2024.03.11NTTリーグワン2023-24 D1 第9節レポート(横浜E 34-17 静岡BR)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第9節
2024年3月9日(土)12:00 レゾナックドーム大分 (大分県)
横浜キヤノンイーグルス 34-17 静岡ブルーレヴズ

第二のホスト・大分で快勝。
さらに強くなり、2カ月後に帰ってくる

横浜キヤノンイーグルスの庭井祐輔選手。スクラムについては「前半のうちにすぐ修正して臨めるようにしたいと思います」

横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)にとってセカンダリーホストエリアである大分でのゲームは今季初となった。静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)に34対17、勝ち点5をつかむ快勝を飾り、プレーオフトーナメント出場権争いにしっかりと踏みとどまった。昨季の大分開催は3試合で2勝1分。今節も含めると大分では3連勝と好結果を出している。

大分開催のゲームについて、キャプテンの梶村祐介は、「ファンの方も毎回たくさん来てくれているので本当にありがたいですし、自分たちのホストエリアだなと感じさせてくれます。グラウンド状態も良くて本当にサポートしていただいて、毎回わくわくした気持ちで大分に来ています」と語る。

また、庭井祐輔は「ご飯も美味しいし、温泉もたっぷり入れて、本当に良い環境で戦えています」と言う。

大分の地元ファンはもちろん、関東から大分旅行も楽しみにしながら訪れるファンも多い。移動距離は長いが、選手たちもホストゲームの優位性を実感しながら戦うことができている。会場のレゾナックドーム大分に向かうバスで、観戦に向かう地元高校のラグビー部員たちと話したが、彼らも間近で国内トップレベルの試合が観られることを毎回楽しみにしているようだった。

キックオフ直後は静岡BRの勢いに押されて先制トライを奪われ、そのあとも相手の武器であるスクラムで押されるシーンもあった。それでも、そのほかの面では静岡BRよりもミスやペナルティは少なく、逆にターンオーバーでは上回り、自陣内に押し込まれる時間が少ないまま、最後まで試合を進めることができた。

スクラムに関しても、後半は修正。ペナルティを取り、スクラムに強みを持つ静岡BRのお株を奪ってみせた。静岡BRの藤井雄一郎監督も「スクラムもちょっとタイミングが合わなかったりして、セットピースでバタバタしたのも敗因の一つ」と自分たちらしさを出せなかったことに悔しさをにじませた。

だが、フッカーを務めた庭井は、「(スクラムは)後半は細かい部分を修正して、ターンオーバーできたのは良かったですが、今後、トップ4や強い相手と戦うときに後半からでは遅いので、前半のうちにすぐ修正して臨めるようにしたいと思います」と課題のほうを強調。そのほかの選手たちも沢木敬介監督も、試合内容には誰一人満足しておらず、チーム力の向上に向けて妥協はない。

次の大分開催は、最終節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦。「それまでの試合でしっかりとプレーオフトーナメントに行けるような力を付けていかなければいけない」(沢木監督)という言葉が有終の美につながるのか。2カ月後にレゾナックドーム大分がどれほど盛り上がるのか。いまから楽しみにしている横浜Eファンも多いはずだ。

(前島芳雄)

横浜キヤノンイーグルス

横浜キヤノンイーグルスの沢木敬介監督(右)、梶村祐介キャプテン

横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督

「結果的に5ポイントを取って勝ったことは良かったですけど、トライを取ったあとなど、自分たちから相手に生き返るチャンスを与えている機会が今日の試合はとても多かったので、そういうスキを与えないようなマインドをしっかり整えていかないといけない。チャンスだからこそ、その目の前のプレーをしっかりと集中して大事にプレーしないといけないということを、今日あらためて学んだと思います。ウチの選手たちはもっと良いパフォーマンスを出せると思いますし、一人ひとりがもっと良いプレーができると思います。来週はショートウィークでの試合になりますけど、しっかり良い準備してクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)に自分たちのラグビーをして、ちゃんと自分たちが試合をコントロールできるように良い準備していきたいと思います」

──今季、大分では2試合予定されていますが、次の試合はリーグ最終戦で相手は埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)ですが、どういう状況で迎えたいと考えていますか?

「最終戦が埼玉WKとのゲームなので、そこは本当に大事な試合になると思います。それまでの試合でしっかりとプレーオフトーナメントに行けるような力を着けていかないといけないと思います。大分で応援してくれるファンのみなさんに、しっかり横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)として良いプレーして、最終戦でしっかり勝って、みんなで喜びを分かち合いたいなと思います」

──大分開催で結果を出せていますが、ここでやることで力になっている部分というのはありますか?

