2023.03.27NTTリーグワン2022-23 D2 第10節レポート(浦安DR 20-10 三重H)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2(リーグ戦) 第10節
2023年3月26日(日)12:00 新潟市陸上競技場 (新潟県)
浦安D-Rocks 20-10 三重ホンダヒート

総当たりのリーグ戦は全勝フィニッシュ。浦安DRがこだわり続けたのは「当たり前のこと」

総当たりのリーグ戦を全勝で終え、新潟の観客に挨拶する浦安D-Rocksの選手たち

NTTリーグワン2022-23 ディビジョン2総当たりのリーグ戦最終節は、浦安D-Rocks(以下、浦安DR)と三重ホンダヒート(以下、三重H)のカード。開幕節で浦安DRに連勝街道の入口を作ってしまった格好の三重Hが、その快進撃を止められるのか。その先に待つ順位決定戦、ディビジョン1との入替戦も視野に入れた両チームの、シーズンを通じたチーム力向上の成果を示す最高の舞台が整った。

会場となった新潟市立陸上競技場には、今季のリーグワン全試合の中で唯一の新潟県での開催試合ということもあり、トップレベルの試合を見る貴重な機会を逃すまいとする県内のラグビーファンに加えて、浦安からも「D-Rockers」と呼ばれる熱心なファンが駆けつけ、スタンドから声援を送った。

この試合の勝敗を分けたポイントについて、浦安DRの飯沼蓮キャプテンは「当たり前のところにこだわった結果」と語った。その言葉の裏には、ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチが、「ディビジョン1でも優勝できるくらい」と表現するほど強度の高いトレーニングを重ねてきたという自負がある。試合前に飯沼は、「ルーズボールへの寄せやリアクションスピードで差をつけよう」とチームに話していたという。さらに、そうしたプレーは選手の才能や実績とは関係なく、「当たり前にやるべきこと」だとも。

飯沼は言う。「相手がそれをできなくなるようなときにでも、自分たちは当たり前のことを当たり前にやり切る。その積み重ねで勝利に近づく。これから先も、その本質的な部分を突き詰めてやっていきたい」。

竹内柊平も、「相手が(地面に)手をついている場面でも自分たちはコネクションして、話し合った。それを80分続けたことが勝敗を分けた」と話す。飯沼も竹内も、表現に違いはあるものの、一番キツくて苦しい局面でもチーム全員がプレーに集中すること。それこそが勝利の条件だという共通理解の深さを示していた。

チームが一枚岩となって、「当たり前のことを当たり前に」プレーし続けた結果が総当たりのリーグ戦全勝。それはヨハン・アッカーマン ヘッドコーチの下で、高い目標を掲げてハードワークを続けてきたことの一つの成果だ。そして、その真価は順位決定戦、そのあとに続く入替戦の舞台で再び試されることになる。

(尾田健太郎/Rugby Cafe)

浦安D-Rocks

浦安D-Rocksのヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ(左)と飯沼蓮 キャプテン

浦安D-Rocks
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ

「チームとして、自分たちのパフォーマンスを出せたことを誇りに思います。今シーズンをとおして、スタッフ、選手、ここでプレーしていない選手たちも含めての努力があったからこその成果だととらえています。今日、お越しいただいたファンの皆さま、雨で足元の悪い中、応援に駆け付けていただいて感謝しています」

──今日の勝利のポイントは?

「前半はエリアをうまく取って、得点を重ね、プレッシャーを掛けることができたと思います。後半に関しては、チャンスは限られたものでしたが、少ないチャンスをモノにしてうまく試合を運べたと思います。この試合を一言で言うと、きれいには勝てない、泥臭い試合になった。天候の関係もあってその中で選手全員がハードワークしたからこその結果だと思います」

──総当たりのリーグ戦で全勝という結果について、その評価を教えてください。

「これまで勝利を重ねてきたことについて選手を誇りに思っていますし、そのために努力してきた選手を誇りに思います。全勝はファーストステップ。一番重要なのはこれから数週間先に待ち構えている試練になってくると思うので、チームとしての本当の団結、チームの文化、お互いのために戦える気持ちが試されます」

──試練に打ち克つために必要なことは何でしょうか?

