2024.01.08NTTリーグワン2023-24 D1 第4節レポート(相模原DB 35-40 横浜E)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第4節 カンファレンスB
2024年1月7日(日)14:10 秩父宮ラグビー場 (東京都)
三菱重工相模原ダイナボアーズ 35-40 横浜キヤノンイーグルス

敗れた中にも光明あり。新鋭のプレーを筆頭に確かな成長を示した相模原DB

2年目のスクラムハーフ、三菱重工相模原ダイナボアーズの中森隆太選手。今後のゲームコントロールに期待

“神奈川ダービー”今季第1戦は、横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)が三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)に5点差で勝利した。

相模原DBは出足鋭く前半20分の時点で19点をリードしたが、後半、イエローカードで一人少なくなったところを突かれて横浜Eに連続トライを与えてしまう。それでも終盤に追い上げを見せて7点差以内の敗戦の場合に得られる勝ち点1を獲得した。

試合を終えた選手たちがピッチをあとにする中、相模原DBの中森隆太はチームメートのジャック・ストラトンと身振りを交えて話し込んでいた。その場面について中森はこう明かす。

「後半30分あたりで相手からのプレッシャーもあり、ハーフ団でコントロールできない状況になりました。フォワードをどのように動かしたら良かったのか、試合のスコアと時間を見て、もう一度自分たちのシェイプに戻る方法について、ジャック・ストラトンと『こうした方が良かったね』という話をしました。(岩村)昂太さんも『ジャック・ストラトンは“ラグビーIQ”がすごく高い』と言っています。自分に足りないものを持っているのでいい刺激になります」

東福岡高校から立正大学に進み、昨季はアーリーエントリーで加入して2試合に出場した中森。高校の先輩でもある岩村昂太をはじめ、ジャック・ストラトンら経験豊富な選手から多くを学ぼうとするどん欲さと、物怖じせずに自分の色を出そうとする芯の強さも感じさせる。

中森は後半5分から出場。負傷交代によるポジションチェンジで、スクラムハーフをジャック・ストラトンから引き継いだ。今季出場した2試合よりも早いタイミングでの出場にも、「アーリーエントリーで出た課題に対し、夏にしっかりと鍛えてきました。突然の出場でしたが、やることは明確でした」と振り返る。

「ゲームコントロールは日ごろから常にイメージしていますが、今日は40点くらいでした。自分の色は出せたと思いますが、全体をまとめられたかと問われたら、自分の中ではまだまだです。原因を突き詰めて改善したいと思います」

満足することなく、中森は次を見据えた。

成長著しい相模原DB。敗れはしたものの、トップ4の一角に食い込む横浜Eに対して、「昨季とかなり違うプレースタイル」(グレン・ディレーニー ヘッドコーチ)で挑んだ選手たちの健闘が光るゲームだった。

(宮本隆介)

三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(右)、ジャクソン・ヘモポ ゲームキャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「まずはありがとうございます。私たちのチームとしてはとても残念な、もったいない試合だったと思います。自分たちがコントロールできていたところは多かったと思いますが、特に後半、個人的なミスがありました。横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)はそのチャンスを取り切れるチームです。前半は私たちが良く、後半は横浜Eが良かったです。ラグビーファンからしたら、すごくいい試合だったかもしれないですが、私たちとしてはすごく残念な試合でした」

──前半は、すごく良い形で試合を進めていたと思うのですが、どういったプランで今日のゲームに入りましたか?

「ダイレクトにフィジカルで前に出て、そこでスペースを作って攻めることが最初はできていましたが、継続することができませんでした。ディフェンスでも接点で負けていたところで相手が勢いに乗りました。いいアタックを持っている相手をディフェンスで止めることができませんでした。自分たちのゲームプランとしては、序盤のプレーを80分間継続するつもりでした」

──ジャック・ストラトン、マット・トゥーモアのハーフ団はかなり機能していたように見えましたが、どんな評価ですか?

