横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)

「例年以上に熱い試合にしたい」。“秩父宮平日ナイター男”が勝利に導く

目下4位の横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)は今節、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)とのホストゲームを戦う。試合会場は日本ラグビーの“聖地”の一つである秩父宮ラグビー場。3月3日(金)19時試合開始の平日ナイターだ。

2連勝中だった横浜Eは前節のトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)戦に勝利し、今季初の3連勝を飾った。静岡BR戦は4連勝のかかった試合でもあるが、チームは連勝の数に一喜一憂せずに、目の前の一戦に集中して戦うことに注力している。静岡BR戦で先発予定の庭井祐輔は「3連勝中と言われて、『そうなんや』ぐらいの感覚。1試合1試合チームとして成長できている結果」と強調した。

なお、“聖地・秩父宮での平日ナイター”の代名詞的存在と言えば、31歳の庭井を置いて他にはいないだろう。遡ること、ジャパンラグビー トップリーグ時代の2018-19シーズン開幕戦。秩父宮平日ナイターだった東芝ブレイブルーパス(当時)戦での庭井は、後半に相手のキックを顔面で阻止し、そのチャージから最終的にチームがトライにつなげるワンシーンがあった。

また、極めつけは昨季のNTTジャパンラグビー リーグワン ディビジョン1第10節のトヨタV戦。同様に秩父宮ラグビー場での平日ナイターとなったトヨタV戦での庭井は相手に先行される展開の中、トヨタVを追い上げるトライを奪い、最終的にチームの逆転勝利につなげた。大雨の中での試合だったため、「ラグビー人生で一番寒い試合だったことしか覚えていない」と本人はおどけたが、庭井はプレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞する活躍ぶりだった。庭井がそのトヨタV戦をこう振り返る。

「あのトヨタV戦はフォワードのパックとして、自信をつけられた試合になりました。その自信は今季にも良い形でつながっています」

庭井にとって、秩父宮は「好きなスタジアムの一つ」。“秩父宮平日ナイター男”はゲンの良い試合に向けて、「例年以上に熱い試合にしたい」と力強く決意を語った。

(郡司聡)

ラインアウトでスロワーを務める横浜キヤノンイーグルスの庭井祐輔選手


静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

昨季まで在籍していた古巣を相手に加入後初先発。燃えている、静岡BRの“パパ”

2連勝のあと、僅差での2連敗を喫している静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。負傷者もまだ多い中で、今節は4位の横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)と、今季初のナイトゲームを戦う。

チームがそんな正念場を迎えている中、今季初先発に燃えているのが、昨季まで横浜Eに在籍していたアニセ サムエラだ。

「横浜Eには親しい選手が多いですし、良い思い出がたくさんあるチームなので、すごくワクワクしています。フィジカル的により良い状態にして、ラインアウトなどのセットピースで自分の仕事をしっかり遂行して、良いボールをバックスに出していきたいと思います」(アニセ)

堀川隆延ヘッドコーチも、アニセを含めたフォワード陣の働きが今節のポイントになると言う。

「今回はフォワードのスタメンに(アニセ)サムエラを入れていますが、横浜Eとの過去の対戦ではラインアウトモールでスコアを許していることもあって、フォワードでしっかり対抗できる布陣として考えています。横浜Eは前半20分で勝負を決めにくるチームなので、そこでフォワード陣がしっかりファイトしてほしいです。過去にサムエラが在籍したチームですし、(昨年11月に行われた)プレシーズンの試合でも非常にパフォーマンスが良かったので期待したいです」

フィジー出身の198cm/118kgという体格を誇るロックは、2008年に来日して日野自動車(当時)でプレー。その後、日本国籍を取得し、2016年から横浜Eに移って、日本代表としても12キャップを記録している。そして今季から静岡BRに移籍して徐々に“レヴズスタイル”に馴染み、青いジャージーもよく似合ってきた。

「僕と妻にとって日本は第二の母国という感覚ですけど、息子たちも日本が大好きで、彼らにとっては第一の母国です」と笑うアニセ。静岡に来てからは、その優しくて面倒見の良い人柄から「パパ」と呼ばれて年下の選手たちにも慕われ、すっかりチームに馴染んでいる。

「いまは静岡BRの勝利のために自分の全力を尽くすだけです」と語るアニセ。古巣に対して、キックオフから“レヴズ戦士”らしくフルスロットルで突進していく。

(前島芳雄)

静岡ブルーレヴズでは“パパ”と呼ばれているという、アニセ サムエラ選手


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