NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第5節(リーグ戦) カンファレンスA
2025年1月18日(土)13:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 34-28 東芝ブレイブルーパス東京
静岡BRに加わった新たな翼。その両翼は対戦相手にとって多大な脅威

スコアは34対28ときん差だったが、内容では明らかに昨年度のチャンピオンチームを上回り、リーグワンでは東芝ブレイブルーパス東京に初勝利。「昨季の最終戦でここ(ヤマハスタジアム)でボロ負け(20対59)して、そこからこの日に照準を合わせてやってきた」(藤井雄一郎監督)というチーム一丸のハードワークが実って攻め勝った成果は、静岡BRにとって大きな自信にもなった。
その中で出場した23人全員がそれぞれ輝きを放ったが、二人の新戦力、北村瞬太郎とヴァレンス・テファレが2トライずつを挙げたことも大きな収穫だった。特にBL東京のリーチ マイケルが、静岡BRの昨季との違いの一つとして「大きいウイングが入ったこと」と語るほど、テファレのインパクトは大きかった。
そのテファレは、昨年秋から練習に参加してプレシーズンマッチでトライを量産し、開幕直前の昨年12月16日に契約が発表された24歳。ニュージーランド出身でマオリ族の血を引く182cm112kgの屈強な肉体を持ち、来日前はオーストラリアのラグビーリーグ(13人制)で選手兼グラウンドキーパーとして働いていたという異色の経歴を持つ。ラグビーユニオン(15人制)のプロチームに所属するのは初めての経験だ。
スピード、パワー、突破力が非常に高く、今季の開幕戦では後半に交代出場してすぐに初トライ(チームにとっても今季初トライ)を決めるという鮮烈なデビューを飾った。また守備でも、13人制では1対1の勝負が多かったため「1対1をうまく止められる自信はあります」と語り、今節でもここで抜かれたら大ピンチという場面で力強いタックルによって相手を止めるシーンが目立った。
チームとしても、強力なバックス陣の力を生かそうとする意識は強かった。
「今日はヴァル(テファレの愛称)もスタメンで、ほかにも相手にとって脅威になる選手が外側にたくさんいたので、フォワードを絡めながらうまく(外を)使っていくことを意識しました。そのバランスも良くなっていると思います」(家村健太)
チーム全体で攻撃の良い流れを作ったことが、テファレの2トライにもつながった。
テファレ自身も「いまは本当にプレーを楽しめていますし、今までの中で一番幸せな場所に来られたと感じています。出会う人たちみんなが本当に優しくて親切で、ファンの方々の声援もすごく自分の力になっています」と、静岡BRでプレーできる喜びを口にする。
マロ・ツイタマとともに、静岡BRの両翼は今後も相手にとって脅威となっていくことだろう。
(前島芳雄)
静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「昨季の最終戦、ここでボロ負けして、そこからこの日にしっかり照準を合わせて、何とか自分たちのラグビーをしっかり出し切って勝ちたいなという思いがありました。開幕から3連勝したんですけど、まだまだ満足のいく試合はなかったと思います。ただ、今日は家村(健太)のゴールキックで試合がすごく面白くなりましたが……(笑)。最初からアタックしようということで、本当に選手がしっかりそれを体現してくれたと思います。相手にずっとプレッシャーを掛け続けられたかなと思います。しっかり休んで、もう一度後半戦に向けてチームを作っていきたいなと思います」
──今日は本当に自分たちがやろうとしていたことができたという感触でしょうか。
「そうですね。本当にしっかりアタックのマインドを持って、外側からキックを蹴るということと、自陣からでも、この間は簡単に蹴り返していたので、しっかりアタックして自分たちの強みをしっかり出していくという形が今日はたくさん出たんじゃないかと思います」
──初先発で起用したヴァレンス・テファレ選手はトライを取っただけでなく、ディフェンスでも活躍したと思いますが、彼の今日の総合的な評価を教えてください。
「そうですね。コンタクトが多くなると思ったので、体の大きな選手を使いたいということで、だいぶ日本のラグビーに慣れてきて、ディフェンスも良くなっていますし、もちろんトライも取っていますし、良い活躍をしてくれたと思います」
──先ほどリーチ マイケル選手がブレイクダウンでプレッシャーを掛けられてアタックが継続できなかったということをおっしゃっていました。ジョン・ドネヒュー アシスタントコーチを呼んで強化した効果が出ているのでしょうか?