「移動はありますけど、われわれが泊まっているホテルも、すごく選手ファーストでいろいろと良い準備をしてくれますし、いろいろな人がいろいろなサポートしてくれているので、本当に良い環境でやらせてもらっています。本当に感謝しています」

──次節のS東京ベイ戦にはどのような準備をしていきたいですか?

「力のあるチームなので、僕らは自分たちがどうやってS東京ベイをコントロールするかというゲームプランをしっかり明確にする。少ない準備期間で、1日、1日とクリアしないといけない課題をクリアしながら、いい準備したいと思います」

横浜キヤノンイーグルス
梶村祐介キャプテン

「本日はお疲れ様でした。まず5ポイント取って勝利できたこと、それは本当にチームとして良かったと思っています。ただ、監督もおっしゃっていましたけど、自分たちから相手に流れを渡してしまうシーンが今日は特に多かったです。ただ、今日に限ったことではなくて、ここ最近ずっと同じ課題が続いているので、トップ4のチームと対戦するときに、そうやって自分たちから簡単に流れを渡してしまうと、本当にそれが勝敗に直結してしまう。今日のゲームからしっかりと学んで、次のゲームに向かってきたいと思います。本日はありがとうございました」

──プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた感想はいかがですか?

「結果的にトライを取ったから選んでもらっているみたいな感じだと思います。ただ、もっとゲームの中でうまくできたところはあったと思いますし、個人的にはプレーヤー・オブ・ザ・マッチというほどのプレーができたかという点には少し疑問はあります。ただ、今日は自分自身が(トップリーグ・リーグワン通算)50キャップで、そういうゲームで取れたというのは本当にうれしく思っています」

──入りのところで先制されて、初めはイヤな流れがあったかと思いますが、そのあと、少し流れをつかむことができたという感覚はありますか?

「敵陣に入れば、自分たちがボールを持つというプランだったんですけど、それを遂行できているなとは感じていました。ただ、それをスコアになかなかつなげられていないというのは結果的にありました。それでも、ボールを持っていて攻めづらいといった感覚はあまりなかったので、自分たちのプランどおりに戦えばまったく問題ないなというふうに思っていました」

──大分開催で結果を出せていると思いますが、ここでやることで力になっている部分というのはありますか?

「自分たちのセカンダリーホストエリアということで、選手として感じるのは、大分で試合できるのは本当にうれしく感じています。合宿でも大分県を利用させてもらっていますし、ファンの方も毎回たくさん来ていただいているので、本当にありがたいなと感じています。自分たちのホストエリアだなと毎回感じさせてくれますし、会場のグラウンドの状態も毎回良くて、本当にサポートしていただいて感謝しています。毎回、本当にわくわくした気持ちで大分に来させてもらっています」


静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズの藤井雄一郎監督(右)、マリー・ダグラス ゲームキャプテン

静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督

「お互い今日は非常に大事な試合ということで、横浜キヤノンイーグルスさんも勝ちへの執念というか、ディフェンスもかなりプレッシャーを掛けてきました。(自分たちには)不必要なペナルティもあって、こういうゲームであれだけペナルティをすると……。スクラムもちょっとタイミングが合わなかったりして、セットピースでバタバタしたのも敗因かなと思います」

──なかなか今日は自分たちの流れに持っていけなかったですが、その原因をどう感じていますか?

「ペナルティに関しては、もう一度しっかり見てみないといけないですが、それでリズムが崩れてなかなか敵陣に入れませんでした。スクラムで優位に立ちたかったところで、逆にこちらがリズムを奪われてしまいました」

静岡ブルーレヴズ
マリー・ダグラス ゲームキャプテン

「横浜Eさんがたくさんプレッシャーを掛けてきた部分もありましたし、トライを自分たちが取ってからまた相手にトライを与えてしまったところもありました。自分たちの規律の部分も、試合に影響を与えたと思っています。アタックのところに関しては、自分たちがしっかりと我慢をしてボールをキープすることができなかった部分もありましたし、ターンオーバーをされてしまうことがたくさんありました。自陣でたくさんプレーをしないといけない時間帯が多くなってしまったことが、敗因の一つかなと思っています」

──スクラムでペナルティが多くなってしまいましたが、その原因はどう考えていますか?

「試合の入りのところではスクラムはそれほど悪くなかったと思いますけど、そのあと、横浜Eさんのほうがスクラムにフォーカスをしてきて、バインドのところで体重を掛けてきたのを感じました。あとは相手のヒットで受けてしまって、自分たちが後ろに下がってしまうと、なかなかそこから前に行くことは難しいと思っています」

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