2023.02.28NTTリーグワン2022-23 D2 第6節レポート(三重H 41-26 釜石SW)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2 第6節
2023年2月26日(日)12:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 サッカー・ラグビー場 (三重県)
三重ホンダヒート 41-26 釜石シーウェイブスRFC

前半の三重H、後半の釜石SW。両雄ともに実り多き熱戦

三重ホンダヒートはディビジョン2で2位をキープ

シーズンも後半に入った第6節は、風速5m/sを超える強風の下、三重交通Gスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場で行われた。地力に勝るホスト、三重ホンダヒート(以下、三重H)が、ディビジョン2・6位の釜石シーウェイブスRFC(以下、釜石SW)を寄せ付けず、41-26と快勝。勝ち点5を得た。

三重Hは前節まで4勝1敗だが、前半20分までを見ると、4勝しているゲームでも3試合で相手にリードを許している。逆転勝ちはチームの実力の高さを示しているが、ディビジョン1昇格へ向け、上田泰平ヘッドコーチが最も重要視している「試合の入り」で思うようなプレーができているとは言えない。このゲームでも前半は強風の風下側からのスタートを強いられ、試合の入り、20分までのメンタリティも含めたプレーが焦点となった。

三重Hは、キックオフからの最初のシリーズでボールをテンポ良くワイドまで回し、相手陣深くまで前進した。次のプレーからも、相手にキックを蹴らせてカウンター、ラインアウトでのモールと、釜石SW陣内でプレーを続け、9分の最初のトライへと結びつけた。その後も、キックカウンターを軸にした攻撃、ディフェンスでもハイプレスが鋭く決まり、メンタリティも緩むことなく3トライ。不利な風下でありながら、31分にトライを取られるまで、終始、ボールを釜石SW陣で動かし続けた。上田ヘッドコーチも、後半にミスが増えたものの「風下でも良いスタートを切れて、満足している。チームは前進している」と話している。

負けた釜石SWだが、前回対戦、ホームで大敗した第2節とは変化も見えた。このゲーム、後半のスコアだけを見ると19-19と互角。後半は、幾度も三重H陣深くまで攻め込み、ディフェンスでも相手のミスを誘発させ、ラインアウトをスティールするなど、風下に回った中、内容では上回った。須田康夫ヘッドコーチも「後半は、互角以上の戦いができることを証明できた」と選手を称える。三重Hが「釜石SWは後半に上げてくる」(三重H上田ヘッドコーチ)と警戒する中でのパフォーマンスは、今後への自信へとつながる。キャプテンの小野航大も「前節の浦安D-Rocks戦から、ボールポゼッションを増やそうとしてきた。ボールを持つということが自分たちの強みになっている」と話す。

三重Hとしては、悲願の昇格へ向け、課題を一つ解消できた。釜石SWとしては、2カ月ぶりにホームへと帰る次節への期待が膨らむ内容となった。双方にとって、実りの多いゲームとなった。

(小崎仁久)

三重ホンダヒート

三重ホンダヒート
上田泰平ヘッドコーチ

三重ホンダヒートの上田泰平ヘッドコーチ

「皆さんお疲れさまです。ちょっと寒さが戻ってきている中、ファンの皆さんもグラウンドに足を運んでいただいて、三重ホンダヒート(以下、三重H)らしい試合を見せることができたと思っています。
試合の内容自体は、入りのところで、しっかりと自分たちのラグビーができたかな、というのが感想です。セカンドハーフは、自分たちのラグビーをしようと選手が努力してくれたと思っていて、その部分はとても誇りに感じています。ただ、一つひとつ見ていかないといけないのですが、少し自分たちのプレーを最後まで正しくできなかったというのが、課題として残った試合だと思いました。例えば、タックル一つにしても、コンタクトが起きた時点で、少しもう満足しているというのか、コンタクトが起きて満足してしまった。ラインブレイクも、ハーフラインブレイクが起きた瞬間に満足してしまったなど、最後まで一つひとつ正しいことを、正しく終わらせることができなかったなというのが、後半の課題だと思います。
ただ、内容としてはとてもチームとして前進しています。前の試合よりもパフォーマンスが上がり、チーム力としても素晴らしい準備が今週はできたので、チームとして成長できていることは、とても満足に思っています」

