NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン3(リーグ戦) 第12節
2023年4月1日(土)12:00 ヤンマースタジアム長居 (大阪府)
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 32-20 クリタウォーターガッシュ昭島
シーズン前に誓った『Kizuna』は固い結束へ。全員で積み重ね、いよいよ優勝と昇格へ王手
4月1日(土)に行われたNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン3の第12節、リーグ首位に立つNTTドコモレッドハリケーンズ大阪(以下、RH大阪)は、クリタウォーターガッシュ昭島に32対20で勝利した。
後半には一時、スコアがわずか2点差になる時間帯もあったが、ボーク コリン雷神の2トライで最終的に12点の差をつけ、勝利している。
ボークはこの苦しい時間帯での2トライと前半の1トライを合わせ、この日はハットトリック。プレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞した。
出身国のニュージーランドでの経験や7人制代表の経験は言わずもがな。2012年にリコーブラックラムズ(現・リコーブラックラムズ東京)に加入して以降、トップリーグとリーグワンで現在82キャップを刻み、年齢もチーム最年長の38歳。豊富な経験を持つベテラン選手である自分の立場を「“お父さん”みたいな」ものだと認識しており、「長年プレーしてきた経験は、可能な限りチームのための助けにしていきたい」と考えている。実際に、キャプテンの杉下暢は、プレシーズンの段階から今季加入したばかりのボークについて「ゲーム中も的確なアドバイスを与えてくれ、チームを支えてくれている」と話していた。
この第12節では、RH大阪に2度イエローカードが提示されていた。試合後、ボークは「合計20分間を14人で戦っている。一人ひとりがより一層頑張る必要があり、さらに、その一人ひとりの力を集結させなければいけなかった。勝ち切れたのは、チームのつながりがあったからこそ」と振り返っている。
今季のRH大阪は、チーム再編に伴い、新しいチームとしてディビジョン3で再スタートを切った。ボークの話す「つながり」は、新チームとしてシーズン前から積み重ねてきたもの。そして、それは試合に出場している選手だけのものではない。「メンバー外の選手たちが、試合に向けて良い準備をさせてくれている。練習は、実際の試合より強度が高いこともある。試合に出ている自分たちが成功を収めることができているのは、彼らがいるから」。
新チームとして始動する際、みんなで話し合い、定めたキーワード3つのうちの一つが『Kizuna』だった。積み重ねてきたつながりは、確かな信頼の下、強い絆となってグラウンドに現れている。
リーグ戦2試合を残し、現在リーグ2位の九州電力キューデンヴォルテクスとは勝ち点6差。次節、中国電力レッドレグリオンズとのビジターゲームで勝利すれば、RH大阪のD3優勝とD2昇格が確定する。
(前田カオリ)
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
マット・コベイン ヘッドコーチ
「勝利できたことをうれしく思います。クリタウォーターガッシュ昭島さんのプレーは良く、本当に難しい時間帯も多い試合でした。特にチームとして良かったのはディフェンスのところで、タフな時間帯を耐え抜けたことでした。試合前から予想できていた展開だったので、チームとして『良いディフェンスをしよう』、と話をしていて、それを遂行できたので、良い方向に進めることができました」
──シーズンも終盤。今後、残りの試合をどのような試合にしたいと考えていますか?
「残りの試合でも、これまで継続してきたことを続けていきたいと考えています。継続していく中で気をつけなければいけないと感じているのは、規律面です。今日の試合では、自分たちのせいで規律面が欠けてしまい、厳しい時間帯を作ってしまいました。今後、規律面はより気をつけていく必要があります。また、自分たちのスタイルである“アップテンポ”をしっかり表現していきたいですし、セットピースからしっかりアタックすることも継続して努めていきたいです。また、ディフェンスに関しては、簡単にトライが取られないような堅いディフェンスをしたいと考えているので、今後もやり切ることや相手のアタックに対してファイトするところは大事にしていきたいと考えています」
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
杉下暢キャプテン
「前回の対戦に続き、とてもタフなゲームになったと感じています。われわれが考えていたゲームプランどおりに試合が進みました。相手がボールキープをしてくるチームなので、それに対して粘り強くディフェンスをする。そして、その中でターンオーバーチャンスを探して、ターンオーバーしたボールをしっかり相手陣地に運んで数少ないチャンスを自分たちのモノにし、スコアに結びつける。そのプランがハマって、本当に数も少なかったチャンスをスコアに結びつけることができた。そこの精度の高さが勝利につながった要因です」
──今季も残り2試合となりました。
「あと2試合ありますが、まずは次の中国電力レッドレグリオンズ戦に向けてしっかり準備したい。自分たちのチームカルチャーである、“アイズアップ”と“アップテンポ”を継続していくことが大切になってくると考えています」
──ファーストキャップだった髙井翔太選手のスクラムについて、どのように感じましたか?
「まだチームに合流して1カ月しか経っていませんが、チームのスクラムのスタイルによくコミットしてくれていますし、そのコミットしてくれている姿勢がこの試合のスクラムによく表れていたと思います。まだ1試合目なので、ここからどんどんキャリアを積んで自分の中のスクラムの引き出しを増やしていってくれればと。今後、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪を支えてくれる1番になっていくような、将来性豊かなプロップだと感じています」
クリタウォーターガッシュ昭島
クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ
「とても残念な結果になりました。特にブレイクダウンのところ、アタックのところで勢いを持つことが難しい試合になってしまいました。勢いを持って流れに乗りかけたところで、シンプルなエラーでうまくいきませんでした。ファイトすることはできていましたが、うまくいかないことが多くありました」
──エラーの原因はどのようなところにあったでしょうか?
「個人のメンタル的な部分に何かあったのか、いまはまだ理由が分かりませんが、コミュニケーションの部分で直せることは多いと思います。ボールをキープしているときに、セットが遅いのは良くありません。今日のエラーに関しては、基本的なものが多いです。13歳以下の年代でやってしまうようなエラーもあったと思います」
──リーグ戦の残り2試合は、その先につなげる重要な試合になってくるかと思います。
「残りの2試合、という考え方ではなく、次の試合、1試合1試合が大切です。まずは目の前にある試合にフォーカスし、そこで結果を出していくことができれば、その先にもつながってくると考えています」
クリタウォーターガッシュ昭島
石井洋介キャプテン
「80分間の中で自分たちの時間もありましたが、その流れに乗っていけそうなタイミングで自分たちのミスがあって流れに乗れず、相手には勢いを持ってトライを取られてしまっています。自分たちのミスが原因でこの点差になってしまったと感じています」
──原因と感じられたミスを減らすため、どのような改善ができるでしょうか?
「練習で出ているミスが試合に出ているだけと感じました。ミスが起こることはある程度は仕方のないことだけれど、そのあとのコミュニケーションがなく、練習の時点からそのミスに対するコミュニケーションがなかったことが1つの要因なのかなと思います。ミスをしたあと、プレーに関わった選手同士がコミュニケーションを取って修正していくことを積み重ねていけば、無くしていけるミス。試合後にチームにも共有しましたが、練習からミスに対してしっかり話し、修正していきます」
──入替戦に臨むため、残りのリーグ戦2試合への意気込みを聞かせてください。
「残り2試合は、スキルがどうとかではなく、メンタリティーのところが大切になってくるかと思います。この先につなげたいのは相手も同じなので、相手も激しく来るだろうと思います。試合に向かうメンタリティーをもう一度見直し、『絶対に勝つ』という強い気持ちを持ってやり続けることが、カギになってくるかなと考えています」