NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第3節(リーグ戦) カンファレンスB
2025年1月4日(土)14:30 味の素スタジアム (東京都)
東京サントリーサンゴリアス 30-30 トヨタヴェルブリッツ
次節こそは今季初勝利を。両10番が反省と手ごたえを胸にチームをけん引する
開幕3連敗を逃れたのか、今季初勝利を逃したのか……。開幕2連敗同士の一戦となったリーグワン第3節、味の素スタジアムで行われた東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)対トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)の一戦は、30対30でまさかの引き分け。それでも、両チームが得点を奪い合い、主導権が何度も移り変わる、ラグビーの魅力が詰まった一戦だったのは間違いない。
それだけに、あとは勝利という結果さえついてくれば……。「チームに勝利をもたらすのが10番の仕事」と常々語る両チームの10番にとっては、つかみかけた白星を逃した悔しさの募る試合となった。ともに、「自分が決めていれば……」という思いが強いからだ。
この試合で1トライを含む20得点を決め、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた東京SGの10番髙本幹也は、その得点シーンよりも「自分が(ペナルティゴールを)3本外してしまった。しっかり修正しなければ」と反省を口にする。
「(キックミスの要因は)プッシュし過ぎか、引っ掛け過ぎるか。今日はプッシュで左に外れてしまった。次はもう少し引っ掛ける意識をもって臨みたいです」
一方、トヨタVの10番、松田力也は「終盤に主導権を握っていたのは僕たちだっただけに、勝てるゲームを落としてしまった。僕のプレーにも原因があり、その責任は感じています」と語る。そのプレーとは、試合終了間際の後半38分、同点トライが決まった直後、距離15mほどのコンバージョンでまさかのミス。トヨタVのファンは勝利を確信していたはずで、スタジアムも一瞬どよめいたほどだ。
「実は、15mは一番イヤな距離。(試合終了間際で)疲労もある。それでも、ああいう場面で決めなければ。本当に学びしかないですね」
自分自身のプレーには反省しきりの二人も、チーム状態については上昇傾向にあると手ごたえをつかんだ様子を語る。
「この1週間はバックス陣でかなりのディスカッションを重ねてきました。まだまだ足りない部分もありますが、少しは良くなった実感があります」(髙本)
「今日は(途中出場の)インパクトプレーヤーも頑張っていたし、3戦目にしてチームとしての形は見えてきた。レベルアップしている手ごたえはあります」(松田)
次節こそ、渇望するシーズン初勝利へ。ファンが見たいのは、失敗に肩を落とすのではなく、胸を張ってチームを引っ張る司令塔の姿だ。
(オグマナオト)
東京サントリーサンゴリアス
東京サントリーサンゴリアス
小野晃征ヘッドコーチ
「まず、東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)とトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)のファンのみなさま、寒い中、応援ありがとうございました。本当にヴェルブリッツ、サンゴリアス側にモメンタムが行き来する80分間でした。一言でチームの雰囲気をまとめるなら、本当に悔しいです。これをしっかり来週に向けて、次戦でぶつけられるように頑張りたいと思います。ありがとうございました」
──今回は流大選手を先発に起用しました。どういう意図があっての起用でしたか?
「チームの中で福田健太選手、流選手と非常に高いレベルのスクラムハーフが二人いるので、これまでと違うゲームの選択として先発で流を使い、フィニッシャーとして福田を使いました。テンポのコントロールも非常に良かったし、最後、福田選手が出てもテンポは変わらなかったので、いいアタックができたかなと思います。同時に、30点取られているので取られ方も良くない。その部分も一つ改善しないといけないところだと思います」
──今日は流れが来そうなところでイエローカードを2枚受けました。開幕戦でもイエローカードが2枚出ています。どういうところに問題があると感じていますか?
「チームとしても規律というのはすごく大事にしている点なので、これは個人のスキルなのか、テクニック、コーチングの部分なのかはもう一度ビデオを見直したいです。イエローカードが出たらほかの14人に負担が掛かるので、そういうところはしっかり集中していかないといけません」
──今日はプレーヤー・オブ・ザ・マッチに髙本幹也選手が選ばれましたが、髙本選手のこの一年間の成長をヘッドコーチはどのように感じていますか?
