静岡ブルーレヴズ（D1 カンファレンスA）
素晴らしい人間性とプレー判断。静岡BRに加わった頼もしい戦力が初先発へ
静岡ブルーレヴズに新たに加入した元サモア代表 アラパティ・レイウア選手。「強いボールキャリーやゲインラインしていく姿を見せたい」二人のキャプテンをはじめ、軸となる多くの選手が負傷離脱している中で、2連勝している静岡ブルーレヴズ。今節はトップ4入りを争う強豪・東芝ブレイブルーパス東京（以下、BL東京）をエコパスタジアムに迎え、前回16対29で敗れた雪辱に挑む。
苦しい中でも結果を出せている理由について、堀川隆延ヘッドコーチは「選手一人ひとりがすごく危機感を持ってやってくれて、チームの底力が働いていると思います。それと、このチームが一戦一戦確実に成長を続けていると感じます」と手ごたえを口にする。
今節では、そこに新たな頼もしい戦力が加わった。元サモア代表のアラパティ・レイウアだ。3月に加入した経験豊富な34歳は、練習とトレーニングマッチで早くチームに馴染み、今節は左ウイングとして初出場する予定。そのプレーの特徴について、堀川ヘッドコーチは次のように解説する。
「本当に間違いのない判断をするし、プレー選択にミスがないんですよ。そこは目に見えにくい部分ですが、分かりやすいところではボールキャリーの部分も特徴です。オフロードパスもうまいし、人を生かすプレーが素晴らしい。判断が良いので、あらゆるオプションに彼はなり続けてくれます」
そのため、ウイングばかりではなくセンターも高いレベルでこなすユーティリティー性を備えている。アラパティ・レイウア自身も「強いボールキャリーやゲインラインしていく姿を見せたいです」と語り、さらにプレー中のコミュニケーションの面でも、チームに良い影響を与えようとしている。
「若い選手たち、特にあまり声が出てない選手たちには、『正しかろうと間違っていようとまずはとにかく声を出していこう』と伝えたいです。それを積み重ねていくことによって、判断力も研ぎ澄まされていくので。だから、『声を出すことを恐れないように』と言っています。ラグビーに100％正しいということはありえないので、ミスをしたときこそ、そこからはい上がって成長していくチャンスです。人生と同じですよね」
哲学的な深い言葉も含めて「人間力が素晴らしいです」と堀川ヘッドコーチも太鼓判を押す。成長過程のチームには、価値ある栄養を与えてくれることだろう。
上位のBL東京に対しては、80分間、プレーの判断を間違えないことがより重要になる。その意味でも頼もしい新戦力を得て、静岡BRはまた一つ大きな成長を証明しようとしている。
（前島芳雄）
東芝ブレイブルーパス東京（D1 カンファレンスA）
ハードワークするための新たな理由を手に、快足ウイングはロケットのように駆け抜ける
東芝ブレイブルーパス東京のジョネ・ナイカブラ選手。第一子が誕生し「自分がハードワークするための新たな理由ができたと感じています」東芝ブレイブルーパス東京（以下、BL東京）は4月8日18時から、静岡県のエコパスタジアムで静岡ブルーレヴズ（以下、静岡BR）と対戦する。プレーオフ進出を目指すリーグ戦5位のBL東京は5連勝を狙う。
前節のリコーブラックラムズ東京戦では、ジョネ・ナイカブラが後半30分に逆転トライを決めて勝利に大きく貢献した。
身長177cm、体重96kgの体格が生み出すパワーと、爆発的なスピードが魅力のジョネ・ナイカブラは、雨中の激戦におけるトライのあと、控えめに“ゆりかごダンス”を披露した。
「試合の前日、木曜日の夜に子どもが生まれました。それでゆりかごダンスをしました」（ジョネ・ナイカブラ）
シャイなジョネ・ナイカブラが照れくさそうに笑う。第一子の誕生は新たな力となっていた。
「子どもが生まれた瞬間はすごくエモーショナルな気持ちになりました。自分がハードワークするための新たな理由ができたと感じています」（ジョネ・ナイカブラ）
9月にはラグビーワールドカップが行われる。まだ日本代表キャップこそないものの、日本代表の合宿に参加してきたジョネ・ナイカブラにもチャンスはあるはずだ。子どもが生まれたメモリアルイヤーを、さらに輝かしいモノにできるかもしれない。
「日本代表には本当に良い選手がそろっているので、選ばれるためにはハードワークを続けなくてはいけません。ハードワークの結果、良いプレーを見せることで自分が日本代表の中に入れると証明できれば良いと思います
（ジョネ・ナイカブラ）
リーグワン屈指のスピードについては「特別なトレーニングをしたわけではなく、自然に。ナチュラルなスピードだと思います」と穏やかに笑った。パパになった快足ウイングは、まずはチームのプレーオフ出場に集中。ロケットのような加速力でグラウンドを縦横無尽に走り回って、チームを勢いづけたい。
（安実剛士）
