中国電力レッドレグリオンズ(D3)

ラグビーも仕事も100%
汗かき役が試合写真に写り込むワケ

「試合の写真を見返すと、だいたいあいつが写っているんですよ」。広報の中村興平さんがそう話しながら視線を向けるのは松田進太郎だ。

昨年4月に中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)に加入した23歳のフランカーは、豊富な運動量を武器にスタメンで出場を続けている。試合中のいろいろな写真に写っているのも、持ち前のハードワークでさまざまな局面に絡んでいる証だ。

そのプレースタイルのきっかけは、高校時代のフォワード転向だった。ラグビー強豪校の京都成章高校に入ったが、バックスとしては上から4番のDチームで控え止まり。限界を感じて高校1年生の夏にフォワードに転向。すると、すぐにBチームまで昇格したという。

「パスを出すより、体をガツガツ当てたりするほうが自分に合っているなと思って、そこから、ひたむきなプレースタイルになっていきました。逆に派手なプレーができないから、泥臭くしかできないんですよ」

そこからは文字通りの汗かき役となった。「僕は汗っかきなので、試合後はびしゃびしゃになる。大学時代には1試合で体重が3~4kg減るぐらいで、次の日はご飯を5合ぐらい食べていましたね(笑)」。

豊富な運動量があるとはいえ、当然ながらフィールドで疲労を感じることもある。それでも、「負けたくない」という素直な気持ちがいつも松田を突き動かす。

「勝ちたい気持ちが一番。自分が相手に追いつけなかったせいで負けたくはないから。あとで考えたときに後悔しないように、しっかりやり切ろうと思っています」

中国RR加入からもうすぐ1年。仕事とラグビーを両立するハードな日々だが、それも引退後のセカンドキャリアを見据えて自ら選んだ道だった。

「いまは定時まで仕事をしてから練習しているけど、ラグビーを辞めたあともずっと仕事は続いていく。それを考えたら、仕事をしながらラグビーをやったほうが絶対いい。辞めたあとに仕事ができなくて年下にいろいろ言われるのもイヤだし(笑)。両立はしんどいけど、いま、やっておかないといけないと思ったので」

松田にとってハードワークは生き様だ。「ラグビーも仕事も100%でやりたい」。今節のホストゲームでの九州電力キューデンヴォルテクス戦でも勝利のために汗を流す。

(湊昂大)

ボールを持って突進する中国電力レッドレグリオンズの松田進太郎選手


九州電力キューデンヴォルテクス(D3)

キャプテンとして“託せるうれしさ”
敗れても、自信が見える理由

前節、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪との首位攻防戦に敗れた九州電力キューデンヴォルテクス。約2カ月ぶりの敗戦を喫して臨む今節は、中国電力レッドレグリオンズとの“電力ダービー”。3月4日、Balcom BMW Rugby Stadiumでのビジターゲームだ。

5連勝と勢いに乗っていた中でひさびさに味わった敗戦。それでも、チームには“24時間ルール”というものがある。勝ったときの喜びも負けたときの悔しさも引きずるのは24時間だけ。それを越えたら問答無用で切り替える。高井迪郎キャプテンは「次にしっかり向かう。それはできている」と言い切った。

高井は今季開幕戦で負傷。以降、記録した5連勝のうち4連勝までをメンバー外で見届けてきた。「僕がいなくなって勝ち出したのでちょっとさみしいですけど(笑)」と前置きをしながら「(連勝は)僕が在籍してきた中でもなかなかなかったこと。自信が見えるチームになってきた」と成長を感じていた。キャプテンに就任した3年前は「思ったことは口にしてきたし、それが必要だと思っていました。でも、いまは言う必要がないなということがかなり増えました」と話す。他にも3人いるキャプテンの存在、そして、選手個々の成長は高井の背負うものを幾分か軽くしていた。

それでも、敗戦のあとの1週間はキャプテンとして考えることも多いようだ。「結果がついてこなかったところで今週、どう振る舞うかは気にしています。個人個人を見て、どうやってもう一度、前を向かせるか」。グラウンド内外で繊細なコミュニケーションを図っている。

今節はショートウィークの影響もあり、高井はメンバーから外れた。それでも、自信をもって「託せる」と試合に臨むメンバーへの信頼は揺らがない。しかし、自身も出場に飢えている。「休むという感覚はあまりない。むしろ、危機感のほうが強い。それだけ、各ポジションで激しい競争があるチームになっている」。キャプテンとして託せるうれしさ。選手として競争がある喜び。キャプテンの目に映るチームはたくましく、頼もしくなっていた。

(杉山文宣)

チームメイトと話す九州電力キューデンヴォルテクスの高井迪郎キャプテン(右から3人目)


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