「チームのフィロソフィーの部分でのアグレッシブ・アタッキング・ラグビーに加え、今日はキック、ランの場面でもチームを前に運べたと思います。これからまだまだ成長します。彼自身の性格的にもとてもハングリーで、今日の結果を本人も満足していないと思います。さらにレベルアップした髙本選手を来週また見られると思います」
東京サントリーサンゴリアス
堀越康介キャプテン
「お互い連敗していてうまくいかないチーム同士だったので、どちらが勝ちたい欲を出すかというところでゲームに挑み、本当にプライドの戦いになりました。勝ち切れた試合を勝ち切れなかった点はすごく反省するべき部分です。具体的にどこが反省点なのかはビデオを見ないと分からないですけど、次の試合に向けていい準備をしていかなければ、と思います」
──後半は確実に3点を取りにいった印象があるのですが、ゲームの前半・後半でどういうふうに組み立てを変えるのか、どういう条件で戦うのか、その狙いを教えてください。
「前半が終わった時点で6点差だったと思います。敵陣に入ってペナルティをもらったときはできるだけスコアボードでプレッシャーを掛ける意味でも、『ペナルティゴールを狙っていこう』という話をロッカーでしていました。それによってトヨタVさんがどんどんリスクを取って攻めてくるような状況を作りたい、というイメージでした。ただ、得点の取られ方という部分で、簡単なトライやファーストフェイズで攻略されて失点した場面もあったので、そこは改善しないと今後も変わっていけないと思います」
トヨタヴェルブリッツ
トヨタヴェルブリッツ
スティーブ・ハンセン ヘッドコーチ
「引き分けという結果は、自分たちが求めているものではありませんでした。とはいえ、選手たちは非常に勇気と冷静さをもって東京SGさんとファイトをしてくれました。両チームともにいいプレーがありました。また、月曜日から改善していきたいと考えています」
──今回はかなりペナルティが多くて苦しんだ印象です。なかなかペナルティが減らないことの要因はどこにあると思いますか?
「このゲームに関しては、タックルエリアでは一貫して(ノット)ロールアウェイの部分で笛を吹いている印象がありました。われわれとしてはそういったタックル地点から出ようと改善を試みている部分であり、今回の試合ではできた場面もあればできなかった場面もありました。先週よりは改善できていると考えています」
──連敗が止まった意識と勝ちを逃した意識、いまはどちらの気持ちが強いですか?
「私のヘッドコーチとしての仕事は選手を成長させることだと思っています。もちろん、結果というものは大事ではありますが、そこだけを見るということはしません。シーズン後半のプレーオフトーナメントという段階では結果も必要になってくるでしょうが、現段階では選手の実力を底上げして、チームとしての成功をつかむことが必要です。
開幕3節を終えて、まだわれわれが望んでいるところまでは到達していませんが、成長や改善は見られていると思います。マネジメントスタッフ、コーチ、選手、そういったメンバーの努力に疑いはありません。私自身、これまで成功を経験しているチーム、そうでないチームも経験していましたが、ハードワークというものは必ず報われると信じています。そして、これまでラグビーを観たことがない人にとって、今日の試合は非常に印象的なものだったと思います。両チームともにいいトライが取れ、ボールの動き、スキルの遂行力。お互いに勝利に向けて必死でした。ラグビーというスポーツに関しては、今日は成功だったと言えるのではないでしょうか」
トヨタヴェルブリッツ
姫野和樹キャプテン
「結果に関してはもちろんハッピーではありませんが、ゲームの内容を振り返ると自分たちが1週間準備してきたラグビーは随所に見られた部分もあったと思います。手ごたえを感じていますし、チームとしてすごくマッチングしてきているとも感じます。このままの調子で1週間、次の試合に準備をしていきたいです。下を向いている暇はないので、この1週間を大事にしていきたいと思います」
──自分たちのラグビーがうまくいっている感触はどのあたりに感じましたか?
「しっかり自分たち全員でスペースを見つけて判断して展開できたところが自分たちとしてはいい手ごたえだったと思います。本当に、勝ち切れなかったということだけが(足りませんでした)……」
──試合終盤、非常に長いペナルティゴール(約60m)を狙いました。あそこはどういう判断だったのでしょうか?
「もちろん、結果だけを見たら入りませんでしたが、自分たちにはティアーン・ファルコンというロングキッカーがいます。僕はコーナーへ蹴るべきなのかなと思いましたけど、彼が僕に『チャレンジさせてくれ』と言ってきたところを僕は評価をしました。そこには100%の信頼と、もちろん彼が努力しているのは見ていますし、それを100%信じてあげるのがキャプテンとしての務めだと思います」