NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第18節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年5月10日(土)17:00 ノエビアスタジアム神戸 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ 23-29 静岡ブルーレヴズ
そこにラファエレ ティモシーがいること。チームの誇りとなった33歳が到達した通算100キャップ
コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)と静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)がノエビアスタジアム神戸で激突したリーグワンディビジョン1の最終節。5月17日(土)に東大阪市花園ラグビー場で開催されるプレーオフオーナメント準々決勝の前哨戦ともなった試合は、最終的に静岡BRが29対23で制したが、最後まで神戸Sが怒とうの攻撃を見せるなど実力伯仲の好ゲームに。1週間後、“西の聖地・花園”で両者は雌雄を決することになった。
日本ラグビー界の功労者の一人が、トップリーグおよびリーグワン通算100試合出場という節目を飾った。13番で先発フル出場したラファエレ ティモシー。試合に敗れたことで、どこか晴れない表情を見せたミックスゾーンの彼だったが、胸にあったのは無数の感謝だった。
「心からの感謝の一言かなと思います。試合前もそうですし、試合後にもあらためて『100キャップおめでとう』と言ってもらえました。ブルーレヴズ側の選手にも集まってもらって祝福されるのはすごくありがたいことです。何よりもここまで来られたのはチームメートや周りの人があってこそ。感謝でいっぱいです」
トップリーグ2014-2015シーズン、コカ・コーラレッドスパークス(当時)の一員としてファーストステージ第6節・キヤノンイーグルス戦(現・横浜キヤノンイーグルス)でファーストキャップを飾り、2019年に神戸製鋼コベルコスティーラーズ(現・神戸S)に移籍。日本代表などでの戦いを含めて11シーズンの奮闘を続け、リーグ通算100試合出場という大台に到達した。
記憶に残っている試合は──。いきなりの質問に「いっぱいある」と悩ましそうに話しながら、ファーストキャップと今節を挙げた33歳。「若い力というのがチームの中に入ってきている。すごく誇りに思えるような、ある意味プライドをもてるような試合展開はできたのかなと思う」と自身にとってのメモリアルな80分を振り返る。
そして、静岡BRとのプレーオフトーナメント準々決勝へ、こう意気込みを口にした。
「自分もこれだけ大きなグループの一人。メンバーに選ばれたらしっかりパフォーマンスを出せる準備をしたい。選ばれなければサラマンダーズ(ノンメンバーの呼称)の一員になって、チームが勝つためのいい準備ができるように。とにかく自分の役割を全うしたいと思います」
常に目の前の試合と向き合い、自らの役割に挑み続けてきたラグビー人生。ラファエレ ティモシーがいることを、ほかならぬ神戸Sが誇りに思っている。
(小野慶太)
コベルコ神戸スティーラーズ
コベルコ神戸スティーラーズ
弘津英司チームディレクター
「今日はどうもありがとうございました。全体感でいきますと、今季は阪神・淡路大震災から30年を迎えるシーズンということで、優勝を目指して(昨年の)9月半ばからチームがスタートして、本当にいい準備をして、開幕、シーズンに挑んだんですけども、なかなか自分たちが思い描くような結果が出なかったのは非常に残念に思っています。ただ、幸いにもプレーオフトーナメントに出場できる機会をいただきましたので、これからしっかり巻き直して優勝を目指していきたいと思います。
また、今日も若い選手が出場する機会があり、彼らにとってはすごくいい機会だったと思いますし、チームにとっても、彼らの経験は財産になると思いますので、しっかりとこれからも次に向けて頑張っていきたいと思います。引き続き応援よろしくお願いいたします。本当にありがとうございました」
コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ヘッドコーチ
「こんばんは。自分たちの選手のことを誇りに思います。すごくタフなゲームだったと思います。スクラムの部分では苦戦したと思いますし、ペナルティもたくさん出ましたし、ペナルティアドバンテージの状況も多かったと思います。自分たちの選手は最後まであきらめずにファイトし続けてくれました。13人になったタイミングでも、仲間のためにハードワークし続ける姿勢を見せてくれたと思います。ブルーレヴズさんのような強い相手にもそこで引くことなくファイトし続けてくれたと思います。今日の試合で得たものをしっかりと生かして来週の(プレーオフトーナメント)準々決勝に向かっていきたいと思います。