「彼はタックルの専門家なので、全般的にタックルは強くなっていると思います。ブレイクダウンに関しては、スティール(ジャッカル)できる選手が数名しかいないので、しっかりと越えていこうということで、そこで強くプレッシャーを掛ければ相手はキックを使ってくると。それがうちのターンオーバーということだったんですけど、今日は相手ボールをしっかり取れたので、そういう意味ではしっかりみんな体を張ってやれたかなと思います」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「この試合に向かって本当にハードワークをしてきました。最初の3試合は勝利できて、先週は自分たちが良い試合をできなかったので、今週はそこをしっかりと修正して、この試合に向かってきました。特にホームスタジアムでたくさんのファンの皆さまの前でプレーできるということは、自分たちにとってもすごく気持ちが上がるような試合になると思っています。スコアに関しては、自分たちとしてはもっと取れたような感覚があります。東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)さんに自分たちが(自分たちのミスから)得点を与えてしまったというところで言うと、(本来は自分たちが)もっと得点を取って勝つことができたのかなと思っています。この試合のあとはリカバリーをして、後半戦に向けてしっかりとまた良い練習をして、良い試合をしていきたいと思っています」
──今日は本当に自分たちがやろうとしていたことができたという感触でしょうか。
「そうですね。アタックのところではたくさんトライを取れたので、すごく良かったと思っています。それ以上にあと1、2本トライを取れたかなというシーンもあったので、アタックがすごく良くなったと思います。それと同時に、ディフェンスのところもすごく良くなったというふうに思っています。しかし、10分間ぐらいでBL東京に2トライを取られてしまったところがあったので、そこはしっかり修正していかなきゃいけないと思っています。ただ、本当に選手たちがハードワークしたことに対してはすごく誇りに思います。と同時に、昨季のチャンピオンチームに対して、得点をたくさん取ることができたということは、自分たちにとっても良い収穫だったと思っています」
──後半相手に2トライ続けて取られたあとに、どんな話し合いをピッチ内でしていましたか。
「われわれのチームには幸運なことに自分だけじゃなくてたくさんのリーダーがいるので、その中で前半やっていたようなシンプルなラグビーをしっかりやろうということで、自分たちの正しいエリアでプレーをすることが大事だということを話していました。相手の陣地に入ることによって、相手は40m、80mもボールを持ってトライをしなきゃいけなくなってくるので、自分たちは正しいエリアにまず入るということ。前半できていたところをしっかりやろうという話をしていました」
東芝ブレイブルーパス東京

東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「こんにちは。まずは静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)さんにおめでとうとお伝えしたいです。本当に80分をとおして素晴らしいラグビーの試合だったのかなと思います。BL東京としては試合序盤に最後チャンスを取り切るという遂行力のところでうまくいかなかった部分と、静岡BRさんがセットピースで素晴らしいプレッシャーを掛けてきたというところがありました。その中でもしっかりペースを取り戻して、試合の流れもつかんで、何とか戦ってくれた選手を誇りに思います。ただ、試合の中で肝となる瞬間、一つ大きいのはイエローカードを受けたシーンですね。ただ、その中でも失った流れを再び取り戻すというところで、選手たちは頑張ってくれたかなと思います。良い学びもいろいろなところにあったので、それをしっかり持ち帰って修正して次に向かいたいと思います」
──自分たちのゲームプランと一番違っていたところはどんなところだと感じていますか。
「ゲームプランから外れた部分というのは正直特になかったかなと。ゲームプランどおりにやっている中での遂行力というのが欠けていたのかなと思います。アタックで最初にチャンスが5回ぐらいあった中で、例えばボールが少し後ろに行ってノックフォワード(ノックオン)してしまったりだとか、パスのとこでズレがあったりだとかというところですかね。ゲームプランはしっかりしたものを持ってきて、そのとおりにできたと思っています」
東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン
「みなさんこんにちは。試合をとおして本当にブルーレヴズのセットピースのプレッシャーでラインアウトのバリエーションが出せず、自分たちのアタックをなかなか継続できないことによって、自分たちのラグビーができなかったのは、見直さないといけないなと思います。本当に(静岡BRの)セットピースのプレッシャーが非常に大きかったので、帰ってしっかり見直しで、1週間リフレッシュしてから三重ホンダヒート戦に向けて準備したいと思います」
──先ほどアタックが継続できなかったとおっしゃいましたけども、ブレイクダウンでかなりプレッシャーを受けたということもあるのでしょうか。
「そうですね。ブレイクダウンでブルーレヴズさんはアタックして起き上がって、自分たちにプレッシャーを掛けたのが、今日5、6回ぐらいあって、自分たちのテンポを崩されて、そこがうまくやられたなと思います」
──静岡BRから初黒星となってしまいましたが、昨季までの静岡BRと比べて違うなと感じたところはありますか。
「イメージはまったく一緒です。粘るチームでセットピースも強くて、それがレベルアップしている。昨季までの積み重ねがそのまま今季に流れてきたのかなと思います。それにプラスして、大きいウイングが入ったこともあると思います。あとベンチの大きい選手を後半に入れてきて、スクラムのプレッシャーも、インパクトが大きかったですね」