三重ホンダヒート(D2)

無敗のスクラム。「3番」のプライド

シーズンは後半戦に入るが、三重ホンダヒート(以下、三重H)の第6節の相手は、釜石シーウェイブスRFC(以下、釜石SW)である。ビジターで行われた第2節では75-12と大勝。ホストゲームの今節も、同じく完勝し、勝ち点4プラス1とボーナスポイントも手に入れたいところだ。ただ釜石SWも侮れない相手。清水建設江東ブルーシャークスに勝利し、浦安D-Rocks戦では負けたとはいえ、後半は同スコアのゲームをしている。上田泰平ヘッドコーチは「われわれが『受け』に回ると、相手に良いパフォーマンスを出させてしまう。ヒートのラグビーをやり切ることが重要」と気を引き締める。

三重Hはシーズン前半戦、ハイプレスからの激しいディフェンスでディビジョン2最少失点。オフェンスも強力なラインアウトを基点に、テンポの速い攻撃でトライを積み重ねてきた。しかし、シーズンが進むにつれ、ラインアウトは相手チームに研究され、思うような形に持ち込めないシーンも増えてきた。そこでポイントとなるのは、もう一つのセットプレー、スクラムである。

スクラムを取り仕切るのはフロントロー、中でも重要なのは「3番、右プロップ」と上田ヘッドコーチは言う。相手のフッカーとプロップの間に頭を入れるため、相手スクラムを両肩で受け止め、自軍の圧力を相手に効果的に与えないといけないポジション。「いい3番がいるとスクラムが安定する」(上田ヘッドコーチ)という。前節も「3番」を務めた吉岡大貴は「前半戦が終わり、相手チームと一通りスクラムを組んだが、正直、負けている感じはまったくない」と、ここまでの三重Hのスクラムに自信を持っている。スタッツでも、前節までマイボールスクラムは35/35、無敗である。

吉岡は「スクラムは組む前から勝負が始まり、頭の位置、間合い、組んでからも相手の圧力をどういなすかなど奥が深い」と言う。プロップは専門職でもあり、吉岡も「3番にプライドを持ってプレーしている。1番(左プロップ)をやれと言われても無理ですね」と笑う。

三重Hはトランジションを生み出し、プレースピードを上げていくラグビー。そのためスクラムを組む機会は決して多くはない。逆に言うと少ない機会であるがゆえ、試合を左右する決定機にもなりうる。「スクラムが少ないのは、それだけボールが動いている証拠。僕らのラグビーができているということなので、少ない機会であっても、そこで魅せるスクラムができれば」と吉岡も言う。後半戦に入り、一度組んだ相手フォワードも変化してくるはず。「変化に対してどう対応するのかも楽しみ」(吉岡)という無敗のスクラム、シーズン後半は必見である。

(小崎仁久)

三重ホンダヒートの右プロップ、吉岡大貴選手。「前半戦が終わり、相手チームと一通りスクラムを組んだが、正直、負けている感じはまったくない」


釜石シーウェイブスRFC(D2)

自主トレや食事にもこだわり抜くプロフェッショナル、強豪相手に「今季ベストゲーム」を誓う

現在リーグ最下位の釜石シーウェイブスRFC(以下、釜石SW)。2月26日、ビジターで2位の三重ホンダヒート(以下、三重H)と対戦する。シーズンは折り返し。ディビジョン1昇格条件の上位3つへ這い上がるべく、後半戦、いいスタートを切りたい。

三重Hとの対戦。立ちはだかるのは、今季加入のトム・バンクスや、パブロ・マテーラなど、海外の代表経験豊富な選手たちだ。

キャプテンの小野航大も「思っていた以上に今季はレベルが高い。ラッキーで勝てるほど甘くない」と前半戦を振り返った。一方で須田康夫ヘッドコーチが「昨季以上にチームは成長している」と話すように、高いレベルの試合経験は確実にチーム力向上につながっている。確かな自信を得るために、釜石SWにいま必要なのは「勝利」だ。

「ワールドクラスの選手にどれだけ通用するのか楽しみ」と語ったのは、前回の三重H戦はメンバー外だったフルバックのキャメロン・ベイリー。ボールを持って走り、相手を抜いて前に進むラインブレイク、そしてタックルされながら行うオフロードパスともに、今季、リーグ上位の数を記録している。切り裂くように大きく前進し、自らもトライを奪うなど、釜石SWのアタックにはなくてはならない大きな存在だ。次戦、勝利をつかむために「今季ベストゲームをする」と力強く話した。

そのキャメロン・ベイリーは普段はいったいどんな選手なのか。取材時に通訳をしてくれた村田オスカロイドに聞くと「まさにプロフェッショナルだ」と間髪入れず答えが返ってきた。

20歳のころに取得したというパーソナルトレーナーの資格を生かし、自分で組み立てたウェイトトレーニングや走り込みメニューを全体練習に加えて自主的に行っているそうだ。さらに、良質なたんぱく質や野菜をとるなど、バランスの良い食事も常に心がけている。自分で1週間分の献立を考え、それをホワイトボードに必ず書き記しておくという徹底ぶりだ。そういった積み重ねが、キャメロン・ベイリーの強さにつながっているのかもしれない。

「キャメロン・ベイリーにとってプロフェッショナルとは?」

次戦、強豪相手にもその答えをピッチで体現してくれることを期待したい。

(佐々木成美)

「今季ベストゲームをする」と意気込む、釜石シーウェイブスRFCのキャメロン・ベイリー選手


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