2023.04.10NTTリーグワン2022-23 D1 第14節レポート(静岡BR 29-37 BL東京)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦)第14節 カンファレンスA
2023年4月8日(土)18:00 エコパスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 29-37 東芝ブレイブルーパス東京

矢印は常に自分たちに向ける。プレーオフトーナメント進出を信じて、「いい準備」を続けるのみ

東芝ブレイブルーパス東京の豊島翔平選手

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1第14節。ホストの静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)は入替戦回避へ、ビジターの東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)はプレーオフトーナメント進出へ。エコパスタジアムでは、ともにボーナスポイント付きの勝ち点を狙うチーム同士の白熱のバトルが繰り広げられた。

後半にレッドカードによる退場者を出した静岡BRは、初出場となったアラバティ・レイウアのトライや、セットピースで終始意地を見せたものの、29対37でホストゲームを落とし、勝ち点ゼロ。一方、勝利したBL東京もボーナスポイント獲得には至らず、課題の残る試合となった。

数的有利を生かせず苦しんだ要因について、勝利したBL東京の豊島翔平は、「キックを有効に使って、スマートにエリアを取れなかった。相手のキックに対する自分たちのカウンターでもスペースにボールを運ぶことができなかった」と振り返る。

今季は途中出場も含め12試合に出場。11番、14番、試合展開によっては本職のフルバックに入ることもある。この日も11番で先発し、途中で14番の位置に回りながら、フル出場を果たした。豊島自身、複数ポジションに対応できることに関しては「自分の強みでもある」と話す。「ウイング(の11番、14番)はプロップの1番、3番ほどの違いはないですし、フルバックもやっていましたから、チャンスをもらえるならいつでも準備はしています」。

入団13年目になり、気づけばチーム内のバックスでは最年長になった。この試合でゲームキャプテンを務めたリーチ マイケル、途中出場した三上正貴とは東芝時代の同期入社であるだけではなく、ともに東海大学出身。大学時代からの長い付き合いだ。試合前にチームメートと激励し合う場面でも、「(リーチと三上とは)やっぱり、特に感じるところはある」。

「トディ(トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ)は今週の初めに、『プレーオフトーナメント進出も大切だが、今週の試合に向けて一生懸命やることが重要だ』と言っていました。(プレーオフトーナメント進出は)自分たちだけでどうにかなることだけではないので、常に自分たちにフォーカスして、次の試合に向けてもいい準備をしたい」と、プレーオフトーナメント進出へ向けて気持ちを整理する。

リーグ戦は残り2試合。ベテランの言うとおり、「いい準備」の先にプレーオフトーナメント進出が待っている。

(尾田健太郎/Rugby Cafe)

静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズの堀川隆延 ヘッドコーチ(左)と大戸裕矢 キャプテン

静岡ブルーレヴズ
堀川隆延 ヘッドコーチ

「ホストゲームで勝てなかった、勝利できなかったことは本当に残念です。このゲームに向けてわれわれは1週間、ブレイクダウンでのバトルで、東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)に、しっかりプレッシャーを掛けていこうと準備してきました。選手は本当にそれを80分間やり切ってくれたと思います。

このゲームのターニングポイントになったのは前半のラインアウトで、われわれが準備してきたものがうまくいかなかった。あそこがすべてかなと思っています。そのあとのレッドカードはしっかりチームとして反省をして、二度とそういった危険なプレーが起こらないようにしっかり徹底してやっていきたいと思います。残り2試合、自分たちの強みをしっかり出しながら、勝利できるプランを持って1週間準備していきたいと思います」

──アラパティ・レイウア選手について、今日がデビューで、いいプレーも出ていたと思いますが評価は?

「本当に素晴らしい経験のある選手ですし、好判断、光るプレーもたくさんありました。残り2試合、彼にはまた出場するチャンスがあると思いますので、より良くなっていくと思います。彼はプレーだけではなくて、チームに影響を与えるリーダーシップを持った選手ですので、彼の力を借りながらわれわれも成長できたらなと思います」

──BL東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチは、レッドカードが出たあとにフォワードを代えるのではなく、バックスを減らしてフォワード戦に臨んだ判断が良かったと話していました。その判断についての自己評価は。

「いろいろなプランをわれわれも持っていまして、やはりラグビーはフォワードですし、われわれの強みは何かと言えばセットピースなので。そういった意味でもフォワードを8人にしてバックスを1枚外すというのは当初からのプランでした」

静岡ブルーレヴズ
大戸裕矢 キャプテン

「堀川(隆延)ヘッドコーチが言ったように、取り切れるところで取れなかったところと、それでも、敵陣に入ったら取れるという感触は試合中ありつつ、こちらがスコアしたあとに、相手に簡単に取られてしまうような、そういう内容でした。本当に相手を上回るような試合内容になれば良かったですけど、悔しいですね。しっかりこの試合のレビューをして、次に向けて準備していくだけです。また来週からしっかり切り替えて、がんばりたいと思います」

──セットピース、ラインアウトの勝負どころで取れないところもあった。うまくいかなかったところは?

