2023.03.25第10節 浦安DR vs 三重H-見どころ

浦安D-Rocks(D2)

チームの兄貴分的存在。グレイグ・レイドローは結果と経験を残す

元スコットランド代表、グレイグ・レイドロー選手。今シーズンは指導的役割を担いながらプレーしている。チームがどれだけ成長したのか結果とともに内容が問われる一戦に臨む

ここまで全勝を貫いている浦安D-Rocks(以下、浦安DR)。そんなチームを、俯瞰して見てきた選手がいる。紛うことなきラグビー界のレジェンド、グレイグ・レイドローは、今季ここまで5試合の出場。スタートメンバーが2試合に控えが3試合と、それほど多く試合に絡んでいるわけではない。しかしながら、チームの快進撃を支える大きな柱となっている。

「今シーズンはそういった役割(指導者的役割)も担いながらプレーしています。コーチングも楽しんでしますし、同じポジションに限らず、自分の経験をバックスの若い選手に提供したいと思っています」

浦安DRのトレーニングを見ていると、グレイグ・レイドローは周囲に指示を出すだけでなく、ときには練習メニューを主導している。その様子は、ときに厳格さもあり、ときに親しみも感じられるものだ。プレーイングコーチというだけでなく、チームの父親や兄のように見えることもある。

「経験上、素晴らしいコーチはときにはそうした役割を担います。一番大事なのは選手に自信を持たせることです。自分もそうやって自信を持たせてもらってきたので、若い選手に同じことをしたいと思っています」

キャプテンの飯沼蓮をはじめとして、皆が尊敬を口にする大ベテラン。キャリアは少しずつゴールに向かっているが、それはすぐ先のことではない。目の前の大きな仕事に集中している。

「ラグビーは自分にとって、とても大切なものです。自分に関わってくれた人々も含めて、とても価値のあるものです。年齢的に、日本がキャリアの最後になるでしょう。ただ、いまはディビジョン2を勝ち抜いて、確かな結果を残したいと思っています」

無敗を懸けた、総当たりリーグ戦の最後の第10節は、最も苦しめられた三重ホンダヒートとの再戦。開幕節の接戦から、チームはどれだけ成長できたのか。今後の順位決定戦、その先の入替戦に臨むにあたって、結果とともに内容が問われる一戦になる。

(沖永雄一郎)

三重ホンダヒート(D2)

5年ぶりの“里帰り”。フレイザー・クワークが新潟凱旋

新潟県の開志国際高等学校卒業から5年ぶりの”里帰り”となるフレイザー・クワーク選手。お世話になった方々の前で「すごいプレーを見せたい」と首位奪還に向けて強い思いで戦う

NTTジャパンラグビー リーグワン 2022-23 ディビジョン2はいよいよ最終節。8勝1敗で2位につける三重ホンダヒート(以下、三重H)は、全勝で首位を走る浦安D-Rocks(以下、浦安DR)との首位攻防戦に挑む。決戦の舞台は新潟市陸上競技場だ。

両者の対戦は12月の開幕戦以来。前回は27対35で惜敗した。試合後の会見で、上田泰平ヘッドコーチは「こういった接戦の試合、強度が高い試合をすることで、僕たちが目指している入替戦での強度に対して、チームがどれだけ足りないのかということが分かりました。また、このような強度の高い試合をすることで、ディビジョン2全体がレベルアップしていければいいなと思いました」と語っていた。

今節の結果次第で、三重Hは首位に立つ可能性もある。しかしそれだけではなく、上田ヘッドコーチはその先も見据えて戦うと述べる。

「今シーズンの最終的なゴールはディビジョン1に昇格すること。そこにピークを持っていかないといけません。もちろん(今節の試合に)勝つことを優先的に考えてやりますが、昇格に必要な経験値を得るためにとても重要な試合になると考えています。特にコンタクト、コリジョンと言われている部分について、シーズンのスタートからどれだけ上がったかを見るための良いバロメーターになります。お互いに成長できるような試合にしたい」

取材日は気温が23度まで上昇し、クラブハウス前の桜は3割ほどが咲き始めた。グラウンドでは、それ以上の熱気でハードな練習が行われていた。その中でも、人一倍気合が入っていたのがセンターのフレイザー・クワークだ。

オーストラリア出身のフレイザー・クワークは、高校のときに来日。新潟県の開志国際高等学校でプレーした。

「高校の寺尾(政宏)監督(当時)は日本のお父さんみたいな存在。仲のいい友達も来てくれるので、楽しみです。すごいプレーを見せたい」と力を込める。

福岡県出身で、現役時代は「福岡での試合はいつも活躍していた」という上田ヘッドコーチも、「気持ちが高まる部分があると思うので、いいパフォーマンスを出して、日本でお世話になった方に自分のプレーを届けてくれたら」と期待する。

フレイザー・クワークにとって、前回の浦安DR 戦は、リーグワンデビュー戦であり、初トライを決めた印象深い試合でもある。「デビュー戦だったのでとても緊張していた。トライを取って気持ちが落ち着いて、そのあとは自分のプレーができました。今年はとにかく試合にたくさん出て、2、3年目でレギュラーになりたいという目標を立てていた。デビュー戦でトライを決められたことで波に乗れ、目標を達成できた」と振り返る。

「チームは12月から毎週毎週、ディフェンスもアタックも成長しています。もちろん相手も成長しているので、どちらのほうが成長しているか。すごくいい試合になると思います」(フレイザー・クワーク)

5年ぶりの“里帰り”で成長した姿を披露し、新潟の観客を大いに沸かせてくれることだろう。

(山田智子)

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