2023.04.21D2 1位~3位順位決定戦 第3節 浦安DR vs 三重H-見どころ

浦安D-Rocks(D2)

「バックスにディフェンスさせない」。若きフォワードの固い決意

シーズン終盤になってプロップとしてチームに貢献。浦安D-Rocksのルーキー鍋島秀源選手

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2総当たりのリーグ戦を10戦全勝。さらにディビジョン2 1~3位 順位決定戦第1節も豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)に勝利。浦安D-Rocks(以下、浦安DR)がいよいよ、今季のディビジョン2優勝に王手を掛けている。

しかし、決して盤石ではない。勝ち続けるがゆえに相手の対策も進み、浦安DRの強度に慣れてきている。過去2戦では大勝していたS愛知相手にも、前節は31対12と差を縮められた。そして、最後の相手となるのが、ディビジョン2でもっとも接戦を演じてきた三重ホンダヒート(以下、三重H)だ。

仮にここで敗れて首位を明け渡したとしても、入替戦に臨む準備に変わりはない。ただ、そうした考えではディビジョン1のチームの強度に対抗し得ないだろうし、チームもそのつもりはないだろう。ここまで積み上げてきたものをもう一度出し尽くし、さらに課題を克服して前に進む必要がある。

そんな浦安DRにおいて、シーズン終盤にきていい影響を与えているのがルーキーの鍋島秀源だ。4月9日開催のS愛知戦では後半から出場し「自分の強みはスクラムなので、スクラムでかまそうと。それだけを考えていました」と奮闘。鍋島、藤村琉士、西川和眞という若いフロントローがスクラムを修正し、終盤にはペナルティも獲得。チームに勢いをもたらした。

同期の小西泰聖に遅れたデビューとはなったが、この重要な時期に戦力として台頭した鍋島。浦安DRに加入してからは、よりスクラムへのこだわりを強めている。

「学生のころはとにかく力で押そうと、一人の力で押すんだと考えていたんですけど、浦安DRに入って8人のまとまりで押すことを学びました。自分だけが行き過ぎるのではなく、周りも全部生かして押すことをいまはやっています」

三重H戦を目前に控えた20日も、全体練習後に3人組でスクラムを練習。「選手が入れ替わっても対応できるように」と、細部を入念に確認していた。そんな鍋島には、フォワードならではのこだわりがある。

「個人的には、バックスにディフェンスをさせないことを考えています。スクラムでペナルティを取ればマイボールになりますし、マイボールを継続できればウチには“えぐいメンツ”がいるので、トライを取ってくれます」

また前半に苦戦するようなことがあっても、若いフロントローが必ずや流れを変えてくれるだろう。

(沖永雄一郎)


三重ホンダヒート(D2)

待つこと1年。ついに呼ばれた自分の名前。次は先輩の記念試合でデビューを

前節で初のメンバー入りを果たしたルーキーの平野叶翔選手。今回もリザーブから初出場をうかがう

15日に行われたNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2 の1~3位順位決定戦第2節。三重ホンダヒート(以下、三重H)は悪天候の中で我慢強くプレーを続け、豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)に14対13で勝ち切った。今節は総当たりのリーグ戦で2敗を喫している浦安D-Rocks(以下、浦安DR)と対戦する。

「2回とも負けているので、みんなが勝つ気でいますし、そこでしっかり勝てば、入替戦をいい状態で迎えられると思う」と話すのは、前節で初のメンバー入りを果たしたルーキーの平野叶翔。

「フィジカルバトルが強み」(上田泰平ヘッドコーチ)の平野は、地元・三重県桑名市出身。京都産業大学ではキャプテンとして、23年ぶりの関西大学Aリーグ優勝に貢献した。昨春三重Hに入団し、1年かけてようやくリーグワンデビューのチャンスをつかんだ。

「自分ではもう少し早く出られるかなと思っていたので、1年は長かったですけど、自分なりに試行錯誤して、苦労しながらやっとメンバー入りというところまできたので、いい時間だったなと思います」

京都産業大学は「フィジカルでどんどん突っ込む、パワー系のチームだった」ため、入団当初は「スピード感」にレベルの差を感じたという。その中で平野は、「プロップのわりには走れる」自分の強みを残しながら、課題のセットピースを強化するため、バランスを考えながらフィジカルの強化に取り組んできた。

手ごたえを感じたのは、順位決定戦の前に行われた4月7日のトヨタヴェルブリッツとの練習試合。「フィールドでどれだけ動くか、ボールを取ってくるか。ブレイクダウンワークのところで、僕自身も納得できるいいパフォーマンスができた。これで(メンバーに)入らなかったらしょうがないと思っていた」と振り返る。

「鶴さん(鶴川達彦)のけがもあって、いろいろなタイミングが重なったんですけど、そこでしっかりと選んでもらえたことで、これまでやってきたことは間違っていなかったと確信できました」

三重Hは、チームミーティングの最後に映像でメンバー発表が行われる。1番2番3番、4番5番、6番7番8番…。モニターに映し出される映像に合わせて、前田芳人ゼネラルマネージャーが選手の名前をコールしていく。

「順番に発表されるので、結構ドキドキするんですよ」

先発の15名が発表され、続いて控え。そこに、初めて自分の名前があった。

「めっちゃうれしかったですね。でも『よっしゃー』とかそういう感じではなくて、(メンバーに)入れたらまた次のステップ。一貫性をもってプレーできるように1週間整理をしながら冷静に頑張ってこうという感じでした」

S愛知戦での初キャップ獲得はならなかったが、「いつ出てもいいように、準備だけはしっかりして挑もうと思います」と気持ちはすでに次に向かっている。

「浦安DR戦はブレイクダウンバトルのクオリティーがポイントになると思います。そこで勝てないと試合にも勝てない。メンバーに選ばれる、選ばれないに関係なく、チームに貢献していきたいです。チームの勝利が最優先ですけど、山路(健太)さんと(金井)健雄さんが100キャップ(※山路選手はクラブ公式戦通算。金井選手はトップリーグ・リーグワン通算)まであと1試合で。二人の記念試合でデビューできたら僕の記念としても残るなと期待しています」

(山田智子)

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