また、ここから自分たちチームの層の厚さというところも来週に生かせるところもあると思うので、いまからプレーオフトーナメントのラグビーが始まるというところを楽しみにやっていきたいと思います」
──スクラムが前半から終盤までかなり劣勢だった印象ですが、その修正点やそこでの指示について教えていただけますか。また、ここまでスクラムで負けると想定されていたのでしょうか。
「ブルーレヴズさんの強みがスクラムということは十分理解していますし、ルールのところに関しては、認識でズレがないかという部分に関して、レフリーのボスの方とも話をしていきたいと思います。もちろん、ヒットで負けてドミネートされている瞬間というのもありましたし、いくつかスクラムの部分に関しては判定が逆なのではないかなという部分もあったので、今日の試合に関しては、レフリーの方、アシスタント(レフリー)の方がそう見ているのであれば、そこの認識のズレがないのか、どういうものかを理解した上で、来週正しい形でスクラムを組むしかないと思っています」
──後半、ワントライを争う展開の中、攻め込むときに気持ちの昂り、焦りからペナルティ、ミスが生じたと思います。修正できれば来週への大きい教訓になると思いますが、どのように修正していきたいですか。
「ペナルティなどですよね。13人になった状態で、本来やるべき役割じゃない選手が入らないといけない状況になったことも一つあると思います。ただ、そこの部分で言い訳はするべきでもないと思っています。タイトな試合になってしまったときに、そういうミスをしていると勝つ側では終われなくなってしまいます。タイトな試合でそういうところでミスをしてしまっていたら勝つことはできないので、そこも来週に向けて修正していかないといけません。幸運なことに来週また戦うことができるので、自分たちはさらに良くしていかないといけないと思います。ただ、先ほども言いましたが、戦う部分に関しては本当にチームとして素晴らしいものを見せられたと思います。9点差で負けている状況はありましたけど、その中でもしっかりと13人でもファイトし続けて、最後には勝ち切れる可能性があるところまで、勝ち切れるかもしれないところまでもっていけたと思います。最後のパスに関しても、『スローフォワードかな?』と正直、思っていますけど、ただ、そこの部分でいいキャラクターを見せることができたのは本当に誇りに思っています」
──負傷したティエナン・コストリー選手の状況について、教えていただけますか。
「彼に関しては鎖骨の骨折、もしくは脱臼の可能性が高いです。なので、簡単に復帰できるけがではないと思います。彼にとっては非常に残念ですが、おそらくプレーオフトーナメントに出場することはできないと思います」
──若手が頑張っていた印象があります。次の戦いにつながる明るい材料はありますか?
「間違いなく、(プレーオフトーナメントに)一つ持っていけることとしては、自分たちが今日の試合で自信を得たことだと思います。プレッシャーを掛けられている状況も多かったですが、その中でも常に最後までファイトできる状況までもっていけました。特に若手の選手に関しては、すごくしんどい、タフな中でもすぐに学ばなければいけない状況という機会を得ることができて良かったと思います。今日学んだことを生かした上で来週は間違いなくさらに良くなると思います。
試合全体をとおしてもディフェンスはいい時間が多かったと思います。タックルミスの部分、自分たちが痛みを伴うことになった部分はありますけど、そこの部分に努力が足りていなかったわけではないと思います。それを同じように見せられるか、というところが来週、重要になると思います」
コベルコ神戸スティーラーズ
ジェラード・カウリートゥイオティ ゲームキャプテン
「負けたことに関しては本当に残念な気持ちでいっぱいです。しっかりと戦いにいく姿勢は見せることができました。自分たちの、特にスクラムの部分ですけど、規律の部分で自分たちを苦しめることにつながりました。自分自身のイエローカードも含めて、です。ただ、今日の試合では若手の選手たちがステップアップして勇気をもってプレーしてくれたと思います。幸いなことに来週もう一度戦うことができるので、そこで頑張っていきたいと思います」
──スクラムが前半から終盤までかなり劣勢だった印象ですが、その修正点や出した指示について教えていただけますか。また、ここまでスクラムで負けると想定されていたのでしょうか。
「ブルーレヴズさんも、スクラムに強みをもっていることは分かっていましたし、コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)もスクラムは弱みではなく、強みであると思っています。試合の中でも対応できた時間はありましたけど、試合終盤に関してはいい形でできていなかったと思います。来週末に戦う上ではしっかりと修正して臨みたいと思います」
──試合中のハドルの中で、スクラムについての修正はしたと思いますが、どのような話をしていましたか。
