかできないというか、それが自分の役割だと思っています。だから、そこに100%の力を注いでいるだけです。自分のポジションではタックルも非常に大事な役割なので、タックルの質と回数にはこだわっています。これからもチームのピースの一つとして、自分の役割を愚直にやり続けていくだけです」

チームの調子が上向きになってきた要因について、ジョーンズは次のように語る。

「チームの全員が自分の役割にすごくフォーカスできていて、そこに100%注げていると思います。それによって“レヴズらしさ”も表現できていると思います」

今節に出場すればリーグ通算100試合出場(トップリーグのリーグ戦とリーグワン公式戦の通算)となる大先輩・大戸裕矢に対しては、「大戸さんも派手なプレーはしないですけど、自分の役割以上のプレーでチームを引っ張ってくれている方なので、しっかり見習っていきたいです」と言う。

静岡ブルーレヴズらしさを象徴する働き方は、偉大な先輩から若手へと確実に引き継がれている。

「全員が今までどおり自分のやるべきことをやり続けて、その質と精度を高めていけば、次も必ず勝てると思っています」(ジョーンズ)

まっすぐに前を見つめながら語る23歳の言葉には、3連勝を信じさせてくれる説得力があった。

(前島芳雄)

持ち味のタックルで相手を止める、静岡ブルーレヴズのジョーンズ リチャード剛選手。「これからもチームのピースの一つとして、自分の役割を愚直にやり続けていくだけです」

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