三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1カンファレンスA)

原動力は日本への思い。リーグワン初挑戦の豪代表が、神奈川の覇権を緑にもたらす

神奈川県をホストエリアとする三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)と横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)のNTTジャパンラグビー リーグワン初対戦となる“神奈川ダービー”が相模原ギオンスタジアムで行われる。

相模原市を拠点に50年以上活動する相模原DBに対して、横浜Eはリーグワン発足時に横浜市をホストエリアに定めた。2021年のプレシーズンマッチ後、ゲームキャプテンを務めた安江祥光が「われわれが県代表という気持ち」と語ったように、ダイナメイト(相模原DBファンの愛称)にとっても、勝利で“地元の先輩風”を吹かせたいところだろう。

相模原DBは前節、6試合ぶりの白星。その試合で逆転の公式戦初トライを挙げたのがカーティス・ロナ。「(今季8試合目の出場で)そろそろトライを決めなければと思っていた。チームも勢いに乗れた」と笑顔で振り返る。

オーストラリア代表3キャップ、ワラターズ(スーパーラグビー)やロンドン・アイリッシュ(イングランド)などを経て今季加入した30歳。過去、試合で来日した際に「(日本は)人が優しくて文化も素晴らしく美しい国」という印象を持ったことや、プレーに加えて選手育成面でのグレン・ディレーニー ヘッドコーチの期待に応じるため、加入オファーを二つ返事で引き受けた。

相模原DBからラグビーワールドカップに出場する次世代を導くことに大きなやりがいを感じると話すカーティス・ロナ。家族とともに来日し、普通学校に通う子どもたちと日本での生活を楽しんでいる。「来季は未定だが、もっと長く日本に滞在したい」という希望も、活躍の原動力になっていそうだ。

今節はオーストラリア代表以来のチームメイトとなるマット・トゥームアが3試合ぶりにスタンドオフで先発。カーティス・ロナは「知っている顔がチームにいて心強い。前節はマット・トゥームアとのコンビネーションプレーを少し見せることができた。次はもっと見せたい」と意気込む。

カーティス・ロナと南アフリカ代表センターのジェシー・クリエルとのマッチアップを含めて、外国籍選手同士のバトルにも注目したい。

スタジアムを染めるのは“緑”か“赤”か。神奈川の覇権を懸けた戦いは間もなく幕を開ける。

(宮本隆介)

三菱重工相模原ダイナボアーズのカーティス・ロナ選手。家族とともに来日し、普通学校に通う子どもたちと日本での生活を楽しんでいる


横浜キヤノンイーグルス(D1カンファレンスB)

必勝期す神奈川ダービーを前にムードは最高潮。“ライザーズ”の熱き思いが、奮い立たせる

前節、静岡ブルーレヴズとの激闘を22-22のドローで終えた横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)は、連勝が3でストップした。今節、リスタートを図る一戦は、同じ神奈川県内にホストエリアを置く三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)とのビジターゲーム。3月12日(日)14:30キックオフ。“神奈川ダービーの”会場は相模原ギオンスタジアムだ。

試合2日前のキヤノンスポーツパーク。横浜Eのトレーニング場には、いつもとは違う光景が広がっていた。ピッチ上には赤のウェアを着用した選手もいれば、黒のウェアを着た選手もいる。前者が相模原DB戦に臨むメンバーで、後者が横浜Eでは“ライザーズ”と呼ばれる試合外メンバーの選手たちだ。

相模原DB戦に向けたチーム内のテーマ設定は“イーグルスのために”。トレーニングウェアを色分けすることで試合メンバーと“ライザーズ”の線引きを明確にし、試合に臨むメンバーはより責任感を、“ライザーズ”は試合メンバーに緊張感を与える環境を整えた。こうしたチームの総合力を高めるためのアプローチは、選手主導で実行されたという。相模原DB戦でメンバー入りを果たした小倉順平は、“ライザーズ”の思いをこう汲み取った。

「所属選手全員が常にチームにコミットしていますし、どうやったら試合メンバーの選手たちが良い状態で臨めるかを常に追求しています。いろいろと思いを抱えているとは思いますが、横浜Eはとても良いチームです。“ライザーズ”の思いも背負い、メンバーの一人として、責任あるプレーをしていきたいと思います」

試合2日前のトレーニングは、いつも以上に活気に満ちていた。ワンプレーごとにチームを鼓舞する声が飛び交い、ビッグプレーには「●●、エグいな!」と称賛の声があふれた。全体練習が終わったあとのハドル。沢木敬介監督はこう話した。

「今日のトレーニングは“ライザーズ”が良いチャレンジをしてくれて感謝している。相手どうこうではなく、日曜日は自信をもって、自分たちの力を出し切ろう」

敵地へと乗り込むチームのムードは最高潮。スタンドオフやフルバックでマルチに活躍する小倉は「目の前の試合に勝つ。それ以上でもそれ以下でもない」と話し、“神奈川ダービー”での必勝を誓った。

(郡司聡)

横浜キヤノンイーグルスの綿々。先頭に梶村祐介キャプテン、小倉順平選手は左から2人目


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