「二人ともとてもいい選手で、いいプレーができていたと思います。外国人選手をどのポジションで使うのかは毎試合考えなければいけないところです。今日の試合では8番、9番、10番のセンターで外国人を使うのが一番チームにとっていいと思いました。ゲームキャプテンのジャクソン・ヘモポがフォワードをリードして、そこから9番、10番、センターのカーティス・ロナを含めて3人の外国人バックスがすごくいいコントロールをしていたと思います」

──今日は神奈川ダービーということで、昨季敗れた横浜Eへのリベンジという側面があったと思うのですが、今回の試合にあたって意地のようなものはありましたか?

「リベンジというところでは、僕たちのチームとしてモチベーションではなかったです。もちろん、どの試合でも勝ちたいし、神奈川ダービーというのはチームにとって、会社にとって、とても大事な試合なので、そこで勝ちたいという気持ちはありました。ただ、昨季の試合はあまりフォーカスしていません。なぜなら、今季はアタックもかなり変わりましたし、新しいアイデアを持っているコーチも入っています。昨季とかなり違うプレーの仕方をしていたと思うので、そちらに集中して、過去には集中していなかったので、リベンジというところはそんなにチームの中では出てこなかったと思います」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
ジャクソン・ヘモポ ゲームキャプテン

「(グレン・ディレーニー)ヘッドコーチと似たような意見ですが、自分たちが勢いを作ったときに、どうやってそれを続けるのか、継続させるのかがキーになってくると思います。小さいミスがあったときに、そこで勢いを失うのではなく、どうやってまた勢いを取り戻せるかというところがチームの学びだと思います」

横浜キヤノンイーグルス

横浜キヤノンイーグルスの沢木敬介監督(左)、梶村祐介キャプテン

横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督

「フラストレーションのたまるような試合でした。もちろん、三菱重工相模原ダイナボアーズさんは力のあるチームでリスペクトしています。ただ、自分たちに目を向ければ、こういう内容でプレーしていたら恥ずかしくて、チャンピオンになろうなんて言えない試合内容でした。自分たちがどうやって成長のスピードを早めていくかをもう1回考えなければいけません。今日の収穫は勝ったということだけなので。レベルは低いし、自分たちの力を何%出せたか分からないですけど、これでは『本当に優勝できるぞ』なんて恥ずかしくて言えないぐらいのレベルだったと思います。来週はショートウィークですけれど、しっかりと自分たちのこだわったスタイルでプレーできるように1週間準備したいと思います」

──年末年始の期間、この試合に対して満足できる準備はできたのでしょうか?

「準備でいうと、しっかり準備してきたつもりですけれど、それがまだ足りなかったというか、ベストな方法があったと思います。そこはわれわれの仕事なので、しっかりいい準備ができるようにやっていきます」

横浜キヤノンイーグルス
梶村祐介キャプテン

「今日良かったのは勝ったことだけで、試合は最悪のスタートを切りました。ただ、そこからしっかり立て直しましたけれど、トータルで見たときに自分たちのスタンダードではなかったです。準備してきたことをほとんどできなかったですし、それはもちろんプレッシャーがあったからということもありますけれど、自分たちのスタンダードの低さというのが今日の試合で出てしまいました。こういう内容だと今後、どこに勝つのも簡単ではないので、もう一度ベクトルを自分たちに向けて、しっかりいい準備をしていきたいと思います」

──最大で19点差になったとき、チームの中でどういうことが起きていて、どういうふうにチームの中で話をして修正しましたか?

「原因は自分たちの個人個人のタックルの質の低さだったので、そこをもう一度徹底してやろうということでした。点数は離れていましたけれど、もう一度シンプルに立ち返ろうと話をして、チームに発破を掛けました。あそこから立て直せたのですけれど、今後、強い相手と試合をする中で、最初からああいう展開にしてしまうと、勝てるゲームも勝てなくなるので、もう一度しっかりと準備したいと思います」


ニュースの一覧へ