東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)
「“サン”“ゴ”リアスの日」の注目は
高いレベルで激しく争う“2”と“16”
3月5日は「“サン”“ゴ”リアスの日」。
その3月5日に行われるNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1第10節。8連勝中の東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)は、10位・トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)を秩父宮ラグビー場に迎えてのホストゲームに臨む。
対トヨタVは現在12連勝中と相性はいいが、東京SGの田中澄憲監督は「トヨタVは爆発力のある危ないチーム。その爆発がどこで出てくるのかという怖さがある」と警戒は緩めない。前節、静岡ブルーレヴズとの試合もペナルティを多く取られ、こう着する時間もあっただけに、「次はスッキリ勝ちたい」と語る。
その前節も含め、現在2戦連続トライ中。ここまでチーム2位の6トライを積み重ねるのは「2番」フッカー、中村駿太だ。
今季リーグ戦全9試合に出場し、うち8試合は先発出場。スクラムでは最前列の中心に陣取って舵取り役となり、ラインアウトではボールを投げ入れるスローワーとして、セットピースになくてはならない存在。その重責を担いながらも、中村駿太は「すごく調子がいい。いい準備が結果につながっている」と自己分析する。
「自分の課題を明確にして練習に臨み、何ができてできなかったかをレビューして、またそれを次の練習でクリアにする。これを繰り返し、積み上げていくことで、いい準備ができている。それが試合のパフォーマンスにつながっていると思います」
そんな中村駿太のポジションであるフッカーに、あの男が帰ってきた。日本代表にも名を連ねるチームの共同キャプテン、堀越康介だ。第2節以降、負傷によりメンバー外が続いていた堀越が今節、「16番」でひさしぶりのメンバー入りを果たした。田中監督は、堀越の復帰でさらに競争が激しくなることを歓迎する。
「堀越の復帰による恩恵の一つは、トレーニングでのコンタクトレベルの強度が上がること。そして、フッカー陣が高いレベルで競争できる。(中村)駿太にも堀越にもプレッシャーが掛かります。これまで16番で控えメンバー入りしていた面々も、堀越がメンバーに入ることで悔しい思いをするはず。そこでまた競争が激しくなるといいですよね」
3月5日、サンゴリアスの日。3も5もいいけれど、2と16こそ注目かもしれない。
(オグマナオト)
トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスA)
「ラグビーの魅力をたくさんの人に知ってもらいたい」
姫野和樹が先輩・流大と招待企画を立案
個々の能力は高く、スタッツは悪くないのに勝利が遠い。そんなジレンマを抱えるトヨタヴェルブリッツの第10節は4試合ぶりのビジターゲーム。秩父宮ラグビー場で行われる3位・東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)戦に臨む。入替戦を避けるためにも、上位相手とはいえ負けたくない試合だ。注目選手には日本代表でも中心選手として活躍する姫野和樹を指名したい。
今季の姫野は第4節・埼玉パナソニックワイルドナイツ戦の前半に肉離れを発症し、戦列を離れた。その後、チームは苦しい戦いを強いられ、なかなか上昇気流に乗れない。姫野がようやく復帰できたのは前々節のNECグリーンロケッツ東葛戦。チームには力強さが戻り、苦しみながらも何とか勝利することができた。しかし、前節の横浜キヤノンイーグルス戦で今季初の連勝はできなかった。
今節、姫野には絶対に負けたくない相手がいる。帝京大学の先輩で、日本代表でも一緒にプレーする東京SGの流大だ。流との関係性を聞くと笑いながら姫野は次のように答えた。
「ユタカ(大)は、大先輩です」
大先輩と言いつつも名前で呼び捨て。その言葉を聞いただけで、とてつもなく良好な関係だと分かる。
「イメージ的にはお兄ちゃんですかね。『焼き肉に連れてって』と言ったら連れて行ってくれるし、代表とかでもだいたい一緒にいますよ」(姫野)
普段から連絡を取り合っているという二人。今回もSNSでこんなやり取りをした。
「昨季、ユタカが『うわぁぁぁ』って、めっちゃ叫びながらタックルしてきたので、『それだけはやめてほしい』って言ったら、『また叫びながらタックルするから』と、LINEが返ってきました。そんな叫びながらタックルする選手はいないんで面白過ぎるし、本当にやめてほしい(笑)」(姫野)
そんな二人は今節、ファン10組20名をスタジアムに招待する企画を立案。3,500件を超える応募があったという。
「ラグビーの魅力をもっとたくさんの人に知ってもらいたいというのが僕たちの願いで、なんか俺たちでやろうかと提案してくれたので、僕も賛同しました。そういったチケットからまた輪が広がっていけばいいですね」(姫野)
筆者も今季、ラグビーに魅了された一人。生で観ると、テレビとはまた違う迫力が感じられ、本当に魅力的で熱いスポーツだと感じる。そうしたライトなファンを楽しませ、輪を広げるためにも両チームの熱戦に期待したい。
最後に、姫野に今節の意気込みを聞いた。
「ユタカをやっつけます(笑)」
(斎藤孝一)