NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(交流戦)第9節
2024年3月9日(土)12:00 レゾナックドーム大分 (大分県)
横浜キヤノンイーグルス vs 静岡ブルーレヴズ
横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)
前節をスタンダードに。
試される横浜Eを岡部崇人が“先頭”で引っ張る
前節の三重ホンダヒート(以下、三重H)戦を50対21のスコアで制し、連敗を2で止めた横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)は今節、今季初めて大分でのホストゲームを迎える。相手は静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。3月9日(土)12時、レゾナックドーム大分でキックオフの号砲が鳴る。
“練習は嘘をつかない”。三重H戦の横浜Eは、スポーツ界の格言をあらためて実感する勝利をつかんだ。三重H戦を2日後に控えた練習では密度の濃い実戦練習を前に沢木敬介監督も「ナイスゲーム!」と称賛するほど。「チームとして勝つべき状況を作れた」(岡部崇人)という準備期間の充実が、そのまま試合前のウォーミングアップにも波及。「前半の入りが良かったことがすべて」(岡部)と言えるほど、相手を立ち上がりから圧倒できたことが勝利につながった。
「練習でできないことは試合ではできない。練習から変えていこう」。梶村祐介キャプテンの声掛けが、あらためて日々の準備期間から見直すきっかけとなったが、2連敗と負けが込んでいる状況が危機感を生んだ側面は否めない。たった1試合で“勝つためのサイクル”が止まってしまっては本末転倒。三重H戦に向けた準備期間をスタンダードにするために、三重H戦と同様のマインドセットで静岡BR戦に臨めるか。いま、横浜Eは試されている。
なお、今季は昨季よりも大分開催の試合が一つ少ない計2試合と、セカンダリーホストエリアで横浜Eの勇姿を届ける機会が限られている。そのため、選手たちのモチベーションは、すこぶる高い。岡部は言う。
「静岡BRはディフェンスや接点が粘り強い印象を受けるので、自分たちに主導権を手繰り寄せるためには、前3人のフォワードの役割が大きい。大分は合宿でもお世話になった土地。横浜Eらしさ全開のラグビーで勝利の喜びを一緒に分かち合いたい」
上位に食らいつくための2連勝へ。岡部は、“先頭”でチームをけん引する覚悟だ。
(郡司聡)
静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)
周囲から全幅の信頼を得る強固な意志と頑強な体。
鉄人が地元・大分でもプレーと背中で示す
リーグ戦の再開後は2連敗となり、ここまで3勝5敗の9位。プレーオフトーナメントに進出するためにはもうあとがなくなってきた静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)にとって、今節はジャパンラグビー リーグワンになって初めての九州での試合。現在の静岡BRには九州出身の選手が多く、今節のメンバー23人中で6人が九州出身となっており、「彼らは特に気合いが入ると思います」と藤井雄一郎監督も期待を寄せる。中でも「平一郎は地元ですからね」と名前を挙げたのは、今節の開催地である大分県出身の伊藤平一郎だ。
2013年に早稲田大学を卒業してヤマハ発動機ジュビロ(当時)に加わってから静岡BR一筋11年の伊藤。その間、チームの絶対的な武器であるスクラムを支え続け、33歳のいまも代えの利かない選手としてスタメンを張り続けている。口数は多くないが、気持ちの熱さという面でもチームを力強くけん引している。
両親が大分県出身で、生まれたのは大分だが、生後まもなく福岡に転居。ただ、高校時代は大分舞鶴高校でラグビーに励み、当時のチームメートや友人、親戚らがこの試合にも多く駆けつけてくれるはずだ。当然、本人も相当気持ちが入っている。
「僕個人がどうこうよりチームが勝つことが第一なので、そのためにプレーすることしか考えてないですけど……勝ちたいですね」(伊藤)
勝つための戦術面でも、彼に懸かる期待は大きい。
「前節・埼玉パナソニックワイルドナイツ戦はスクラムであまりプレッシャーを掛けられなかったのですが、今回は茂原(隆由)も帰ってきて、スクラムでプレッシャーを掛けたいですね。どこかで自分たちが上回るところがないと、なかなか戦いにくいのですが、今回はそこをやってくれると思います」(藤井監督)
伊藤自身にもスクラムの修正点について聞くと、次のように答えた。
「何個かありますけど、企業秘密で。でも、自信はあります」
雄弁ではないが、強固な意志と頑強な体で自分の役割を最大限全うする鉄人。左右両側から圧の掛かる3番(タイトヘッドプロップ)は本当にタフなポジションだが、彼の強さと頑丈さには周囲も全幅の信頼を寄せている。
地元開催の試合に懸ける熱い思いは、いつもと同様、プレーと背中で示してくれるはずだ。
(前島芳雄)