「一番重要なのは、コントロールできる部分だけをコントロールすること。それはメンタル、フィジカルの準備。それがあれば自然と選手たちの力を表現できると思います」

浦安D-Rocks
飯沼蓮 キャプテン

「天候が悪い中での試合だったので、試合前に、きれいなプレーじゃなくて、ミスが多くなると予想されました。『ルーズボールや、リアクションスピードで差をつけよう』、と話をしていました。本当にゲーム中は難しかったのですが、その当たり前のところにこだわった結果が出たのではないかと思います」

──総当たりのリーグ戦は全勝となりました。飯沼選手は負けて成長するという経験もしていると思いますが、負けていないことでその成長の機会を失っているという不安はないのでしょうか?

「自分の経験からも、負けて自分たちを見つめ直して強くなったことはあります。でも、ヨハン(・アッカーマン ヘッドコーチ)は『勝って反省しよう』、と。以前の会見でも話をしましたが、練習でもディビジョン1で優勝できるレベルのスタンダードを求めて練習しているので、満足する練習、試合はありません。日々成長するように、全員がそのレベルのスタンダードを追求しているので、負けていないことに対する不安はありません」

──これからの試合に向けて。

「やっぱり、どれだけ当たり前のことを当たり前に、ほかのチームがそれをできなくなるようなときにでも自分たちはやり切るかが大事。その積み重ねで勝利に近づくと思います。これから先もタフなゲームが続きますが、才能ある選手がいても、その本質的な部分を突き詰めてやっていきたいです」

三重ホンダヒート

三重ホンダヒートの上田泰平 ヘッドコーチ(右)と古田凌 キャプテン

三重ホンダヒート
上田泰平 ヘッドコーチ

「お互い、雨という天候の中で、三重ホンダヒートとしてはフィジカルの部分での細かいスキルが足りなかったのかなと。浦安D-Rocksさんのほうが雨の中でもブレイクダウン周辺のコミュニケーションがうまく取れていて、そこで優位に立って試合をされていたというのが感想です。ただ、最後の10分は、次へ向けて良いスタートが切れる終わり方をしたのではないかと客観的に思います」

──試合のターニングポイントはどこにあったと思いますか?

「一人ひとりのブレイクダウン、キャリーはすごく効果的にできてはいましたが、そのあとのテンポが遅らされてしまった。一人ひとりがもう少しハードワークできていれば、流れが来ていたのかなと思っています」

──順位決定戦へ向けて。 

「本当は1位になりたかったのですが、逆にスケジュール的に見ると、(次の試合まで3週間空くので)2位のほうが組みやすかった。このラスト2試合の課題と、時間もあるのでストラテジー(戦略)グループと話しながら、どこがコアな部分で通用して、どの部分をクリアに仕上げるかを話すなど、もらった時間をうまく使いたい」

三重ホンダヒート
古田凌 キャプテン

「前半から僕たちは容赦なく、しっかりフィジカルバトルにこだわって圧倒しようということを主にやりました。できていた部分はありましたが、こういう試合というのは一つひとつのプレーがすごく大事なので。順位決定戦でもう1回試合をできるチャンスがあるので、しっかりこの日の学びを持ち帰って練習して、強くなって成長して、次は勝ちたいと思います」

──前半、数的優位の時間帯もあったが、そこで取り切れなかった理由は何でしょうか?

「ゴールかモールかで迷ったのと、相手陣へ入ったときにラインアウトでのミスなど、小さなミスでトライまで取り切れなかった。そのあたりの精度を高めることができていればトライまで行けたのではないかと感じています」

──順位決定戦へ向けて。

「今日はいい学びのある試合になったと思うので、負けたから終わり、ではなく、次に生かせるように。まずはリーダー陣がまとまって次のアクションを練った上で、チームがバラバラにならずにしっかり同じ方向を向いて、少しでも練習の中でチャレンジして成長し続けたいです」

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