「特に、4メン、5メンでは大きな選手が二人いたので、そういうところで、テンポを外しながら……、というプランだったんですが、もちろん風とかもありましたし、今日もけっこうラインアウト数が多かったので。やっぱりもうちょっと崩せたし、もっと細かいディティールにこだわってやっていかないといけないなというのは、たくさん勉強になりました。キャッチしてモールを組めれば取れる自信はあるので、そこはしっかり次につなげていきたいです」

──14人になってからはどんな気持ちでプレーしたのか。

「14人になった時点でダブルワーク、一人が一人の動きをしていてもダメなので、『よりハードワークしよう』というのは言いました。そういった中でブレイクダウンに(人を)かけ過ぎてしまうと、人数のバランスがおかしくなってしまうので、そういうところも意識しながら、うまく乗り切れた部分もあったのかなと思います。本当に14人になってもあきらめることなく、すごい情熱を持ってプレーできたかなと思います」

──試合の感想で(大戸選手が)言葉に詰まる姿は珍しい。それだけ悔しさがあったのでしょうか?

「そうですね、個人的にはラインアウトを取れなかった悔しさもありますし、本当に勝負どころでラインアウトのミスが出てしてしまった個人的に悔しい試合でした。特にホストゲームでは勝ちたい思いが強かったので。すみません、言葉に詰まっちゃいました」

東芝ブレイブルーパス東京

東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(左)と小川高廣 キャプテン

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ

「まずはすごくタフな試合でした。どのチームが勝ってもおかしくない、そんなリーグになっていることの証だと思います。静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)が、ブレイクダウンでプレッシャーを掛けてきて、自分たちのプレーをスローにしてきました。かなりチャンスは作れていたんですけど、あと5mでオフロードパスとかを選択したことによって決め切れなかった。最終的にはビジターゲームで勝利をつかむことができたことはすごくうれしく思います」

──勝つことができた勝因は?

「不用意なオフロードパスをし過ぎてしまった。スペースがあってオフロードパスができるからこそですが、無理してしまったことによっていい結果に結び付かなかった部分があった。そんな中でもスコアしたことによってちょっと余裕ができて、それによって何とか勝つことができたかなと思います」

──静岡BRにレッドカードが出たが、そのことについてどんな影響がありましたか?

「フォワードを外す代わりにウイングを外したというのは、静岡BRのいい判断があったのかなと思います。自分たちとしてはもう一度自分たちのボールにして、スコアまで持っていきたかった。確実にボーナスポイントを取ることは全員が認識していましたが、フォワードパスやペナルティという部分でうまくいきませんでした」

東芝ブレイブルーパス東京
小川高廣 キャプテン

「今日の試合はシーソーゲームになりましたが、自分たちのペナルティでそういうゲームになってしまったのかなと思います。静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)がブレイクダウンでプレッシャーを掛けてきたので、そこもちょっと苦しんだかなと思います。あとリーグ戦2試合、まずはディシプリン(規律)のところをしっかりして、自分たちのラグビーをすれば絶対に得点は取れるし、ディフェンスも自信を持てるので、来週に向けてやっていきたいと思います」

──チームとしてはボーナスポイントを取りたい試合だったと思いますが、いかがでしょうか?

「まずはボーナスポイントよりも勝利のために点を重ねて、最終的に点がちょっとずつ開いていけば(相手の)スイッチが切れて、自分たちのペースになって、トライも取れるようになると思っていました。後半のラスト20分間はみんなボーナスポイントを意識してやっていたと思います。その中で2トライ差になったところで行き切れなかったし、スクラムを選択してペナルティ、アドバンテージを与えた状態でずっと攻められてしまい、けっこう苦しくなったのかなと思います」

──相手にレッドカードが出て、かなりチャンスがあったはずですが、最後の時間帯は相手のプレッシャーがきつかったのでしょうか?

「レッドカードが出た時点では、『相手が一人少ないからチャンスだ』、という考えはあんまりなくて。14人でも当然、静岡BRさんもすごくがんばってくるチームなので。いつもとやることは変わらず、そんなに人数が減ったからという考えはなかったと思います」

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