──後半はスコアが19-19で、風上に立ったわりには相手に押し込まれた形になりました。

「前半はいいとして、後半のところですよね。ハーフタイムでも、釜石シーウェイブスRFC(以下、釜石SW)と浦安D-Rocksのゲーム、釜石SWが後半は同スコアにした試合を見せました。釜石SWは後半にパフォーマンスをしっかりと上げてくるし、中途半端なことをしていたらやられるという話をして、後半に入ったのですが、先ほど言ったように、きっかけをつかむところまではとてもよかった。そのきっかけを作ったことに関して、最後に正しい結果を導き出せなかったのは、一人ひとりが最後までしっかりと正しいことをやれなかったということ。それが課題としてあるのだろうと認識しています」

──不利だと思われた風下側の前半で点を取り、有利だと思われた風上側の後半は同スコアにされました。風に対するマネジメントはいかがでしたか?

「前半の風下に関しては、とてもゲーム的に成長したところが見られました。風上に立った後半は、少しセットピースに戻したところが多かったのですが、もっとセットピースに戻さずにやればよかったなと思いました。僕がコーチボックスで感じている風と、現場で感じている風は、かなりの差があると思うので、そこはまた、ストラテジーのプレーヤーたちと話しながら、もう少し詰めていけば、良くなると思っています。そこは一番簡単に良くなるポイントだと思うので、それほど心配はしていません。それよりも、風下でとてもいいスタートを切れたというのが、自分たちの成長が見られた場面だったので、とても満足しています」

三重ホンダヒート
古田凌キャプテン

三重ホンダヒートの古田 凌キャプテン

「お疲れさまです。今日の試合、前半は、チームとしていいスタートを切ろう、キックオフからしっかりいいスタートを切って、自分たちの流れ、自分たちのペースをつかんでいこうという話を、試合前にしていました。それで試合の入りはとても良くて、みんながチームとして一つになって、自分たちがやりたいこと、自分たちのラグビーに対して、しっかりチャレンジできていたと思います。風の影響もありましたが、そこも含めてとても良かったと感じています。後半、ヘッドコーチもおっしゃったように、少し規律のところを含めてミスが見え始めてきて、そういったところで、失点につながった部分もありました。そこは、最後の最後までしっかりと自分たちのラグビーを貫き通すプレーができれば、もっと成長できると感じました」

三重ホンダヒート
本村直樹選手

三重ホンダヒートの本村直樹選手

──前半、風下側でありながら、有利な状況を作りましたが、後半、風上側に立ちながら押し込まれるシーンが増えました。バックスとしては、どう感じていましたか?

「風下のときは、カウンターラインなどに対して、いつも狙うターゲットよりも自陣側でもっとボールを持とうというところを意識していたので、おそらくバックスの選手も、戻りなどがとても良かったと思います。後半は、やはり相手は蹴ってくるだろうというところで、少し受けてしまったのかなと思います」

──後半、釜石SWがキッキングゲームにしなかったこと自体は予測できていましたか?

「ボールを回してくるだろうとは思っていました。自分たちもあの風の状況の中でボールを回していましたし、相手は負けているので、風が強い中、回してくるだろうと。そこでやはりタックルなどで仕留め切れなかったというところが、今回の問題だったのかなと思います」

三重ホンダヒート
ヴィリアミ・アフ・カイポウリ選手

三重ホンダヒートのヴィリアミ・アフ・カイポウリ選手

──今日の試合、かなりいいパフォーマンスができたと思いますが、ご自身の手ごたえはいかがですか?

「そうですね、久しぶりにロックのポジションでプレーして、いつもより気合いを入れて、どのポジションでも変わらずに、自分の強みを出して、コーチたちから言われていることをやれば、いつもどおりにできるかなと思っていました。ロックの仕事は、少しだけ役割は変わりますが、基本的にやることは変わりません」

釜石シーウェイブスRFC

釜石シーウェイブスRFC
須田康夫ヘッドコーチ

釜石シーウェイブスRFCの須田康夫ヘッドコーチ

「釜石シーウェイブスRFC(以下、釜石SW)は、前半にやられるというところが非常に課題でした。ただ今日の前半は少しディフェンスで粘れて、後半は、三重ホンダヒート(以下、三重H)を相手に互角以上の戦いもできるということは証明できたと思います。やはり、前半の入りでの失点が多かったため、最後まで追いつけない点差で終わってしまったという印象です。
チームとしては、やれる部分というのが本当に多くて、ポジティブに捉えることのできるゲームだったと思います。次に向かって、しっかりいい準備ができますし、一つレベルアップしたようなチームビルディングにもなったと思うので、そういったところは非常にポジティブに捉えられたゲームでした」

──ポジティブに捉えた部分は、具体的にどういったところでしょうか?