「特に話していたのはヒットの部分です。まずヒットのところで絶対に勝ちにいこうと、勝った上でチェイスしていこう、と。その上でプレッシャーを掛けていこうとしたんですけど、逆にプレッシャーを掛けられてしまいました。ヒットした上でどれだけチェイスできるか。そこの部分で相手にプレッシャーを掛け続けることをメインに話をしました。ヒットしたあとのパワーというところは、ブルーレヴズさんがすごい力を掛けてきたので、そこの部分で自分たちが対応するためにヒットしてチェイスし続けようという話はチームの中でしていました」
──そこがうまくいかなかったということでしょうか。
「正しくできているときは機能していました。試合が終わったばかりなので、映像を見返してどこの部分をどういうふうに修正できるかもう1回、見直していきたいと思います」
静岡ブルーレヴズ
静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「今日は勝てば良しということで、本当に手の内を見せられないですし、なかなか難しいゲームでした。相手に流れがいくときもあったんですけど、選手の入替と、点数でもなんとか勝てたので、今日はけが人も出なかったですし、本当に次につながる1勝かなと思っています」
──今日のメンバー構成は、両チームにとって対照的な位置付けだったのかなと思いますが、この試合に勝った意味を教えてください。
「ほぼほぼ僕らも3位の可能性はなかったので、3位になることは考えていなかったんですが、やっぱり遠く静岡から応援にも来てもらいましたし、1試合でも負けたくないという気持ちがありました。今日のメンバーでやったことを来週、しっかり修正して、少しでも成長できると思うので、(主力選手を)休ませようという考えも少しはあったんですけど、ウチはそういう器用なことができるチームではないので、全試合、全力で戦うという意味です」
──来週、また戦う相手にこれだけスクラムで圧倒できたのはかなり大きなアドバンテージではないでしょうか。
「来週は来週でまた、神戸Sさんのモチベーションは違うでしょうし、今日休んでいる選手も出てくると思うので、今日とは全然違うチームになると思います。もう1回、自分たちも仕切り直して、対応していこうと思います」
──ラインアウトのミスが目立っていたが、どう感じましたか。
「そうですね、なかなかラインアウトのサインも今日は出せなくて。いい勉強になったかなと思います」
──プレーオフトーナメントへ向けての意気込みをお願いします。
「本当にそのために1年間、厳しい練習を選手に課して、それを乗り越えてきました。身に付けたものがみんなにあるので、それをしっかり最後まで出せるように一つひとつ全力でいきたいと思います」
──リーグ戦最後の試合でしたが、総括をお願いします。
「昨季よりも順位も上がりましたし、いまからトーナメントも残っています。けが人も少なかったですし、一貫性をもって思ったとおりみんなが成長して、優勝を狙えるところまできたんじゃないかなと思います」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「今日の試合は自分たちとしてもタフな試合になると分かっていました。神戸Sさんはとても強いチームですので、ここにきてプレーすることは特別な気持ちで、今日試合をしました。すごくクオリティーの高いチームだと思っています。今日の試合はブルーレヴズの(リーグ戦)最終戦になるということで、しっかりと勝って終わりたいという気持ちで臨みました。試合の内容としてはまだまだ自分たちとして修正するところ、学んでいかないといけないところがありますので、そこをしっかり直して来週に向かっていきたいと思っています」
──今日のメンバー構成は両チームにとって対照的な位置付けだったと思いますが、この試合に勝った意味を教えてください。
「コーチの方々がしっかりとシーズンをとおして自分たちに休みを作りながら、ここまで試合をやってきました。それができたことが自分たちにとっていいことだと思いますし、クオーターファイナルで、今までやってきた同じ選手たちとプレーできます。一緒にプレーすることが長くなっていますので、試合でいい結果が出ると思っています。少しずつ自分たちの中で修正していかないといけない部分がありますので、そこをしっかりと直して来週に向かっていきたいと思います」
──プレーオフトーナメントへ向けての意気込みをお願いします。
「藤井さんも言ったように、このシーズンをとおして自分たちが積み上げてきたものがありますので、それをしっかり自信をもって、一つにして来週にぶつけていきたいと思います」
──修正すべき点とは何でしょうか。
「ラインアウトがまず一つあると思います。それと、ボールをしっかりとキープして、持ち続けることが大事だと思っています。今日のコンディションとしては(グラウンドが)すごく濡れていて、難しい状況だったんですけど、自分たちのハンドスキルのところも修正していかないといけないと思っています」