「ディフェンスも粘れるようになった部分がありました。反則のところで、エリアマネジメント的には自陣の深いところでやることが多かったのですが、タックリング自体は良かったですし、ブレイクダウンのところでも二人目の仕事がしっかりできたので、一ついい形ができたのが良かったかなと思います。アタックは、当然ながらしっかりボールを動かせば、トライを取り切れる、ゲインラインを切れるというところは、お見せできたかなと思います。また一つ自信になったなと思っています」

──次節から釜石での連戦が始まりますが、チームはどういった戦い方をしますか?

「ポジティブな面で、もう一つあるのはメンタル的なところ。『態度』という部分は今日、フォーカスしたところでした。われわれだけの話ではなく、見に来てくれるお客さんやサポーターの皆さんが、釜石SWのどういったゲームを見たいのか、というところに焦点を当てて話をしました。結果として、選手たちがそういった態度を示してくれたので、次は釜石鵜住居復興スタジアムで、われわれの城を守るじゃないですけど、やれるのは僕らだけなので、もう一つ態度で、ポジティブなゲーム、勝てるようなゲームをしたいと思っています」

──試合前に話されたのですか?

「そうですね。毎回、ホテルを出る前に少しミーティングをしてから出てきますが、その時に」

──前回の三重Hとのゲームは大差で敗れましたが、前回と今回のゲームで変わったところはありましたか?

「前回、対戦させていただいた時は、まだチームも手探り状態だったという部分もありましたし、もう少しエリアを意識したゲームだったと思います。今回は、シーズンも深まってきて、自分たちの強みはどこにあるのか、いい部分はどこなのか、というところを探すことができて、自分たちの強みを当てるというところにフォーカスして、やっている部分が大きいです。三重Hさんが何をやってくるか、どういったチームなのか、というより、自分たちは何が得意なのか、というところにフォーカスしているところが大きいです」

釜石シーウェイブスRFC
小野航大キャプテン

釜石シーウェイブスRFCの小野航大キャプテン

「本日はありがとうございました。今日はゲーム前にヘッドコーチから、ゲームに対するアティチュードというところの話をされました。前回対戦したゲームでは、一人ひとりが戦えずに、常に受けてしまって、三重Hさんのやりたいことを、やり続けられた80分になってしまいました。今日は、しっかり自分たちとしてやるべきこと、自分たちも戦う姿勢を見せることができたのは、一つ成長できた部分かなと思います。
あと、ペナルティだったり、簡単にスコアされてしまったり、ヘッドコーチの話にもあったように前半の早い時間帯から失点してしまったり、というところは課題だと思うので、ディテールの部分をチームとして詰めていければ、もう一つレベルアップできるのかなと思いましたし、そう感じられるゲームだったと思います。
次に向けて、ここからまた、3連戦、4連戦と続きますので、しっかりいい準備をして、次こそはホームで勝つ姿を見せられるように、頑張りたいと思います」

──今日のゲームをどう評価していますか?

「今日のゲームのテーマを、ボールムーブメントというところに置いていました。球を思い切って動かそう、というところにフォーカスしてゲームに臨んでいたので、ミスを恐れず、思い切ってボールを動かせたところは良かったと思います。しっかりボールを動かした結果が、スコアにつながっていたので、そこはポジティブな部分として、次にもつなげられれば、と思います。

ただ、アタックの形という意味では、自分たちのパーフェクトの形が作れていなかったですし、後手に回った中、トランジションの中でのトライが多かったので、しっかり自分たちの形を持って、アタックを続けられれば、もっとチャンスを作れるのかな、という感触のようなものはありました」

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